第十八話 真実
「約束の話をする前に、聖音の本当の親。俺の弟達の話をしよう。」
「本当の親・・・。」
「俺の弟はな、聖音もきっと聞いたことがあるよ。音楽家の、朝日奈聖斗なんだ。」
「え、あの?」
「ああ。」
「嘘・・・。」
朝日奈聖斗っていったら、有名なコンクールで何度も優勝したり、凄い賞もらってる、天才ピアニスト。
でも凄いのはそれだけじゃない。
今は指揮者としても注目を集めている。
そんな人が・・・。
「そしてお前の母親。もうわかるだろ?」
朝日奈聖斗の奥さんは・・・朝日奈音緒さん!!
音緒さんは、ヴァイオリニストで、聖斗さんと同じく有名。
数々のコンクールで上位に入賞したりしている。
そしてそのスタイルのよさ、端麗な容姿でモデルとしても人気がある。
そんな二人が私の本当の親?
「嘘のような本当の話。すぐには信じられないだろうけど、本当なんだよ。」
頭の中が混乱してる。
いきなりすぎて。
驚きすぎて。
「そしてこれだけは分かってやって欲しいんだが、あいつらはお前を捨てた訳じゃない。愛するが故、手放したんだ。」
「・・・・え?」
「お前を守る為に・・・。」
「私を守る為・・・?」
「そう・・・。ここからはお前が生まれて間もない頃の話―。」
――パパの話はこう。
私が生まれた時、聖斗さん達はもう有名人だった。
聖斗さんは18の時有名なコンクールで優勝し、脚光を浴びていた。
音緒さんとは中学の時知り合って以来の仲。
聖斗さんが高校に進学した直後から交際していたらしい。
そして聖斗さんが20歳、音緒さんが18の時、私を妊娠。
すぐに籍をいれた。
それは有名な音楽家同士の結婚で、すぐに世間が注目した。
その後私は二人に、そしてパパ達に祝福されて生まれた。
・・・だけど事件は私が生後3ヶ月の時に起こった。
忙しい二人は私を保育所に預けていたが、保育士の目を盗み、私は誘拐されたらしい。
今こうしているのだから無事犯人は逮捕された。
でも、その後。
私が1歳になる2日前。
私はまた誘拐された。
保育所は危ないからと雇ったベビーシッターが掃除中、少し目を離した瞬間にに私はまた誘拐された。
その時も無事犯人は逮捕されたが。
それをきっかけに二人は悩んだ。
犯人は二人に関係があったから。
二人に恨みをもつ人間だったから。
このまま私達の傍にいたらこの子はいつか殺されてしまうかもしれない。
そう考えた二人は子供がいない兄夫婦に相談した。
そして・・・私を養女に出すことを決めた。
傍にいなくても無事に生きていたらそれでいい。
二人は私を守る為に・・・。
それは私が1歳4ヶ月の時。
それから今まで。
今年16歳になるから、15年間。
パパとママは私を守り、本当の娘として育ててきてくれた。
世間には秘密で私を養女に出したから、事件に巻き込まれることもなく、生きてこれた。
「聖音には約束があったから黙ってけど、白血病で入院した時もちゃんとお見舞いを送ってくれたのよ。」
ずっと黙ってたママが言った。
「私からってことにして聖音には色々渡してきたわ。誕生日の時も・・・。」
本当のパパとママが?
「今聖音がしてるそのネックレスは音緒さんとお揃いになってるのよ。」
このネックレスは確か白血病で入院中にママが気に入って、買ってきてくれたものじゃ・・・。
「クリスマスにって音緒さんが送ってきたものなの。それだけじゃないわ。入院中に着てたカーディガンもそう。」
あれはパパがくれた・・・。
パパが買ってきたにしてはセンスがよすぎるって思ってた・・・。
「そうだったんだ・・・・。」
「嘘ついてごめんね。でも約束だから仕方なかった・・・。」
「・・・ねぇ、約束のこと教えてよ。さっきからずっと言ってる約束のこと。」
「ああ。わかった。聖斗達との約束は全部で3つあるんだ。」
「3つ?」
3つの約束―。
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