第15話 エンジェルドライブ編 危険なドラッグ
学校の屋上でトシヤとサヤカは話をしていた。
「ねー!トシ!今日、トシの家に泊まっていってもいい?」
「ダメ!そんな時間はない!だからダメだ。」
「じゃあ、明日は?」
「ダメ!明日も忙しいの!」
「なんでー?あたしとトシの関係をもっと深めようよ!ねー!トシ、聞いてんの?」
「サヤカ、ちょっとしつこい!昨日、アツシに言われたこと忘れたのか?」
「エンジェルドライブっていう薬のことだろ?覚えてるよー。」
「それだけじゃなくて、時間がかかる仕事だって言ってただろ?この仕事が終わらない限り、おれたちに自由な時間はないんだよ。」
昨日、アツシから仕事の話があった。
「久しぶりに面倒な仕事を頼まれた。おまえら、エンジェルドライブって知ってるか?」
「なにそれ?ロックバンド?」逆に聞くケイスケ。
「おれも知らん。」続くトシヤ。
「あたし、知ってるよ。後輩がしゃべってるのを聞いた程度だけど。ドラッグだろ?」サヤカが答える。
「そのとおり。覚醒剤に近い薬物だ。この薬が最近街に出回っている。今回の仕事は、黒幕を見つけ出すことと、薬をさばいてたのに関係した奴らをできるかぎりブチのめすこと。後者の仕事は、他のいくつかのチームから頼まれたことだ。」
「どこが面倒なの?そんなの売人捕まえて黒幕吐かせれば済むことじゃん?」怪訝そうに聞くケイスケ。
「その売人が捕まらないんだよ。薬を手にいれた奴から聞いた話だと、薬がなくなりかけると売人のほうから買った奴の携帯に連絡するらしい。後は売人が指示したとおりに動き、売人が金を手に入れたら、物を渡すって方法さ。そこで、一番やっかいなことが売人の姿を一度も見たことがないってことだ。」
「あれ?なんか引っかかるな?一度もって、最初はどうやって手に入れたんだよ?」
「そいつの話によると、クラブでベロベロになるまで飲んだ後、家に着いたら、ポケットに薬と携帯の番号が書かれた紙が入っていたらしい。その紙には、 飲んでみろ。そうすれば、お前は天使の車でどこまでもイケる。 と書いてあったそうだ。エンジェルドライブの名前はそこから誰かがつけたんだろ。」
「でもよ、薬やってる奴なんていまどき珍しい話でもないだろ?どうしてその薬にこだわるんだ?」
「その薬で、死人が出てるんだよ。それも一人や二人じゃない。聞いた話だと二ヶ月間エンジェルドライブをやってる奴はほとんど死んでる。その死因は全部自殺だそうだ。この薬の怖いところは、強い依存性と薬の副作用だ。頭が完全にイカれちまうらしい。その他にも問題がある。手に入れた薬がエンジェルドライブだと知らない奴が増えてきていることだ。」
「どういうことだ?」
「薬を買った奴を売人にしているんだ。薬をサービスしてやるかわりに知り合いに薬を売り、その金を本物の売人が徴収する。こうすれば本物の売人のリスクが減り、なおかつニセ売人が増えていき、金の回りが良くなる。奴ら、狡猾で警戒心が強い上に、頭がキレる。本当なら断ってる仕事なんだがな。奴ら、中学生にも薬を売ってるらしい。こんな話聞かされて黙ってられるか?」
「黙る必要はないね。見つけてぶっつぶす。」やる気十分のケイスケ。
「あたしは、トシさえいればいいけどね。でも胸くそ悪い話だからそいつらぶっつぶすのには賛成。」トシヤの腕にくっつくサヤカ。
「離れろ、サヤカ。真面目な話の最中だろうが。聞かれるまでもない。当然ぶっつぶす。」
「オーケー。長期戦になるかもしれないが、我慢してくれ。それじゃ、明日から動くぞ。仕事が片付いたら、なんかおごってやるよ。」
以上が昨日のことだった。
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