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The End of The World 作者:コロタン
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第54話 2人の時間

  俺は昼食を終えて、車庫に来ている。
  ワンボックス車の後部座席を収納し、広くなった車内で、警察署から手に入れて来た無線機を弄っていた。
  車の中なら、周りに人がいないから集中出来る。
  時間は限られているので、早く使い方を覚えておきたい。
  ただ、実際に使えるかどうかは別だ・・・。
  使えなければ、慶次の死は無駄になってしまう。
  それだけは勘弁して欲しい。


  「誠治さん、どうですか?無線機は使えますか?」

  俺が作業をしていると、スライドドアを開けて美希が話しかけてきた。

  「う〜ん・・・。今まで使った事が無いからな・・・。何とも言えないが、頑張ってみるよ!周波数を合わせたり、どの程度の距離まで使えるかとか、やらないといけない事が山積みだけどね・・・。こんな事になるなら、バイクに乗る時に勉強しておけば良かったよ・・・。知り合いには使ってた人が居たんだけどね・・・」

  警察無線の周波数は、犯罪防止や取り締まりなどのため、一般には公表されていない。
  無線機に詳しくないから知らないが、持って来た無線機が、もしそれ以外の周波数が使えない使用ならばお手上げだ・・・。
  新品なので初期状態だとすると、周波数が合っていない可能性もある・・・。
  それに携帯用無線機は、車載型よりも通信出来る範囲が狭い。
  何処までの距離で使えるかは知っておかないといけない。
  最悪、これが使えなければ、別の通信手段が必要だ・・・。

  「あんまり、無理しないでくださいね?ここ2日の見張りは、誠治さんが負担してましたから・・・」

  「あぁ、心配してくれてありがとうな!」

  俺は美希にお礼を言い、作業に戻る。

  (美希の視線を感じる・・・)

  俺は作業を続けながら、横目で美希を見る・・・。

  (集中出来ない・・・。どうかしたのかな?)

  いつもの美希なら、俺が作業をしていると、用事がある時以外は話しかけて来ないし、用事が済めば去っていく。
  邪魔をしないようにと言う、美希なりの配慮だ。

  「ふぅ・・・。やっぱり、初めてだと解らない事だらけだな・・・。少し休憩するよ・・・」

  俺はそう言い、美希の方を向いた。

  「あ・・・すみません・・・。やっぱり気になっちゃいますよね・・・?」

  「いや、良いよ!俺も美希と話せるのは嬉しいしね!」

  俺がそう言うと、美希は頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。
  美希は俺の隣に乗り込み、ドアを閉めた。
  本格的におしゃべりモードだ。

  (やっぱり可愛いな・・・)

  俺は美希を見つめていた。
  美希は俺の視線に気付き、周囲を確認して短くキスをして来た。

  (そう言うつもりで見つめてた訳じゃないんだけどな・・・。まぁ嬉しいから良いか!)

  「ありがとう、嬉しいよ・・・。最近、あまり相手をしてやれなくてゴメンな?色々あったし不安だったよな?」

  俺は、美希の柔らかい髪を撫でながら言った。

  「仕方ないですよ・・・。慶次さんや隆二さんの事もありましたし、色々とやらなくちゃいけない事がありましたからね・・・。まぁ、寂しかったのは確かです・・・こうしてゆっくりと話をしたいなと思ってましたから・・・」

  美希は照れながら俯いた。

  「そう言えば、渚さんと慶次さんの事、いつ聞いたんですか!?お似合いだなとは思ってましたけど、昔は付き合ってたんですね・・・」

  「あぁ、あの話か・・・。この前、車のフィルム貼りで俺と慶次だけ遅かっただろ?あの時聞いたんだよ・・・。その時、俺と美希の事も話したよ。喜んでくれてた・・・。あいつには知って貰えて良かったと思ってるよ」

  慶次は死んでしまった・・・だけど、彼に知って貰えた事は本当に良かった。
  もし言わずにいたら、慶次に嘘をついたまま別れる事になってしまっていたから・・・。

  「そうですか・・・。あまり喋る人では無かったですけど、居なくなってしまうと、寂しいですよね・・・。いつも、皆んなの少し後ろで見守ってくれて居ましたから・・・。今でも、慶次さんが居た場所を見てしまいます・・・」

