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The End of The World 作者:コロタン
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第33話 殺す覚悟と殺される覚悟

  渚達が戻ってから2時間以上が過ぎた。
  今は17時を過ぎて、空が茜色に染まっている。  
  「御門さん達遅いな・・・南さん、君達のアジトまでは結構距離があるのかい?」

  俺は不安に思い由紀子に聞いてみた。

  「いえ・・・歩いても20分掛からない位の距離です・・・」

  「物資が多いとかは?」

  「私達は大人4人ですけど、そこまで多くはないです・・・」

  由紀子も渚達の帰りが遅いのに気が付き、先ほどからそわそわしている。

  「これは、途中で何かあったと見た方が良いな・・・悠介、由紀子さん、下の車庫まで来てくれ・・・美希ちゃん達はここで待っててくれ」

  俺は悠介と由紀子と共に車庫に降りた。

  「悠介、お前はここで見張っててくれ・・・俺は由紀子さんと一緒に彼等のアジトに様子を見に行ってくる・・・」

  俺は悠介に指示し、車から武器を取ろうとリアハッチを開けた。

  「誠治さん、ちょっと待って下さい! 車の音が聞こえます!」

  俺は悠介の言葉を聞き、外の音に耳を澄ました。
  確かに車の音だ。
  シャッターの前に停まり、ドアの開閉の音がする・・・彼等だろうか・・・?
  俺はさらに様子を伺う・・・足音が多い・・・!?

  「悠介、こいつを持って車の後ろに隠れてろ・・・恐らく、あまり良くない事態だ・・・俺が合図をしたらこいつを構えて出て来てくれ! 南さん、君の仲間は、君も含めて4人だけなんだよな・・・?」

  俺は悠介に散弾銃を渡し、車の影に待機させた。
  俺も拳銃を2挺腰の後ろに差した。
  由紀子は、俺の質問に緊張の面持ちで頷いた・・・。

  「由紀子さんは俺の後ろにいてくれ・・・」

  由紀子も隠れさせたいが、俺は誰が隆二の兄か知らない・・・。
  もし、車から降りて来た奴等の中に隆二の兄が居たら見分けがつかない。

      ガン!  ガン!  ガン!

  シャッターを叩く音が響く。

  「井沢さん・・・御門だ・・・!」

  渚の声だ・・・だが、緊張したように声音が重く硬い・・・。

  「あぁ、ここにいる。 今手が離せないんだ・・・。 ロックは外してあるから、開けてくれないか!?」

  「あ、あぁ・・・解った!」

  渚の返事の後、車庫のシャッターが音を立てて開いていく・・・外にいる者達の足が見える・・・5人分・・・渚達は3人だ。

  (もし敵対者に人質に取られているとして、全員を車から降ろす可能性は低いが・・・そうなると、敵の数は最低でも2人、多くて4人・・・出来れば2人が良いが・・・)

  俺が思案していると、シャッターが全て開いた。

  「慶次さんは居ません・・・」

  由紀子が後ろから小声で伝えて来た・・・。

  「御門さん、聞いていた人数よりかなり多いようだが・・・?」

  隆二は居ない・・・車の中だろうか?
  渚の後ろに、見知らぬ男が4人・・・その内3人はそれぞれ武器を持っている・・・。
  クロスボウを持った奴が1人、大型のナイフと鉄パイプを持ったのが1人ずつ・・・武器を持っていない奴は、渚を後ろ手に捕まえている・・・。

  「井沢さん・・・すまない・・・」

  渚は目を伏せ、俯いて謝罪してきた・・・。
  俺は渚が無事である事を確認し、後ろにいる男達を睨む・・・。

  「で・・・知らない顔が多いが、お前らは誰だ・・・?」

  渚のすぐ後ろにいる男に質問した。

  「俺らはこの町の生き残りだよ・・・他所から来て、勝手に町の建物を使っている奴等がいるって聞いてな? それに、こいつらもそれに加担してるって話だったからよぉ?」

  男はニヤついた顔で言って来た。
  他の男達も下卑た笑いを浮かべている・・・。

  「それがどうした? ここは町の建物だろう?
お前らにとやかく言われる筋合いは無い・・・俺達は早ければ明日には此処を発つ・・・どうしてもダメと言うなら、役場の人間でも連れてこい・・・生きていればの話だがな?」

