第二十一話 本当の両親
あれから・・・半月程経って、本当の両親と会う日が来た。
有名人で忙しい中時間を作ってくれたらしい。
場所はここ。
この家。
丁度、仕事でこの町に来ることになったので、ということだった。
私はママに連れられエステに行き、美容院に行きで朝からバタバタだった。
――午後2時を少し過ぎた頃だった。
一台のタクシーが家の前に停車した。
中からは美しいオーラを放つ二人が現れた。
私の本当の両親、聖斗さんと音緒さん。
「こんにちは。百合さん、お久しぶりです。」
「いらっしゃい、聖斗さん、音緒さん。聖音は中で待ってます。どうぞ。」
「おじゃまします。あ、兄さんは?」
「仕事でいないわ。」
玄関から3人の会話が聞こえて緊張が増した。
でも、私は逃げない。
望んだのは私だから。
「聖音、紹介するわ。こちらが聖斗さん、隣が音緒さんよ。」
「初めまして・・・。」
私はぺこりと頭を下げた。
「聖音・・・っ!」
頭を上げると音緒さんは私に飛びついてきた。
そしてぎゅっと抱き寄せた。
「・・ぐ・・ぐるじ・・・。」
「あっ、ごめんなさい!」
音緒さんはぱっと私から離れた。
「大丈夫?ごめんね。嬉しくてつい・・・・。」
そういう音緒さんの目にはうっすらと涙の膜が張っていた。
「いいえ、大丈夫です。」
逃げないけど・・・緊張するよ・・・・っ。
素っ気ない態度しちゃったし・・・・。
嫌われないよね?
「そうだよね。やっぱり、私たちのことなんて覚えていないわよね・・・。」
「仕方ないだろ?別れたとき、聖音は小さかったんだ。それにいきなり親なんて言われても困るよ。」
「・・・ごめんなさい。」
「聖音が悪い訳じゃないよ。」
確かにそうだけど・・・謝らずにはいられなかった。
「とりあえず、座りましょうか。聖斗さん、音緒さん、コーヒーでいい?」
「あ、はい。ありがとうございます。」
ママはそういうとキッチンへと行ってしまった。
リビングには私と聖斗さん、音緒さんが残された。
気まずい雰囲気が漂う。
「聖音、正直な気持ちを聞かせてほしいの。私達のこと、怒っている?」
「・・・いいえ。」
「じゃあ、嫌いとか?」
「そんなこと・・・。」
「私達に話してくれる?今の気持ち。包み隠さずに。」
「・・・・お二人に会えてすごく嬉しいです。最初、ママ達から聞かされたとき、驚いたし、お二人もママ達も恨みました。」
「・・・・・・・・・。」
二人は黙って聞いていた。
「でも・・・私のことを愛してくれてたからって、ママ達にも悪気があって隠してた訳じゃないって知って、幸せな気分になりました。だから・・・感謝してます。」
「・・・聖音、ありがとう。私たちを許してくれるのね?」
「許すも何も・・・お二人は私の大切な両親です。ここまで育ててくれたママとパパも。」
「聖音は百合さんと修斗さんに育てられてこんなにいい子になったのね。優しさもちゃんと持ってる・・・。」
「パパとママには沢山迷惑をかけました。何度も頭下げさせたし、心配もかけたし、いい子じゃないです。私は。」
いい子なんかじゃ・・・。
「そんなことない。親にとって一番嬉しいことは子どもに迷惑をかけてもらうことよ。」
私の言葉に、ママが首を振って言った。
「ママ・・・。」
「確かに聖音のおかげでどんなに大変だったか・・・。でも親としては嬉しいの。本当の親じゃないけど、本当の親のように、謝ることも、看病をしたことも。」
不良の娘だったから、人一倍ママに迷惑をかけたよね。
「だから嬉しかったの。けれど・・・こんな日が来ることもわかってたはずなのに、やっぱり・・・。」
ママは小刻みに震えながら、手で顔を覆っている。
泣いているんだ。
「・・・・・・。」
声が出なかった。
出せなかった・・・。
何を言ったらいいのかわからなかった。
私が戸惑っていると、
「百合さんは・・・百合さんと修斗さんは本当に聖音を愛して、育ててくださったんですね・・・。」
音緒さんは言った。
「だから私の親は・・・パパとママ、そして、音緒さん、聖斗さんの4人なんです。みんな私を愛してくれてる・・・。」
そう。
今日まで、私を忘れなかった本当の両親。
今日まで、二人の代わりに私を守って、愛して、叱って、育ててくれたパパとママ。
どっちも私の大切な人。
「聖音・・・本当にごめんね。今まで・・・ごめんなさい!!」
音緒さんはすっと立ち上がると私の傍に来て・・・
私はそっと包むように抱き締められた。
それはふんわりと温かくて・・・
気付くと私は泣いていて、それを見た聖斗さんも私の傍に来て、そっと頭を撫でてくれた。
そして悟った。
離れていても、家族は家族で。
私はちゃんと愛されていて。
大きな愛で守られていた・・・。
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