  美希は項垂れ、目を潤ませている。

  「あれでも、話すと結構気さくでさ・・・。俺のちょっとした悪ふざけにも付き合ってくれて、嬉しかったよ・・・。俺の方が年上だけどさ、慶次には失礼だけど、なんか同年代の友達みたいな安心感があったよ・・・」

  俺は慶次の事を思い出しながら、しみじみと語った。

  「なんだか、妬けちゃうなぁ・・・」

  美希は、苦笑いをしながら呟く。

  「美希、男に嫉妬しないでくれよ・・・。俺にそんな趣味はないぞ?俺が今愛してるのは美希だ。夏帆の事も愛してるけど、美希に対する物とは違う・・・。今、1番幸せになって欲しいと思う女性は、美希だけだよ」

  俺は美希に慌てて言い訳をして、彼女の手を取った。

  「ふふっ・・・!わかってますよ!慶次さんの事が、少し羨ましかっただけですよ!誠治さんが、あの夜以降、私を大切に想ってくれてるのは知ってますから・・・。こんな状況で、こんな事思うのはおかしいかもしれないけど・・・私、今幸せですよ!」

  はにかむ美希を見て、俺は嬉しくなった。
  俺は美希を抱き寄せ、キスをした。

  「んっ・・・。誠治さん・・・愛してます・・・」

  美希は頰を赤らめ、上目遣いで呟いた。

  「あぁ、俺も美希を愛してるよ・・・」

  俺は、美希を広くなった車内に寝かせ、彼女を抱いた・・・。
  美希は、拒否する事なく俺を受け入れてくれた。

  (こんな良い子が、俺を愛してくれる・・・。俺は幸せ者だな・・・)

  俺は心の中でそう思い、久しぶりに訪れた2人だけの時間を楽しんだ。






  俺と美希は、しばし互いの愛を確かめ合い、服を着た。
  美希は車から降り、俺を見つめてくる。

  「誠治さん、邪魔をしちゃってすみませんでした・・・。あの・・・気持ち良かったでふ・・・」

  美希は嬉しさと照れからか、最後に噛んでしまった。
  凄く恥ずかしそうだ。

  「いや、一緒にゆっくりと出来て嬉しかったよ・・・。それに、俺も気持ち良かったし・・・ありがとうな・・・」

  顔が赤くなっているのが自分でも解る・・・。
  俺と美希は、しばらく見つめ合い、最後にもう一度長めにキスをした・・・。


        ガラガラガラ!


  「誠治さん、居ますか?渚さんが呼んでますよ〜!」

  シャッターを開けて、由紀子が入って来た。
  そして、キスをしている俺と美希を見て凍りついた・・・。

  「あっ・・・お邪魔でしたかね・・・?渚さんには適当に言って誤魔化しとくので・・・。お二人とも、どうぞごゆっくり・・・!!」

  由紀子は目を泳がせ早口で言うと、脱兎の如く走り去って行った・・・。

  「どうしましょう・・・見られちゃいました・・・」

  美希は、引きつった顔に涙を浮かべ、ゆっくりと俺を見て言ってきた・・・。

  「どうしましょうも何も・・・もう、成る様にしかならないよな・・・。皆んなは美希が俺の事が好きなの知ってるんだし、この際言ってしまおうか・・・?このまま黙ってて、もし由紀子さん以外にもバレたら、隠してた事をよく思わないかもしれないしな・・・」

  俺は力なく呟いた・・・。
  美希も小さく返事をして、頷いた・・・。

  (これは、悠介にまた何か言われるなぁ・・・。最近あいつを雑に扱ってたしなぁ・・・)

  俺は内心うんざりしながら、美希と一緒に車庫を出た・・・。
  2人揃って足が重い・・・トボトボと言う擬音がしっくりくる様な、そんな足取りで渚達の元へ向かった・・・。



  



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