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The End of The World 作者:コロタン
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第34話 親睦

  俺は詰所に戻り、2階の待機室に向った・・・。
  正直気が重い・・・彼等を助けるためとは言え、俺はまた人を殺したのだ・・・。

  「今回で5人目か・・・」

  俺は待機室のドアノブに手を掛けながら呟いた・・・。

  「誠治さん、そこに居るんですか・・・?」

  中から悠介の声が聞こえた・・・気付かれていたようだ。

  「あぁ・・・ただいま・・・。 男の死体は、此処から少し離れた所にある家の庭に置いて来た・・・すでに奴等がこっちに近づいて来ている」

  俺は中に入り、外の状況を話した。

  「そうみたいですね・・・車庫の前もですけど、通りの奥からまだまだ来てますよ・・・」

  悠介が待機室の窓から外を見て言った。

  「さて、御門さんと仲間の方々・・・取り敢えず、無事なようで良かった・・・。 それと、怖い思いをさせて申し訳ない・・・俺と一緒にいるのは不安だろうが、奴等がいなくなるまでは我慢して欲しい・・・。 俺は、君達に死んで欲しくない」

  俺が声を掛けると、由紀子はビクッと身体を強張らせた・・・。
  皆んな黙っている・・・美希と千枝も話を聞いたのだろう。

  「誠治さん、すみません・・・今回は俺も銃を構えてたのに、結局は誠治さんに押し付けてしまいました・・・」

  沈黙を破り、悠介が謝って来た。

  「いや、仕方ないよ・・・むしろ、お前が撃たなくて良かった。 手を汚すのは俺だけで良い・・・今更殺した人間が1人増えようが、今までにも殺した事実は変わらないからな・・・」

  「でも、俺は・・・俺達は、誠治さんを支えると誓いました・・・なのに、誠治さんだけに負担を掛ける訳には・・・」

  「お前達は、ただ一緒に居てくれればそれで良いんだ・・・それだけで、俺は助かってる」

  反論した悠介に優しく言った。

  「井沢さん・・・一つ確認したい・・・」

  今まで沈黙を守っていた渚が口を開いた・・・。

  「井沢さんは、以前にも人を殺したのか・・・?」

  渚は俺の目を見て聞いて来た。

  「あぁ、今回で5人目だ・・・」

  渚は俺の言葉を聞いて目を瞑り、何事か思案している。
  隆二と由紀子は息を飲んだ。
  慶次は腕を組んで黙って俺を見ている。

  「理由を聞いても良いだろうか・・・? 私達も、見捨てた奴等に復讐をしようとしていた・・・それは人を殺すという事だ・・・結果として私達は何も出来なかったが、やろうとしていたのは確かに人殺しだ・・・」

  渚は神妙な顔をして問いかけて来た・・・。

  「最初の1人は、俺が警察署で銃器を調達した後、俺から物資を奪おうと襲って来た男だ・・・銃で撃ち、その場に放置して奴等に襲わせた・・・。 次は3人組の男達だった・・・そいつらは、その時俺が拠点にしていたガレージで、悠介達を襲おうとしていた・・・だから、殺した・・・。 そして、さっきの男でで5人目だ・・・」

  俺は渚に正直に話した。
  渚はまたも俯き、思案しているのか、沈黙している・・・。

  「井沢さん・・・私達のやろうとしていた復讐も、貴方のしてきた行為も、人を殺すと言う意味では一緒だ・・・。 だが、私達と貴方では違う所がある・・・それは、貴方は自分や仲間の身を守る為に人を殺したと言う事だ・・・。 だが、私達はただ、恨みを晴らすためだけに殺そうとしていた・・・」

  渚は言葉を選びながらゆっくりと話し出した。

  「今回も、貴方は私達を助ける為に人を殺した・・・いや、私達の為に殺させてしまった・・・。 それなのに、私達は、貴方を恐れてしまった・・・。 自分達があの男達に目を付けられ、貴方に迷惑を掛けた事を忘れ、2度も私達を救ってくれた貴方を責めようとしてしまった・・・。 本当に・・・申し訳ない・・・」

  渚は涙を流した・・・会ってから今まで、両親を失った事や、町の人達に見捨てられた話をした時ですら、一度も涙を見せなかった彼女が、大粒の涙を零している・・・。
  隆二や由紀子はそれに驚いたのか、あたふたとしている。
  慶次はただ黙って渚を見つめている。

  「誠治さんは、どうせ許すんですよね? 俺達の時みたいに・・・」

  悠介は、肩を竦めて諦めたように言ってくる。

  「誠治さんは優しいですから・・・」

  「おじちゃんは優しいし、いつも私達を守ってくれるから凄いと思います!」

  悠介の言葉に美希と千枝も笑って同意した。

  「見た目からは想像出来ないくらいお人好しですもんね!」

  「見た目が関係あるのか?悠介、お前は本当にひと言多いな・・・窓から外に叩き出すぞ?」

  「ちょっ!? 今そんな事されたらマジで死にますって!!」

  茶化した悠介を冗談混じりに脅した。

  「ぷっ・・・! ふふふ・・・! 貴方達は本当に仲が良いな・・・貴方が、さっきまでと同一人物とは思えないが・・・それが本当の貴方なんだろうな・・・。 なんと言うか、見苦しい所を見せて申し訳ない・・・貴方達のやりとりを見ていて涙も引っ込んだよ」

  渚は目元を拭い、笑顔で言った。
  憑き物が落ちたようなスッキリとした顔だ。

  「井沢さん・・・もし、私達を許して頂けるなら、どうか私達も一緒に連れて行って欲しい・・・改めてお願いしたい!」

  渚達は改めて頭を下げた。

  「いや、こちらこそ助かるよ・・・あんな事の後だったから、気が変わってしまってもおかしくないからね・・・こちらこそよろしくお願いします!」

  俺は深々と頭を下げた。
  悠介達も頭を下げている。


  こうして、一悶着はあったが、新たに頼もしい仲間が出来た。
  この人数なら、美希や千枝の負担もだいぶ減るだろう・・・。




  俺達は、親睦を深めるため、夕食を食べる事にした。
  悠介達も、大勢での食事は楽しそうだ・・・。
  千枝は新しい仲間達にも、とても可愛がられていて嬉しそうにしている。

  (これで、外に奴等がいなければ最高の夕食なんだけどな・・・)

  俺は、そんな事を思いながら窓から通りを見下ろした・・・。
  通りには、銃声を聞いて集まった奴等がうようよと歩き回っている・・・だが、この詰所は堅牢だ。
  ある程度は声を抑えているし、カーテンで音を遮断しているから、そこまで奴等を刺激する事は無いだろう。

  「おじちゃん! 何してるの? こっちこっち!!」

  窓から通りを見ていた俺を、千枝が楽しそうな声で呼んだ。

  「あぁ、今いくよ・・・!」

  俺は千枝に答え、彼女の元に歩み寄った。



  
  
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