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The End of The World 作者:コロタン
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第11話 湧き上がる殺意

  翌朝、俺はガレージの中で目を覚ました。
  泊まれそうな場所を探していると、シャッター付きのガレージを発見したのだ。
  天井にはライトがあり、奥には出入り口用のドアもついている。
  俺はガレージに車を入れ、シャッターを閉め、車の中で夕飯を済ませた。
  夏帆が死んだあの日から何も食べていなかったため、まる2日ぶりの食事だった。
  夕食を食べた後、ガレージにあった工具を使い、車の後部座席の背もたれを取り外した。
  物資などを入れるのに邪魔になるからだ。 収納スペースは広くしておきたかったのだ。
  昨夜は早めに寝たので、起きたのは7時前だった。
  昨日は昼前からの行動だったので、まだ必要な物を揃えられていない。
  軽い朝食を済ませた後、俺は柳刃包丁を持って奥のドアから外に出て、道路の状況を確認する。

  「よし、見える範囲には居ないな」

  俺はシャッターを開け、車に乗り込み走り出した。




  今日はまず食料の確保だ。 持って来た食料にはまだまだ余裕があるが、無くなってからでは遅い。
  俺はまず、近くにあったコンビニに入った。
  中には奴等が2体居たが、難なく処理した。
  店の奥のスタッフルームから段ボールを持って来て、缶詰やレトルト食品、クッキーやビスケットなどの賞味期限の長い商品、調味料、飲料水などを詰めた。
  なかなかの量ではあるが、安心は出来ないので他のコンビニも回った。
  5軒程周り、大きめの段ボール4箱分は確保出来た。 これだけあれば、1人なら1日2食でも半年は大丈夫だろう。




  俺は次に、ある店に向かった。
  サバイバル用品や、クロスボウなどを専門に扱っているショップだ。
  俺自身は興味が無かったのだが、以前友人に連れられて来た事がある。

  俺は鍵をこじ開け、中を物色する。
  まずは、刃物が包丁1本では心許ないので、大型のハンティングマチェットとサバイバルナイフを予備も合わせて5本ずつカートに入れる。
  ついでにマグネシウムファイアースターターも5つ入れた。
  そして、店の奥のカウンターの壁を見て「おおっ・・・」と感嘆の声をあげた。
  そこには、様々な種類のクロスボウとコンパウンドボウが飾られていた。
  俺はそれらを1つ1つ手に取り、弦の張りの強さや重さを確認する。
  全てのクロスボウとコンパウンドボウを確認した後、気に入った物を3種類ずつ選んだ。 俺は値札が目に入り驚愕する。

  「すげぇ・・・この6つで新車の大型二輪が買える・・・」

  俺はその値段に呆れつつ、それぞれに対応した替え弦とカーボン矢、メンテナンスキット、スコープなどを入手し、車のトランクにしまい店を後にした。
  クロスボウもコンパウンドボウも使う必要が無いに越したことはないのだが、念のために手に入れた。
  どちらも離れた所にいる奴等には有効だ。 だが、どちらも1発ずつしか射てないし、射つためには止まらなければいけない。 走りながらだと上下に揺れてしまい狙いを定めるのが難しいからだ。
  慣れれば走りながらでも出来るかもしれないが、そんな練習をしている時間は無い。 だが、射つ練習だけはしておこう。 いつ必要になるかわからない・・・。




  俺は武器を手に入れ、時計を見ると昼を回った所だ。
  俺は、もう一ヶ所だけ回る事にする。
  警察署だ。

  俺は警察署の近くまで行き、敷地内を見る。

  「誰も居ないな・・・」

  もしかすると、避難者の保護や奴等を鎮圧する為にまだ機能しているかもしれないと期待したのだが、当てが外れた。
  俺は、取り敢えず警察署の駐車場に車を停め、マチェットとタイヤレバー、クロスボウを持ち署内に入った。 情報が無いか調べるためだ。
  入り口を抜けると広い受け付けがあり、中には転化した警察官が5体ほどいた。
  俺は受け付けカウンター越しに全てを倒し、中を見る。

  「あ・・・」

  俺は警察官の死体を見てある物に気が付いた。 拳銃だ。
  全ての死体から拳銃を抜き、調べる。
  弾が全て残っていたのは1挺だけ、他のは1発か2発ほど残っていた。
  俺は手に入れた拳銃を腰に差し込んだ。

  「もしかすると、まだ有るかもしれないな・・・」

  俺は一度車に戻り、工具を持って署内に戻った。
  有るとすれば銃器保管庫だ。 他にも転化した警察官がいれば少しは手に入るかもしれない。

  俺は署内を慎重に見て回った。もし生きた警察官が居て、間違えて撃たれたらたまったもんじゃない。

  結果として、弾はあまり手に入らなかった・・・。
  転化した警察官を倒して数発は手に入ったが、出動していたからか、数自体が少なかった。
  保管庫も見つけ、鍵をこじ開け中を見たが銃器も弾も無かった。

