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19−腕慣らし
朝だ。

今日もルーン文字の刻印付き寝具のお陰で、爽快な目覚めである。

ついつい鼻歌交じりになりながら着ている服を着替えると部屋を出る。


「おはようございます。」

「ん、おはよう。」

「おはようございます。」


いつもの事ながら、俺より早く起きて朝食の準備をしてくれている2人がいる。


今日はパーティー結成して初日。3人で腕慣らしに迷宮に入る日だ。

久しぶりの迷宮という事もあって、ヴェーリルさんもロスヴァイセさんも、気合いが入っているようだ。


「何か手伝う事とかありますか?」

「いや、もう出来上がるから、エリクサーの準備でもしてて待ってて?」


その日迷宮に持っていく分のエリクサーは毎朝に用意している。今では小瓶を1人2本ずつ用意しており、小瓶に水を注ぐと出来上がり。

これが今や迷宮に入る時の重要なアイテムになっているのだから、ロスヴァイセさんは凄いと思う瞬間でもある。


「エリクサー準備出来ましたよ。」

「こっちも朝食完成したわ。」

「パンも人数分焼けました。」


今日の朝食はポーチドエッグとカリカリに焼いたベーコン、それに熱々のパンが食卓に並んだ。


「「「いただきます。」」」


3人揃って食卓に着く。これから迷宮に入って家に帰ってきて、寝る時以外は一緒の時間を共有するのだ。これからはより一層仲良くやっていこうと思う。


「そう言えばケイ君。今は何階まで行けるの?」

「昨日の迷宮は70階で帰って来ましたよ?」

「む、相変わらずハイペースね。」

「すいません、私が70階と言ったから・・・」

「いや、どっちみち70階くらいまでは行けたから問題無いよ。」

「そっか。それじゃあ今日は65階ぐらいから入って行こっか。65階って何の魔物が出るんだっけ?」

「65階は確か・・・」

「大蛇がワンサカいますよ。」

「あぁ思い出した。あそこら辺はかなり面倒だったな。その時は頭ぶっ叩いて倒すしか出来なくてさぁ。」

「あの大蛇、口の中が弱点ですよ。外皮に比べると格段に防御力無いですからね。」

「ケイさんはその方法で倒していったんですか?」

「うん。口の中に剣を腕ごと突っ込んで、闘気を注いで爆発させると簡単に倒れてくれたよ。」

「へぇ〜。ケイ君、自分でブラスト使えるようになったんだ。」

「ブラスト?」

「今ケイ君が言った闘気を集めて爆発させる技だよ。ナイトの基本技の1つだね。そうかぁ、自分で扱えるようになったのか。流石だねぇ。」

「闘気を使った技って他にもあるんですか?」

「色々あるみたいですね。マジシャン向けやバトラー向け、ナイト向けに色んなスキルを教える場所がありますから。」

「へぇ〜、そんな場所があるんだ。」

「勿論有料ですけど、私も時間があったら魔術の威力を上げる方法を学びに行きたいと思ってます。」

「そうね、迷宮に入らない日は雑貨屋開店と各人のスキルアップにしましょっか。」


他愛の無い会話をしながら朝の一幕は過ぎていく。


朝食の片付けまで済むと、各人部屋に戻り、迷宮に入る準備をして玄関に集合する。

ヴェーリルさんは見慣れた立派な防具と、大きな鎚を背中に装備している。

ロスヴァイセさんは厚手のコートの様な物を羽織っているが、その下は軽いライトアーマーを着込んでいる。肉体的に非力に分類されてしまうマジシャンは、重装備をすると動きが遅くなってしまうのだ。


そして俺は新調した騎士甲冑(ナイトメイル)と借り物の愛剣レヴァンテイン。メイルには昨日の夜にロスヴァイセさんカスタムでルーン文字の刻印をして貰った。防御力の上がる硬化と自己修復、そして体力増加を刻んでもらった。


