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その女にご用心!
作:ネガティブダイスケ



第6話 心の叫び


「あれ?なんでお前がいんの?」
「あんたが昨日車にひかれたってアツシから電話がかかってきて、それで目を覚ましたら病院に連れてってやってくれって頼まれたんだよ。一応あんたが気絶してる時に救急病院で応急手当はしてあるってさ。」

「あーそうだ。思い出した。昨日おれが気絶したあとのことどうなったか聞いてる?」
「いや、なにも聞かされてないよ。あたしは昨日の仕事の内容すら知らないし。あとでアツシに聞けば?ところであんたお腹空いてる?」
「そういや、腹減ってる。」
「じゃあ、なんか適当に作るから、食べたら病院行くよ。」台所に向かうサヤカ。

「迷惑かけて悪いな。今度なにかでおかえしするよ。」
「別に気にしなくてもいいよ。あたしも暇だったし。それに車にひかれた人間を放っておいたら目覚めが悪いしね。」

時計を見たら午後の一時だった。
「ところでサヤカ、お前暇だったって今日学校あるだろ?」
「はじめから今日は休むつもりだったんだよ。それで出かけようかと思ったんだけど、一人で行くのもあれだし、誰かいないかなと考えてたときに、アツシから連絡があってね。」
「まさか、お前…」
「察しがいいね。トシ、あんた病院行ったら暇だろ?付き合えよ。」
「ちょっと待て!お前は今日家に何で来た?」
「バイク。」

ひゃーーーーーーー!!トシヤは心の中で叫び声をあげた。
まずい、まずいぞ。奴のバイクにだけは乗りたくない。なんとかしなくては!
「ほら、できたよ。食べな。」テーブルに料理を持ってくるサヤカ。
とりあえず食べてからサヤカを説得しよう。

食事を食べ終え、話を切り出すトシヤ。
「なーサヤカ。おれどうやらアバラ何本かイッてるみたいなんだ。だから病院までタクシーで行こうと思うんだけど、どうかな?」
「あー?なんだって?トシ、テメーは人がせっかく送ってやろうと思ってたのに、タクシーで行くだ?もう一本アバラ折ってやろうか?」トシヤを睨みつけるサヤカ。
「はははー、なーんて、冗談に決まってるじゃないか。はははー。」
目がマジだった。こいつはやる!おれのアバラを折ってでも乗せる気だ!あきらめよう。怒らせると怖いし。

嫌々だが、サヤカのバイクで病院まで行くことになった。
サヤカのバイクは赤いデザインで、ロードレーサーが乗るような形だった。
「ほら、乗りなよ。」
「はぁー。」深いため息をつき、バイクの後ろにまたがるトシヤ。
「おい!どこにつかまってんだよ!」
トシヤの両手はサヤカの両肩を掴んでいた。
「えー、男が女にしがみつくのってなんか恥ずかしいだろ。これなら恥ずかしくないだろ?」
「アホかテメーは!あたしが恥ずかしいんだよ!いいから腹に手をまわせ。」
強引にトシヤの手を掴み、しがみつかせるサヤカ。

しかし、こいつ細い体して、よくこんなでかいバイク乗れるな。細い割りに胸も結構あるし。関係ないけど。
「出発するよ。」サヤカはバイクを発進させた。

病院にわずか15分足らずで着いてしまった。
「お前スピード出しすぎ!けが人乗ってんだからゆっくり走れよ。」
「なんでもいいから早く行けよ。あたし外で待ってるから。」
「いや、おれ帰りはタクシーで、」
「なんか、言ったかテメー!」トシヤを睨みつけるサヤカ。
「いえ、何も言ってないです。お姉さま。」
「あら、そう。いってらっしゃい。トシ君。」にっこりと微笑むサヤカ。

病院での検査やら会計やらで二時間ぐらいかかったが、混んでなかったため思ったより早く終わった。
病院の駐車場でサヤカはタバコを吹かしていた。
「おい!目立つところで吸うな。ただでさえお前の頭は目立ってんだから。」
「別にいいじゃん。あたしの勝手だろ。しかし思ったより早かったね。ところでさ、あたし考えてたんだけど、」
「なんだ?病院でも襲う計画でも立ててたのか?」
トシヤの言葉を無視して話をつづけるサヤカ。

「トシ、夕焼け見たくねーか?あたしいい場所知ってんだよ。」
見たくないと言ったらまたキレるパターンになることがわかっているため、逆らわないことにしたトシヤ。
「へー、そんなところがあるんだ。見てみたいなー。」棒読みで言うトシヤ。
「そうか。そんなに見たいのか。じゃ今から見に行こう!」はりきるサヤカ。

サヤカはトシヤを乗せて目的地へ向かった。
30分ぐらいで目的地の海に着いた。
トシヤは怒っていた。
「このバカヤロー!公道で140キロも出すな!もう嫌だ!」
トシヤの言葉を無視して、遠くの景色を見て語りだすサヤカ。
「トシ、あたしら風になったね。間違いないよ。」
「間違いだらけだろうが!」
「どうだい?いい景色だろ?」
ちょうど夕陽が海に沈みかけている瞬間だった。
「まー、確かに見て損はないな。」怒りを忘れて夕陽が沈んでいくのを見るトシヤ。

「日も沈んだことだし、帰ろうぜ。」
もう帰れるだろうと、ほっとするトシヤ。
「トシ、何言ってんだい?これからじゃないか楽しいのは。まだ帰さないよ。」

ひぇーーーーーーーー!!心の中で叫び声をあげるトシヤ。
サヤカとトシヤの夜が始まる。


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