  「これは時間の無駄だったかな・・・?」

  俺は時間を無駄にしたと肩を落としたが、他に情報が無いか署内を散策する。
  すると、証拠品保管室を見つけた。
  事件などの証拠品をまとめてあるのだろう。 もしかすると、押収品などがあるかもしれない。

  「念の為見てみるか・・・」

  鍵が掛かっている。 まぁ、当たり前だが。
  俺は持って来た工具を使い、なんとかこじ開け中に入る。

  「うわぁ・・・これは凄いな・・・。 見つけられるか?」

  室内の棚には段ボールがところ狭しと並んでいる。
  俺は段ボールに書かれたメモを見ながら中を確認して行った。

  「あった・・・。 こんなのまで手に入るのかよ・・・」

  俺は銃器にはあまり詳しく無いが、海外の映画などでよく見る大型のリボルバーのハンドガンだ。 もちろん弾もある。
  他の箱も漁っていく。
  そして、大きなケースに入った銃を見つけた。 散弾銃だ。
  この銃には見覚えがある。 昔遊んだゲームに出て来た物と同じだ。

  「確か、レミントン M1100だったかな?」

  ガス圧式のセミオートマチックショットガンだ。
  その他にもいくつか見つけたが、荷物が多くなるので、結局拳銃4挺と散弾銃を2挺、ライフルを1挺、後はそれぞれに対応した弾をあるだけバックに詰めた。

  「ぐっ・・・やっぱり結構重い・・・!」

  鉄と鉛だ結構力の強い俺でも、流石に重く感じるが、我慢して車に戻った。
  情報はほとんど手に入らなかった。 騒動が起きて3日でこの状況だ。 警察だけでは情報収集は無理だったのだろう。
  俺が車に戻り、集めた銃器をトランクにしまい、車に乗り込もうとした。

  「おい、お前! 車と荷物を置いて失せな! そしたら命だけは残してやる!」

  俺は声のした方に振り返った。
  そこにはクロスボウを構えた、いかにもガラの悪い男が立っていた・・・。

  「聞こえねえのか! マジで射ち殺すぞ!?」

  男はなおも俺を脅してくる。

  「ちょっと待ってくれ、全部失ったら、俺は生きていけない・・・半分で勘弁してくれないか?」

  俺は男に提案した。

  「ふざけんな! お前がどうなろうが知ったことじゃ無ぇんだよ! ここで死ぬか、逃げてまた探すか選べって言ってんだよ!!」

  話を聞く気は無いらしい。
  俺はここで死ぬ訳にはいかない・・・だが、物資を渡せば生き残れるかわからない・・・俺は悩み、この男にだんだんムカついてきた・・・。

  「わかった・・・全部お前にやる・・・」

  俺は男に言った。

  「へっ!さっさとそうしとけば良いんだよ!! 無駄な時間使わせやがって!!」

  「だけど、お前が生きていられたらの話だ」

  男が悪態をついてこちらに歩いてきたが俺の言葉を聞いて激昂する。

  「てめぇ! ふざけやがって!!ぶっ殺してやる!!!」

  「お前、今までどんだけデカイ声で叫んでたか分かってるか? お前の後ろ、2体居るぞ・・・」

  俺がそう言って男の後ろに目をやると、男もつられて振り返った。

  「くそっ・・・! てめぇ! 騙しやがったな!!」

  男の後ろには奴等は居なかった。 嘘を吐いたのだ。
  男がそれに気付き俺を見た時にはもう遅い。 俺は腰に差していた拳銃を抜いて男を撃った。

        ガァァァン!!

  腕に衝撃が走る。 数年前に社員旅行先のグアムで射撃場に行って銃を撃った事はあるが、やはり反動には慣れない。

  「ギャァァァァァ! 痛え! 痛えよぉ!!」

  男がクロスボウを落とし、転げ回る。
  弾は肩に当たったようだ。

  俺は銃を構えて男に近づく。

  「待って! 待ってくれ! 殺さないでくれ! 頼む!!」

  男が命乞いをする。 俺はそれを聞いてキレた。

  「ふざけんな! さっき俺が勘弁してくれと言った時に、お前は何て言った! 見逃してくれたか!? 違ったじゃねーか! 俺がどうなろうが知ったこっちゃねえとか言ってたよな!? なのに自分は助かりたいだ!? 俺にはお前の頼みを聞く義理も義務も無いんだよ!!」

  俺は男に怒鳴り、男が落としたクロスボウを手に取った。

  「安心しろ、俺は殺さねーよ。 奴等がどうかは知らないけどな・・・」

  騒ぎを聞きつけ、奴等が10体ほど近づいて来ていたが、俺は車に乗り構わず走り出した。
  男が必死に命乞いをし、奴等に抵抗していたが、抵抗虚しく食い殺された。  



  俺は、今日人を死なせた。
  夏帆の時のように、油断や不可抗力では無く、自分の意思で人を死なせた・・・。

  




  
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