「それじゃあ行こっか?」


3人の準備が整ったのを確認して家を出る。迷宮までの道すがら、迷宮に入った後の行動を取り決めながら歩いた。


先ずは3人の力量を計る為にそれぞれが力を示す事が決定された。

しかし、力を示すと言っても、どこまでを示せば良いのか分からない。曖昧な感じは残ったが、とりあえずやってみよう的な考えでいた。


「『階層65階』。」


3人で迷宮に入ると早速大蛇が2匹現れた。


「先ずは私から行きます。」


先陣を切ったのは意外にもロスヴァイセさんだった。

ロッドを振りかざし、ロッドの先を大蛇に向けると言葉を発する事無く炎の弾が連射された。

1発1発の威力はそう高くない様だが、息の付く暇の無い連射に大蛇も大きくグラつく。


「ギャァァァァッ!」


大口を開けてロスヴァイセさんに向かっていくが、そこは弱点だと教えたばっかりだ。

口の中を狙って連射された炎の弾を喰らい、頭部を烈火に包まれながら大蛇は倒れていった。


「中々やるじゃない。」

「ロッドのお陰ですね。思っていたより威力が上がってます。」

「ロスヴァイセさんは術を出すコントロールが良いのかな。見事に弱点を狙って撃ってましたね。」

「マジシャンは術の威力や幅なんかは勿論なんですけど、コントロールが結構重要なんです。狙った所に狙ったタイミングで術を落とす。これが大事なんです。」


確かに欲しい時に欲しい援護射撃が来るのは有り難い事だ。自信を付けて、力も付けてくれば、ロスヴァイセさんは立派なマジシャンになれるだろうな。


暫く迷宮の中を歩いて行くと、今度は4匹の大蛇がひしめき合っていた。


「今度はアタシが行くわ。」


大鎚を握り締め、フワリと浮いたかと思った瞬間、銃弾が発射されたかの様なスピードでヴェーリルさんが空中を駆け出した。

そのスピードから繰り出される一撃一撃は流石の威力で、俺が斬る事の出来ない大蛇の頭を、一発で粉砕して見せた。


恐らく特殊能力を全開で使っているであろうヴェーリルさんの前では、ここいらの魔物では歯が立たない様だ。


空中でいきなり向きを変えるなんて不可思議な動きまで見せてくれたヴェーリルさんは、4匹の大蛇を、たった4発の鎚の一撃で見事に倒してのけた。


「っとと、こんなもんかな?」


俺達2人の前に見事着地して見せたヴェーリルさんに拍手を送ると、若干照れた表情で自分の動きを解説してくれた。

ブラストを自己流で編み出すなんて発想は、素直に素晴らしいと感じる程だ。


「さて次は我らがケイ君なんだけど、どんな戦いを見せてくれるのかな?」

「ん〜・・・そうですね。戦いを見せる前に、2人には話しておかないといけない事がありますね。特にロスヴァイセさんには初めて話す事です。しっかり聞いて下さい。」


俺は改めてこの世界の住人じゃない事を話した。話した理由は、パーティーを組んで、隠し事をせずに自分の手の内を見せてくれた2人に対して何となく、という物だったが、意外にもしっかりと聞き止めてくれた。

まぁ『英雄を作るゲーム』という事を話すと、この世界の住人達の存在等があやふやになってしまうし、変に担がれても困るので黙っておいたが・・・


「・・・それでこの剣を渡されたんです。」


背中からレヴァンテインを抜き、2人にも見えるように構える。


「この剣には9つの封印が施されていたそうです。今は2つ解いてあるので、残りは7つですね。」


改めて自分で話してみると、過ぎた武器だとも思う。だが渡されたのだから使っても問題は無いのだろう。


「封印を解いたお陰で、簡単な魔術なら使えるようにもなりました。まぁ本職のマジシャンには遠く及ばないでしょうけど、それなりの使い勝手はあります。」


掌に魔力を集め、それを炎に変えたり氷に変えたりして見せ、最後に風に変えて消し去った。


「あと、この腕輪。ドラウプニリルって言うんですが、この中にはこの世界に存在している神獣を使役して住まわせる事が出来ます。今はその神、ジークルーネが連れて来た狼のレオ1匹しかいませんけどね。レオ、出ておいで?」


