part−2/74☆歪んだ無の世界
部屋全体に乾いた音が響いた。
流れるようなリズムで…。一瞬ものが見えなくなるかと思うほどの大きな音を鳴らして…。
さっきよりも周りに広がる煙
今、気が遠くなる長い時間が続いた。
白く染まった道が目の前に広がった
目に映る光景は今や仄かな煙のみ。目の前の状態がわからない事に気分が不安定になる。
緊張感が走る。今、自分が何を起こしたのか?”その行動”が頭から抜けていく気がする。
───煙だけしか見えない。
たったそれだけの事に心が不安定になる。
自分の行動の怖ろしさが改めて知ったような気がした。
頬に熱い汗がつたっていく。
気づかないうちに一滴ずつ零れ落ちる。
流れ出す妙な汗と共に時が徐々に刻み込んでいく。
刻み込んでいく時の間にも映る光景は,煙だけ。
煙がだんだん薄く変わってきた。──シルエットとして撃った人物が反映させた。
──またはめられたか?
『その言葉』を強く印象付けて額を深く手で支持して心底でがっかりとする。
たまに横を通り抜ける風が煙く感じる。部屋に”歪み”が加わったような感覚がする。
(一体どうなったの・・・?)
眉をひそめてわずかに震え出す。震えが生じたせいか凛と張り付いた空気が頬にまで感じる。
”冷風”と熱い汗が同時に頬に到達する。
煙が消えていく。その瞬間を瞬きをせず凝視する。
シルエットが濃くなりやがて、煙が消えた。そして,そこには堂々たる態度を見せつけてコナンが立ちすくんでいた。
「どうして…。」
あまりの動揺のせいか不意に一言を零す。
不安定化が激しいせいなのか語調がやや弱くなる。
今、奈落の底までに落ちていく気がした。
足元を気に留めては更に不安定化が始まった。
「蘭…何度やっても結果は同じなんだよ。あとは蘭次第だ。蘭がこの戦いに終止符をうてばこの戦いは終わるんだよ。もう、結果は同じなんだよ…。」
いつもとは違う穏やかな雰囲気を保ちだして教えつけるように語る。
やや斜めに俯いて一歩ずつ前進する。動きを止めたあと片足で小刻みに床を叩く仕草を行う。
「何をいうかと思い切れば…何分かりきったようなことをいうのよ!!」
だんだん語調が強まったいく。語尾の言葉を印象付けて同時に拳銃を構える姿勢を取る。
「あっ、ちょっ…。」
『あっ、ちょっと』と密かに呟いた言葉を遮って拳銃を発砲する。
止める時間もなく隙だけが見える。
またしても派手な音が次々と辺りに鳴り響く。
怒りの強まりのせいか拳銃の扱いが荒々しくなってきた。
普段なら絶対に見ることのない蘭の表情が今ここに一つ存じていた。
──発砲が増えてきた。それと共に弾が鈍った音をならせて下へ転がり落ちる。
微かに弾が転がり落ちる音が響いた。
煙が薄れていく。またシルエットが目の前で濃く映る。
蘭は瞼を大きくひらいて目の前の仄かな光景に凝視する。
またしても目の前に狙ったはずの人物が堂々とした態度で笑み一つ浮かべない状態で立ちすくんでいた。
「ど、どうして…どうしてなのよ…。確実に狙ったはずよ…。どうして当たらないのよ…。」
震えた状態で悲しそうな視線を送り吐き捨てたような口調に変えて不満を零す。
そして,拳銃を叩きつけるように地にへと落とす。
そのあと、怒り狂った様子をなるべく見せないようにと一旦心を休める。
痛々しい視線をまた送りつけるように訴える。
外からも嵐のような強まった風だけが吹きわたる。
散らばっている葉が荒れて窓ガラスにくっ付く。
少々の寒気が走る。しかし,”それ”を遮ろうとすべてを絞り込んで声を引き出す。
「前々から博士に開発して貰ったこの…。」
一瞬言葉が途切れた。そして,喉の奥から次の言葉を整えると共に顔の一部になっている眼鏡に軽く触れる。
「この…硬質なガラスで作られたこの眼鏡のおかげなんだよ…。」
語尾が少々弱めの口調になっている。いつもなら犯人に向かって自信満々に語るものの今回ばかりは相手が蘭であるせいか途切れた喋り方に変わる。
たまに表れるコナンの哀れみの表情が一瞬だけ映っていた。
ーー今は、仄かな煙に包まれた状態
その中で刻まれていく時間に気に留める。
蘭は窓ガラスのせいで透けて見える外に目線を移して虚ろな瞳にへと変える。
そして,頭の中で白紙が回る。
「なぁ、もう一つ、教えてくれねぇか?なぜ、江戸川コナン=工藤新一ってわかったのか?」
「フン、当たり前じゃないの…そんな事…どこの世界に伊達眼鏡かけた小学生がいるのよ…。その時点で例の薬で小さくなったんじゃないかって想像つく……わよ……。」
沢山の汗を頬に流した状態になる。そして,呟きがだんだんと弱まった音になって途切れる。
有り余った力が抜けて言葉を繋げる事が困難な状態に陥る。そして,悲しい笑みをそっと浮かばせた状態でゆっくりと地に落ちていった。
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