part−2/33☆想えば想うほど崩れていく
一歩も動かない硬直した足
動かそうにも動かせない
私の周りで楽しそうに登校する人々
周りの笑い声が聞こえる。
誰が見ても普通は楽しそうに会話しているように見える。
しかし私にとっては取り残されそしてみんながあざ笑っているかのように感じる
いつまでも1人道路の真ん中に立っている灰原
ずっと道路に立って止まっているのはあまりにも不自然になる
その不自然さを隠すように何らかの仕草をして誤魔化す
それもまた不自然だが人々が通りすがった時だけ“何もないよ”って伝えるかのようにかすかに微笑みを見せる。
必死に苦笑いするのもつらい
一歩も進めない自分に腹立たしいような情けなくなるような複雑な気持ちになる
早くあの子たちのところに行きたい・・・
でも彼、工藤君とも一緒に登校することに恐れている
ーーーなぜならば彼は私を心配しすぎるから・・・・
彼が私について心配するたび心が痛む。
それに彼は私と蘭さんのことを心配するから余計につらい
私は蘭さんと無理やり離れてしまった・・・
もう蘭さんのことは考えたくない。
蘭さんとの思い出はなかったことにしたい
もう忘れたい気持ちでいっぱいなの
蘭さんについて何も聞きたくない。
でもさっき工藤君は蘭さんのことばかり話題に持ちかけた。いや、蘭さん以外のことは聞かなかった・・・・・
工藤君が蘭さんのことを話すたびつらい
あのときの記憶(蘭さんがボスって告白したときのこと)が蘇ってくる。
記憶をさらに植え付けられた気持ちになる。
蘭さんが組織のボスだなんて信じたくない・・・
いや、信じられない。
でも実際は“組織のボス”
カラスのような衣服を纏いながら草場の影から犯罪を犯す罪人たちのボス
あの真っ白な心を持つ蘭さんがそんな悪人には見えない
ましてやボスだなんて考えられないし、想像もできない。
しかし蘭さんは自ら“組織のボス”だと言った
この耳でしっかりと聞いた。
ーーでも何かの間違いとでも思いたい
誰かに蘭さんのことについて言われるとつらい・・・・・
自分の中で悩みを(蘭さんが裏切った組織のボスだということを)抱え込みたい
誰にもあのときのこと(地下室で“私はボス”だと言ったときのこと)をいわれたくない。
ねぇ…工藤君
今私って現実逃避しているよね……。
今決められた“運命”から逃げているよね……
分かっている
自分自身一番現実から逃げていること分かっている
分かっているけど今回だけはどうしても言い訳したい。
だって蘭さんはお姉ちゃんと似ているから・・・
お姉ちゃんと重なって見えるから黒に包まれたような組織のボスだなんて余計信じられない
お姉ちゃんは本当に真っ白な心の持ち主だった。
そのお姉ちゃんと重なって見える蘭さんが罪人の集まりの組織のしかもボスだなんてありえない・・・
どんだけ頭をひねっても私が工藤君よりいや、彼の好きなホームズより遥かに賢くても“蘭さんがボスにあたる人物”っていう答えは解せない。
お姉ちゃんと重なる蘭さんが黒い心なんてあるわけがない。
お姉ちゃんと同じ潔白な心を持っているに決まっている。
どう考えてたって蘭さんがボスって“答え”なんてどこにもない
頭をひねってたって蘭さんがボスだという答えには導かないよ……。
私の中だけでなんとか心の葛藤をおさえたい
誰かに動かされたくない
工藤君も待っている待ち合わせ場所へ行きたくない。
彼と会うと蘭さんのことをいわれそうで怖い・・・
さすがに少年探偵団のあの子たちの前で蘭さんのこと(特に組織のボスだということ)は言わないだろう
でもいつかいわれそうで怖い・・・
学校は行かなければいけない
早く行きたい
でも足が思いどおりに進まない
もう完全に硬直されている
後ろから妙な殺気が感じる
凛とした冷たい雰囲気が漂ってくる。
私はすぐに振り返ってみた
少しおそるおそる誰なのか確認した
「哀ちゃん・・・・・・・」
やや小さい声でつぶやく
なんとそこには吉田さんがいた。
(まさかあの妙な殺気は彼女<吉田さん>からのもの・・・
でもあの子に限ってそんなこと・・・)
「あっ、吉田さんおはよう…。」
ただ時の流れでなんとなくあいさつする
「うん、おはよう。」
吉田さんは私に向かって満面な笑みで元気よくあいさつしてくれた
この笑顔にはウソは全くみられない。
これは、純粋な笑顔
そう、今感じた殺気は吉田さんとは全然違う
何か別の私たちが体験したことのない新たな殺気を感じる。
殺気の持ち主は誰なのかしら・・・・
そして一体何者かしら・・・
未知なる気配を感じる。
何なのこの気配は・・・?
「哀ちゃん、哀ちゃんってば・・・」
「吉田さん・・・何?」
「どうしたの?
さっきから様子がおかしいよ……。
だって道路の真ん中に立っていたじゃない
そんなところにいたら危ないよ…。
それに顔にしわよせて怖い顔になっていたよ。
なんでそんな怖い顔をしているの?」
「別になんでもないわ。
ちょっと寒くて凍えていただけよ…。
さあもう学校へ行きましょ…。」
「あっ、でもコナン君はどうするの?」
「彼のことはいいわ。
どーせ学校で会えるのだから
それより早く学校へ行かないと遅れるわ
もう行くわよ……。」
私は慌てた口調に変わった。
そして走りだした。
怒り狂ったのだろうか?
自分でもよく感じる
いつもの冷静さが欠けてしまった
私はもう彼と一緒にいる時間がつらい・・・
学校では会ってしまうけど一緒に行動しなければいい・・・
彼を避けてしまいそう・・・
今の自分の行動が恐ろしい
このまま自らを孤独にしてしまいそう
自分で自分の首を絞めるような状況になりそう
でも次々と私の周りから人が消えていく
お姉ちゃんはきれいにこの世界から消えた
蘭さんも“自分がボス”であることを告げ、そしてついには工藤君までも私の前から去った
彼らとは気まずくなってしまった・・・
だんだん周りの人々は私の前から去っていきそうな気がする。
もう冷静沈着でいられなくなってしまう
高鳴る鼓動に押しつぶされてしまう
“誰か私を止めてほしい”
耐えれなくなってしまうから・・・
もう私は破たんする一方
このまま堕ちていく
もうどうにもならないぐらいに……
その一方でそんな私をあざ笑うかのように冷たい空気を漂わせる人物がいた
ーーそして私は空気だけを感じながら学校へ向かった |