言葉に従って、3人の目の前に現れるレオ。一瞬2人が身構えそうになったが、俺の横にちょこんと居座るレオの姿に警戒は少し解いた様だ。


「このレオと俺が一緒に戦っている時が俺の全力ですね。」


恐る恐るといった形でレオの頭を撫でるロスヴァイセさん。どうやら信じてくれている様だ。


「それで・・・そのケイ君の全力の力っていうのはどれくらいの力なのかな?」

「そうですね・・っと・・・」


長く会話をしていたせいか、スルスルと大蛇が近寄って来る音が聞こえた。


「無傷で倒そうと思ったらこんな感じです。レオっ!」

「ヴォンッ!」


既に身構えていたレオは俺の声を合図に吹雪を吐き出した。次第に低くなっていく温度の中、現れた大蛇2匹は既に動きが鈍くなっていた。

その大蛇に近寄り、口の中にレヴァンテインを突き刺しブラストを使う。2発の爆発音が迷宮に響いた後、残ったのは精霊珠だけであった。


「こんな感じです。」


無力化させて戦うという発想が2人には新しかったのか、腕を組みながら感心していた。


「ナイトとしての技はブラストしか使えないんですが、魔術と組み合わせて、レオの援護もあってこんな感じです。」

「成る程、ケイ君は戦いの発想がアタシ達とは少し違うみたいね。戦術を駆使して戦うタイプなのかな?」

「魔術も使えるなんて・・ケイさん凄いですね・・・」


何か都合良く解釈してくれている様だが、俺の行動は戦術なんて呼べる物でもないし、魔術も理を理解して具現化させるだけの入門魔術だけだ。

経験を積めばそれも変わってくるだろうが、今の所劇的に変わる何かは無い。

俺の力は2人に比べると結構中途半端な位置所なのだ。


「まぁ普通のナイトより異質なのは仕方ないよね。魔剣士(ソードマギ)でもないのに魔術使えるんだもん。」


魔剣士(ソードマギ)とは騎士(ナイト)系ミドルクラスの一種で、その名の通り魔術と剣を織り交ぜて戦うクラスだ。


「そうなんですよね・・・ソードマギへのクラスアップはしていませんから、次の鑑定でどうなるかがちょっと分からないですね。」


まぁ成るようにしか成らないのだから、此処で論議していても何も変わらない。

此処ではそんな事よりもやるべき事がある。


「団体で来ましたね。」

「よぉし、やるかぁっ!」

「え、援護します!」


ワラワラと集まって来た大蛇に向かって構えを直すと、ヴェーリルさんと俺が飛び出し、ロスヴァイセさんが後方支援、その護衛にレオを付かせ掃討は始まった。





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


ある程度階層を重ねると、3人と1匹のコンビネーションもそれなりの物になってきた。


エアブラストを駆使して迷宮の中を縦横無尽に駆け巡り、1発で魔物を排除していく破壊力抜群のヴェーリルさん。

後方から無数の魔術を連射し、ヴェーリルさんや俺の攻撃する隙を作り出しているロスヴァイセさん。

そして常にその周りを走り回り、ロスヴァイセさんへの攻撃を防いでいるレオ。


・・・俺、仕事してないっぽいな。

仲間の観察をしていたら、自分がサボっているかの様な感覚に襲われ、気を取り直して目の前のオークゾンビ3匹と向かい合う。


何か、既に魔術を数発喰らって隙だらけだ。

一足飛びに詰め寄り、剣で細切れに斬り刻む。

それがこの階での最後の魔物になった。


「ふぅ、何か人数が増えると楽勝になっちゃいますね。」


65階から入って来て、小休憩を挟みながらもう80階に到達する。


「それだけパーティーの相性がいいって事かな?3人がお互いの邪魔にならない様に戦って、それが1つの型として出来上がっているんだもの。」

「私も戦いやすいです。」

「そんなもんですかね?」


3人が邪魔にならないと言うより、バトルスタイルが被らないと言った方が適切だろう。

そのお陰か3人とも自分の役割が明確でやりやすいんだろうな。


「次は80階か。80階からの魔物はどんな奴ですか?」

「80階から100階まではボーンファイターって魔物がうじゃうじゃ現れるよ。これが最初は結構てこずるのよ。」

「てこずる?特殊な魔物か何かですか?」

「そうじゃなくてね、何て言うのかな、今までは力押しでも何とかなる魔物だったじゃない?それがボーンファイターはキチンと戦える魔物なの。」

「戦える魔物、ですか・・・」


