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The End of The World 作者:コロタン
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第49話 慶次と渚

  俺は、慶次に美希との事を話し終え、再び作業を開始した。

  「そう言えば、慶次と渚さんはどうなんだ?近所に住んでるって言ってたが・・・何も無かったのか?」

  俺は、作業の遅れを取り戻すべく、手を動かしながら慶次に聞いた。

  「あぁ・・・そうだな・・・。俺だけ誠治さんの事を聞いて、自分の事を何も話さないってのはフェアじゃないな・・・」

  「言い難いなら別に良いぞ?無理に聞こうとは思わないしな」

  俺は遠慮したが、慶次は作業を止めた。
  話す気らしい・・・律儀な男だ。

  「渚とは、幼稚園の頃からの腐れ縁でな・・・。昔はあいつと隆二の3人でよく遊んだよ・・・。高校の時に付き合った事もあったが、高校を卒業した後別れたんだ・・・。渚は見た目は美人だと思うが、性格は男勝りだろう?俺もこんな性格だ・・・。付き合ってからも、よく喧嘩をしたよ・・・」

  (なんか、容易に想像出来るのが恐ろしい・・・)

  「別れたにしては、仲が良いように見えるが?」

  「あぁ、別にお互い嫌いになって別れた訳じゃ無かったしな・・・。渚が他所の警察学校に行く事になってな、そのまま疎遠になって自然消滅って感じだよ・・・」

  慶次は肩を落として言った。

  「渚が向こうで問題を起こして帰って来た時は驚いたよ・・・。昔から正義感の強かったあいつが、自ら選んだ警察を辞めたんだからな・・・」

  「まぁ、内容がな・・・。仕方ない事とは言え、渚さんは遣る瀬無かっただろうな・・・」

  「あぁ・・・かなり落ち込んでたよ・・・。俺は毎日のように飲みに付き合わされて、愚痴を聞かされたりと散々だったけどな・・・」

  「彼女らしいって言えば、らしいな!」

  (彼女は、本当に想像しやすいキャラしてるよな・・・)

  「だろう?でもな・・・。楽しかったよ・・・」

  「寄りを戻そうとはしなかったのか?」

  俺は率直に聞いた。

  「不思議と、そう言う話にはならなかったな・・・。お互い、自然消滅した事に負い目を感じてるのかも知れないな・・・」

  「俺は、2人は良い感じだと思うけどな・・・。最初会った時も、付き合ってんのかなって思ったし・・・お似合いだと思うよ?お互い遠慮の要らない間柄って感じでさ!」

  「そうか・・・ありがとう・・・」

  慶次が赤くなっている。
  珍しいものを見れた。

  「慶次は、渚さんの事をまだ好きなんだろ?」

  「あぁ・・・。好きなんだろうな・・・」

  何故か煮え切らない態度だ。

  「渚さんにその気がないのか?」

  「どうだろう・・・。渚の髪は長いだろう?あれは、俺が渚に髪を伸ばした方が綺麗に見えるって言ったからなんだが、あいつは俺のために髪を伸ばしてくれてたんだ・・・。ただ、別れた後もそのままではあるが、まだ俺に気があるのかどうかは解らない・・・。あの長さが気に入ってるだけの可能性もあるしな・・・」

  (そうか、おまえも長い髪が好きなのか!おまえとなら、美味い酒が飲めそうだ!)

  俺は慶次に親近感が湧いた。

  「じゃあ、渚さんに他に、好きな人か付き合ってる人がいるとか?」

  「いや、それは無いだろう・・・。今の所男っ気は無いし、もし付き合っている奴が居たとしても、あいつを嫁にしたいって酔狂な奴はそうはいないだろう・・・」

  (渚さん・・・あんた酷い言われようだよ・・・。いったい何をしたんだ・・・。)

  俺は、渚を可哀想に思ってしまった。

  「何がそんなに酷いんだよ?」

  「あいつの性格もだが・・・何より、あいつは料理が壊滅的にダメなんだ・・・。高校の時、あいつの手料理を振る舞われた事があったんだ・・・。俺は嬉しくてな・・・どんな料理が出てくるのか楽しみだったんだ・・・。でもな、出て来た料理を見て絶望したよ・・・。流石に出された料理に手を付けないのは、あいつが傷付くと思って、一口食べたんだがな・・・。トイレに駆け込んだよ・・・。あんな劇物は初めて食べた・・・」

  (そうか・・・渚さん、あんたメシマズ属性か〜・・・!可愛い物に目がなくてメシマズって良い感じにぶっ壊れてるなあの人・・・。彼氏に劇物を出すなんて、ある意味凄いよあんた・・・)

  俺は、さっきと違って、不思議と渚を慰める気にはならなかった・・・。
  彼氏に劇物を振る舞う神経にただただ感服した・・・。
  慶次は遠い目をしている・・・。

  「それでも、渚さんの事が好きなんだろ?なら、寄りを戻しなよ。慶次が、俺と美希を祝福するって言ってくれた事に対するお返しって訳じゃないけどさ・・・。もし、あんたがその気になったなら、いつでも言ってくれよ?」

  俺は慶次の力になりたいと思った。
  歳は俺の方が上だが、あまり気を遣わないでくれる分、彼とは友達感覚で付き合える。

  「あぁ、その時はお願いするよ・・・」

  慶次は頷き、笑顔で言ってくれた。

  「あれ?誠治さん達、まだ終わってなかったんですか!?いくら面倒だからってサボりすぎですよ!!俺達は手伝いませんからね!?」

  俺と慶次が親睦を深めていると、作業を終えた悠介が呆れた顔で言って来た。
  時計を見ると、16時過ぎだ・・・。

  「サボってた訳じゃないんだけどな・・・。慶次、急いで終わらせよう!これじゃ日が暮れる!!」

  「あぁ、早くしないと飯を食い損ねるからな・・・」

  俺と慶次はさっきまでの2倍近いスピードで作業を終わらせた・・・。
  正直、かなりしんどい・・・。
  俺達は、最後には腕が上がらなくなっていた・・・。

  「最後は疲れたけど、なかなか楽しかったな!慶次の事も色々知る事が出来たし、有意義な時間だったよ!」

  「あぁ、俺も楽しかった・・・。また時間があったら色々と話したいな」

  俺達は、作業をやり終えた達成感からか、妙にテンションが上がっていた。
  俺は慶次と固く握手をし、車庫を後にした。
  慣れない作業に、いつも以上に腹が空いている。
  今日は沢山食べられそうだ。
  夕食の後にでも、また慶次と話をしてみよう・・・。
  楽しい時間になりそうな予感がして、俺は1人笑みを浮かべた。
  
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