  俺は男を睨みつつ低い声で言った。

  「なめてんのか、てめぇ・・・? 誰になめた口聞いてんだ? ここに居たいなら、出すもの出しやがれ! こいつを殺すぞ!?」

  俺の言葉に激昂し、渚を捕らえている男が叫ぶ。
  それに合わせて、ナイフを持った男が、渚の首にナイフを突きつける・・・。

  「耳が悪いようだ・・・ちゃんと耳掃除をしているか? よくそんなんで生き残れたもんだ!」

  俺は小馬鹿にするように、ニヤケて言って挑発した。

  「てめぇこそ状況解ってんのか!? こいつが殺されなきゃ解んねーのか!?」

  男はさらに声を荒げた。

  「やってみろよ? その人とは今日会ったばかりだ・・・本来なら、俺は別に困らない・・・だが、その人を殺したら、困るのはお前らの方だと思うが?」

  「・・・あ? て、てめぇ! 何言ってやがる!?」

  俺の言葉に男が躊躇する。

  「だから、殺せるもんなら、殺してみろと言ったんだよ・・・まぁ、その人を殺せば、お前達は交渉のネタが無くなるがな?」

  俺は男が理解できるようにもう一度言った。

  「それでも良いなら、殺せば良い・・・。 俺は、家族や仲間を守るためならなんだってやるし、やって来た・・・その人は今日会ったばかりだが、俺達の仲間になりたいと言ってくれた・・・俺もそれを望んだ・・・。 もし、お前等がその人やその仲間に危害を加えるなら、俺は容赦無くお前等を殺すぞ・・・」

  俺は男達に警告した・・・。

  「どうせハッタリだろうが!この人数相手にやれるもんならやって見やがれ!?」

  「悠介・・・」

  俺の言葉にキレた男達が武器を構えて向かって来ようとしたが、俺の合図で出て来た悠介を見てたじろいだ。

  「てめぇ等・・・銃なんて隠してやがったのかよ!?」

  銃を構える悠介を見て、男達は動けない・・・。

  「その人とその仲間、それと、その人達の車と物資を置いて立ち去れ・・・そうすれば、今回は見逃してやる・・・」

  「・・・偽物だ! 偽物に決まってる!! 俺はそんなもんにビビらねぇぞ!」

  渚を捕らえている男は、彼女の身体を盾にして叫ぶ・・・。

  「そうか・・・残念だよ・・・」


        ガアァァァン!!


  俺は腰に差した拳銃を抜き、クロスボウを持った男を撃った・・・。
  頭を撃ち抜かれた男は、その場に崩れ、地面にはおびただしい血と、脳が散っている・・・。
  その場に居た俺以外の者達の時が止まった・・・。

  「警告はした・・・それでも向かって来たのはお前等だ・・・もう一度だけ言う! その人達と、車と物資を置いて立ち去れ!! さもなくば、貴様等全員殺すぞ!?」

  俺は沈黙を破り、男達に告げた・・・。

  「解った! 解ったから撃たないでくれ!! 俺達が悪かった・・・!!」

  渚を捕らえていた男は、射殺された仲間の死体を見て、ズボンの股間の部分を湿らせている。

  「理解出来たなら、さっさと消えろ・・・今回は見逃すが、次は無いと思え・・・」

  男達は俺の警告に何度も頷き、一心不乱に逃げて行った。

  俺は、敵であれば、人を殺す覚悟はしている・・・そして、殺される覚悟もしている。
  そうでなければ、自分に対して明確な殺意を向ける相手を前にした時、戦えないからだ・・・。
  自分が殺される覚悟の無い奴に、人を殺す資格は無い・・・。


  「御門さん・・・隆二君とお兄さんも無事ですか・・・?」

  俺は、渚達を振り返り確認した・・・。
  彼等は怯えている・・・それは仕方の無いことだ・・・目の前で人が射殺されたのだ・・・。
  しかも、自分達が信じようと思った男の手で、躊躇無く・・・。

  「貴女達が、俺を恐れるのは解ります・・・ですが、今は車を車庫に入れて中に避難しましょう・・・。 銃声を聞きつけた奴等が此処に集まる危険性があります・・・」

  俺は彼等を促し、射殺した男の死体を引きずって、詰所から離れた所の民家の庭先に放置した。
  通りに出て奥を見ると、すでに結構な数の奴等が近づいて来ている・・・。
  俺はそれを確認し、悠介達の居る詰所に戻った・・・。



  
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