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コーヒーカップ二つ

作者:藤夜アキ
 見ないフリしてもダメだった。
 空っぽのコーヒーカップ二つ。
 青とピンクのカップに出来なかったのは、いつかこうなることが分かっていたから。
 そう語ったらキミは笑っただろう。
 折り畳みのベッドの上、壁にもたれかかって夜を明かすボクは一人。
 いつかキミはここにいた。
 本当にキミはここにいた?
 いつかキミはここにいた。
 本当にキミはここにいた?
 空っぽのコーヒーカップ二つ。
 青とピンクのカップに出来なかったのは、ボクとキミである必要が無かったから。
 キミじゃなきゃダメなのに。
 キミ以外がキミの代わりになれた。
 簡単な話だよ。
 ボクは有り触れたボクだったんだ。
 キミは有り触れたボクだったんだ。
 ボクにとってのキミは。
 カレにとってのカノジョで。
 ボクとカレを入れ替えても、キミとカノジョを入れ替えても、キミは笑っただろう、ボクは泣いただろう。
 キミじゃなくて良かった。
 ボク以外がボクの代わりになれた。
 簡単な話だよ。
 空っぽのコーヒーカップ二つ。
 青とピンクのカップに出来なかったのは、その話を最初から知っていたから。
 カレの話をしたキミ。
 キミの話をするボク。
 代わりはいるよ、確かに。
 確かにキミは綺麗だよ。
 でもこの世界は残念ながら綺麗じゃないから。
 ボクらの幸せに満ちた日々は誰かに語って聞かせる程度の物語に堕すんだ。
 ほら、横に並べたコーヒーカップだって、縦に並べた途端ボクのコーヒーカップ二つだ。
 誰も知らない。
 ボクも忘れてしまうだろう。
 青とピンクのカップにしなかったからさ。
 ただのコーヒーカップになるんだ。
 壊したりなんかしない。
 捨てたりなんかしない。
 キミの記憶みたいに、ぼろぼろと崩れていくから。
 ねえ、キミの話をしてボクは愛されるよ。
 ボクがキミにしたみたいに。
 キミがボクにしたみたいに。
 キミの話をして愛されるよ。
 じゃあ、行くよ。
 カノジョが待ってるからさ。
 キミの代わりにキミになる子がね。
 カノジョとこれから買い物に行くんだ。
 コーヒーカップを買いに行くんだよ。
深夜の鬱シリーズ。

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