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The End of The World 作者:コロタン
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第66話 船

  一夜明け、俺と美希は朝から書斎に籠もっている。

  「誠治さん、昨日だけでこれだけ調べたんですか・・・?」

  「あぁ、それでも半分にも満たないけどね・・・」

  呆れている美希に、俺はうんざりした顔で答えた。

  「それで、私は何をすれば良いんですか?」

  「美希には、アルバムにある船の写真から、港の写真を探して欲しい。何か目印になる建物が無いか見てくれないか?同じ建物があるなら、そこに船がある可能性が高いからね」

  「解りました!探してみますね!」

  美希は快く承諾し、アルバムの山を漁り始めた。

  「船の説明書は無いか・・・。まぁ、船の中にあるかもなぁ・・・。車の説明書だって、わざわざ家の中にはしまわないしな・・・」

  書斎の本棚や机の引き出しをくまなく探したが、説明書らしき物は入っていなかった。
  その代わり、船舶免許試験の参考書と、大量の鍵の束を見つけた。

  「誠治さん・・・写真の中に、何枚か同じ灯台が写ってますよ!」

  参考書のページをめくっていた俺に、美希が話しかけてきた。

  「本当か!?なら、その灯台を探せば船が見つかるかもしれないな!でかしたぞ美希!!」

  俺は美希に抱きついた。

  「せ、誠治さん!?いきなりビックリするじゃないですか・・・」

  美希は顔を赤らめ恥ずかしがっているが、その表情は嬉しそうにしている。
  美希の差し出した写真を見ると、個性的な形をした赤色の灯台が写っている。

  (古い郵便ポストみたいな灯台だな・・・)

  俺は円筒形の古いポストを思い出した。

  「誠治さん・・・そろそろ・・・」

  美希は照れている。
  昨夜の風呂場での一件もあってか、俺は美希を意識している。

  (美希との子供か・・・欲しいけどなぁ)

  俺がそんな事を考えていると、美希がキスをしてきた。

  「誠治さん・・・考えている事がまる解りですよ・・・」

  「え・・・顔に出てたか?」

  俺がそう言うと、美希が困った様な顔で下を見た。

  「聞き分けのないムスコでごめん・・・」

  美希はクスクスと笑い、俺の首に手を回して再度キスをしてくれた。

  「私も、欲しいですよ?誠治さんが望むなら、今すぐにでも・・・」

  美希の言葉に、俺の理性は吹き飛んだ。
  渚達が帰るまで時間はある。
  隆二と由紀子は、リビングで千枝の相手をしている。
  チャンスは今しかない。

  「じゃあ、お願いします・・・」

  「はい!こちらこそ、宜しくお願いします!」

  俺は書斎の入り口の鍵を掛け、美希をソファーに寝かせた。





  「すまない、ちょっと遅くなった!」

  俺と美希が書斎からリビングに戻り、昼食の準備をしていると、慌てたように渚と悠介が帰ってきた。

  「どうだった?何か変わった事でもあったか?」

  俺が渚に聞くと、深刻そうな顔で口を開いた。

  「誠治さん、不味いぞ。車のホーンが止まって、奴等が散らばり始めている・・・」

  俺は耳を疑った。
  早すぎるのだ。
  車はエンジンを掛けたままにしてあったので、燃料切れになったとしても、バッテリーが切れるのにはまだ早い。

  「奴等が車を揺らして、ホーンを固定していた棒が外れた可能性があるな・・・」

  「あぁ、私もそう思う・・・。幸いにもあの場所からここまでは、かなりの距離がある。まだ3日くらいは大丈夫だとは思うが・・・」

  確かに、奴等を引き付けた場所までは、車で1時間近くある。
  奴等はすぐには移動しないし、動き出したとしても、獲物を見つけない限り、動きはかなり遅い。

  「渚さん、昼から俺と来てくれ。この街の先にある港町に行ってみたい!そこに船があるか探そう!!」

  「了解だ!だが、鍵は有ったのか?」

  「あぁ、どれかは判らないが、鍵の束を見つけた!これ以外には見当たらなかったから、この中にスペアキーなりあると思う!」

  俺と渚は、昼食もそこそこに車で港町に向かった。





  「渚さん、この町は初めてだし、奴等がどの辺りにいるか判らない・・・。慎重に進んでくれ」

  俺達は、車を1時間半ほど走らせ、港町に着いた。

  「数は多くないが、道が狭くて見通しが悪いな・・・。囲まれたら厄介だな・・・」

  「あぁ・・・。どこかの建物の中にでも集中してくれていれば助かるんだが・・・」

  俺と渚は、緊張の面持ちでゆっくりと車を進ませた。

  「誠治さん、港の入り口が見えて来たぞ・・・。どうする?このまま車で行くか?」

  「あぁ、そうしよう・・・。奴等に囲まれたら困るしな・・・」

  俺は、船の写っている写真を手に持ち、港に並んでいる船を確認して行った。

  「渚さん、止まってくれ・・・。あの灯台、これだよな?」

  「あぁ、間違いないな・・・」

  「後は、この写真の船が見つかれば脱出の目処が立つな・・・」

  俺達は、写真を見ながら船を探した。





  「渚さん、あったぞ!この船だ!!」

  俺は写真の船を見つけ、渚に伝えた。

  「間違いないか!?」

  「あぁ、見てくれ!船に付いている魚の飾りが同じだ!!」

  写真の船には、カジキマグロの形をした飾りが付いている。

  「確かに同じだな!良かった・・・。まだ残っていてくれたか!!」

  俺と渚は感極まって抱き合った。
  渚は意外と胸が大きかった・・・。

  「あ・・・すまない・・・。嬉しかったとは言え、美希さんに申し訳ないな・・・」

  (いえいえ、大層なものをお持ちで・・・。しっかりと堪能いたしました、ありがとうございます)

  俺は心の中で渚に感謝した。

  「いや、こちらこそ・・・。まぁ、お互い嬉しさが込み上げての事だし、ノーカンだろ?」

  「そう言ってくれると助かる」

  渚は安堵している。

  「渚さん、周囲の警戒を頼む。俺は、鍵の束に船の鍵が無いか確認してくる。あと、説明書が無いかも見てくるから、その間は頼む!」

  俺は渚に言って船に上がった。

  「さぁ、この中にあるかな?無ければ探し直しだな・・・」

  俺は呟きながら、鍵を一つずつ確認していった。





  「これだ・・・!良かった!あった・・・!!」

  俺は、残り少なくなった鍵の束から、ようやく船の鍵を見つけ出した。

  「後は説明書だ・・・!」

  俺は、船の中をくまなく探し、説明書も見つけた。

  「渚さん!鍵と説明書があったぞ!!確認したが、燃料も満タンだ!!これで無事に脱出出来るぞ・・・!!」

  俺は渚に報告し、感極まって涙を流した。
  渚も、目に涙を浮かべている。

  「皆んなの元に戻って、報告しよう!」

  俺達は、皆んなに吉報を届けるべく、急ぎ拠点へと車を走らせた。

  
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