確かに今までは形に嵌めれば楽勝と言えた。それが今度からはしっかりと戦える魔物が現れる。

頭で理解していても、少し納得出来ないな。


「まぁ戦ってみれば分かるよ。最初は手出ししないから、ケイ君が1対1で戦ってみたら?」

「分かりました。『階層80階』。」


3人で80階へと移動する。80階へ到達し、1人前に出る。後ろから2人が着いて来る形で迷宮の中を進むと、早速ボーンファイターと呼ばれる魔物は現れた。


見た目は骸骨の戦士。オーソドックスな剣と盾を持ち、こちらの様子を伺っている。

確かに愚直に攻撃するだけだった今までとは少し毛並みが違うようだ。


「はぁっ!」


このまま睨み合いを続ける訳にもいかず、先ずは様子見の為にこちらから斬り込んだ。

盾を持っていない逆袈裟から斬り込む。肩口への一撃。当たると思った瞬間、レヴァンテインは綺麗に盾でガードされた。

驚いたのは次の刹那、盾を死角に剣が突き出てきた。

咄嗟に体をズラしてそれを避けるが、頬の皮が1枚裂けた。


「成る程ね。」


『戦える魔物』の意味が分かった。

今までの魔物は単調な攻撃しかして来なかったが、このボーンファイターからは理にかなった攻撃や防御をしてくるのか。

魔物の使う剣術に流派があるかどうかは知らないが、これは確かに階層が上がり、上位の魔物であると言える。


「まだまだぁっ!」


今度は盾ではなく剣の方を狙って叩き付ける。上手く鍔ぜり合いに持ち込めた。

ギリギリと剣同士が押し合いをしているが、力では俺の方が若干上をいっている様だ。

ふと力を緩め、ボーンファイターが一気に力を込めて押し返して来た所で体を反転させる。そして隙だらけの胴体に体当たりをぶつける。

ガチャガチャと音を立てながらバランスを崩した所で、首の骨を斬り飛ばす。頭を失ったボーンファイターはその場に崩れ落ち、チリンと精霊珠がドロップした。


「お疲れさま。戦ってみた感想としてはどうだった?」

「確かに戦える魔物ですね。でも、手応えは感じますけど、まだ余裕はありますよ。そんなに危惧する程のレベルの魔物じゃないって事ですかね。」

「戦い方やボーンファイターの持つ武器によってまた違ってくるから、一概に今の奴でどうって事は言えないけどね。まぁ今の戦いからすると、そんなに心配は無いか。」


そう言うと今度はヴェーリルさんが前に出た。


「一応アタシの力も示しておこっか。」


そのまま歩きだし、迷宮の中を歩き回った所、この階2体目のボーンファイターと遭遇した。

タンッと軽く飛び上がったかと思うと、急角度でボーンファイターに向けて落下し、その勢いのまま鎚を振り落とした。


ガガガァン!!


ボーンファイターはしっかりと盾を構えていた。防御の上からだというのに、ヴェーリルさんの攻撃はその防御を軽々と突き破り、ボーンファイター本体をも粉々に砕いていった。


「一撃ですか・・流石ですね。」


重量武器を扱う、正に剛の戦い方の見本の様だ。


「今のアタシで出来るんだもの、ケイ君も力を付ければ楽に出来るわよ。」

「ロスヴァイセさんも倒せるんですか?」

「ま、マジシャンの私はちょっと相性が良くない相手ですから・・・」


確かに接近戦を仕掛ける相手とは最悪の相性だろうな。まぁ今はレオが付いてるから大丈夫だろう。


「さて、80階からの魔物も問題は無さそうですから、ここも一気に駆け抜けますか。」


軽く柔軟をして、剣を握り直すと先陣を切って迷宮の中を歩き始めた。


ボーンファイターは剣だけを扱う魔物ではない事が次に現れた魔物で分かった。鎗や手斧等を持ったボーンファイターが次々と現れたのだ。

これも経験と思いながら俺が先陣を切って戦っていく。その甲斐あってか、ボーンファイターの倒し方という物が何となく身について来た。

武器捌きはまだ俺の方が優位にいるが、それだけでは少し荷が重い。大蛇やオークゾンビの時の様に、いかにして相手の隙を作り出すかが戦いの鍵だった。

剣だけに頼らず、体当たりや蹴りも加えてタイミングや体勢を崩す。生憎と異種技にはそれなりに精通している。こういう決まった形の相手ならそれが大いに役立った。

鉄パイプを持っての大喧嘩も案外役に立つもんだな。


「っしゃぁ!」


闘気を込めた脚で盾を持っている腕を蹴り飛ばす。グラリと体勢を崩した所に剣を突き刺し、盾を持った腕を斬り飛ばす。横薙ぎに繰り出される剣に対し、体を屈めて一気に詰め寄る。喉に突き刺すような形で突きを放ち首を切断する。

バラバラと骨は崩れ落ち、チリンと精霊珠が落ちる音がした。


「ケイ君ちょっと飛ばし過ぎじゃない?」

「いや、そうでもないですよ?それにここいらの魔物に俺は初対面ですから。少しでも攻略法を体に染み付けなきゃいけませんからね。」


80階から85階まで、俺1人ノンストップで戦い続けている。そのお陰か大分慣れてきた。


「でも流石に動きが遅くなってきているからね。はい、選手交代。ちょっと休んでて?」


端から見てそう見えるのならそうなんだろう。言われた通りにバトンタッチし後ろに下がった。


「お疲れ様です。すいません、あまり役に立てなくて・・・」

「戦いには向き不向きがあるからね。気にしないでいいよ。今度現れる魔物がロスヴァイセさんに有利なら、その時に頑張れば大丈夫だよ。」

「はい。頑張ります。」


エリクサーを1口飲みながら軽く息を整える。その間はヴェーリルさんが戦闘を行い、ロスヴァイセさんとレオ、そして俺は邪魔にならないよう後ろで見守っているだけだ。

ふぅと深呼吸をして現状を確認する。

今日はパーティーで迷宮に入って初日。65階から85階までやって来た。パーティーでの進度が平均どのくらいなのかは分からないが、まずまずの結果を残せていると思う。


「やぁっ!」


前線では大鎚を振り回しながらヴェーリルさんが次々とボーンファイターを倒していっている。予想はしていたが、普段の優しいヴェーリルさんとは掛け離れた姿だ。


「さて、休憩も済みましたし、俺も前線に出ますね。レオ、ロスヴァイセさんの周りは任せたぞ?」

「ヴォンッ!」


レオの一鳴きを合図に飛び出し、横を向いていたボーンファイターの頭部を斬り落とす。


「ヴェーリルさん、ここも一気に駆け抜けましょう!」

「了解っ!」


今度はロスヴァイセさんも攻撃に加わり、一気に勝負を仕掛けていく。次々に現れるボーンファイターは、この階層もそろそろ終了が近い事を告げている。

更にギアを1つ上げ、大車輪の勢いで転送台目指して突っ走った。





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「階層が階層だったし、こんな物かな?」


迷宮を出てハウスに寄った後、換金した金額を知ったヴェーリルさんの感想がそれだった。

本日の収入20万8020ソル。

3人で分ければ7万ソル弱だが、パーティーの初陣としてはまずまずだろう。


「明日はどうしますか?」


家路の途中でヴェーリルさんが切り出す。


「明日かぁ。アタシは久しぶりに買い物にでも出掛けてみようかな?雑貨屋は明日休業するんでしょ?」

「はい。技能屋(スキルポイント)に寄って新しい魔術を覚えてこようと思います。ケイさんもいかがですか?」


技能屋(スキルポイント)とはその名の通り、各クラスに合った技能(スキル)を習得させてくれる場所だ。

ブラストの時のように、自力で覚えたり編み出していく場合もあるが、クライマーの多くは技能屋(スキルポイント)技能(スキル)を覚えていく。

技能(スキル)によって受講料は変わってくるらしいが、まだまだ駆け出しのナイトである俺はそう掛からないだろう。


「そうだね。ブラスト一辺倒の戦い方はそろそろ卒業した方がいいだろうね。明日は俺も技能屋(スキルポイント)かな?」

「よし、それじゃあ明日の予定も決まったし、今日はちょっとだけ豪華な夕食を取りましょっか!」


足の向きを少し変え、飲食店がひしめき合う通りへと向かう。

パーティー初戦の成功を祝って、俺達はささやかな打ち上げを行った。
パーティー初陣は成功で終了です。まだまだ先は長いですからね。ここで満足してちゃいけませんね。

目指すは100階なんですから(ぇ


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