表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

乙女ゲーみたいな世界と私の秘密

作者: かわた

某乙女ゲームっぽい設定と書いてから気づきました。



このファンタジー世界に来てから早1年。

巫女として召還されてから悪霊の達の魂を封印する旅も大分なれた。


最初戦闘には苦戦したけれど今となってはロッドで悪霊をぼっこぼこにぶん殴っている。

それにロッドはパーガトリアの塔で火属性のものをひろったから攻撃力があがった。

メラメラ燃える敵を浄化するまで放置してほくそ笑んでいる余裕まである。

そう、私は結構たくましく生きている。



「次はサイネ村ですね。

 この村では乙女ばかり狙う悪霊がいるとの噂です」


「なんて不埒な・・・」


情報担当の賢者が次の目的地の噂をいうと剣士が顔を歪ませた。


今私たちのパーティーは6人いる。


先ほどいった賢者は知的でメガネな青髪のイケメン

剣士は金髪碧眼な正統派イケメン、しかも王子というオプション!

他にはシーフがいて、こいつはちょっとチャラそうな半裸な赤髪のイケメン

武道家は引き締まった筋肉がすごい、寡黙な黒髪のイケメンだ。

白魔術師は穏やかで可愛らしい14歳くらいの銀髪のショタだ。


そして最後の一人私はこの世界で唯一の『祓魔師』と呼ばれる巫女様なのである! 

残念ながら顔はウルトラスペシャル平凡な普通顔である。






ツッコミをいれていいだろうか?


なんだよこれ!乙女ゲーみたいじゃねーかよ!!!!(心からのシャウト)


私以外は全員男。・・・・ここまでくるといっそ清々しい。

乙女ゲームだって一人は女の子がパーティーにいるだろうに。


トイレとか生理の時スゲーッみんな困ったような反応するのが、正直辛い。

もっと、こうさ、ラフな感じに小便してくるぜ!みたいなノリにしたいが

中途半端に自分でキャラ作っちゃった所為かいまさらできない・・・。




「ここがサイネ村か、ショッボイ田舎だな~」


「こら、そんなこといっては駄目ですよ!」



シーフが欠伸をしながらつまらなさそうにいうと白魔術師が注意をした。

最近白魔術師はこのシーフを年上と敬うことはやめたらしい。いい傾向である。

賢者と剣士が早速聞き込みにいったようで私たちはぶらぶらと村を見て回る。


「巫女!これおいしいですよ!」


「わあ!ありがとう!!」


メロンみたいな果物を白魔術師が手渡してくれた。

一口食べると果汁のスッキリとした甘さがじゅわああと口に広がって!!

うわあああああ!!!!


「おいしいっ!!!!」


「巫女、口に・・・」



武道家がハンカチ・・・いや、手ぬぐいでグイグイと私のほっぺたをぬぐう。

ぐぬぬ、粗い繊維の所為かヒリヒリと頬が痛いが悪気はないので責める訳にはいかない。

笑顔でお礼をいうとぽんぽんと頭を撫でられた。



「皆さん悪霊の場所が分かりましたよ」


「こちらから少し離れた山の入り口のようです」



それでは行きましょうと2人に促され

我々パーティーはそのスケベな乙女ばかり狙う悪霊のとこへ向かったのだ。



「巫女、ここは足場が悪い、私に掴まりなさい」


「え?こんくらい大丈夫だよ?」


「怪我をしては危ない」


「過保護だなぁー」



そういいながら私は剣士の手をとった。


パーティーの中で剣士が一番過保護だ。

多分国が私を召還してしまった負い目もあるだろうしこのクソ真面目な性格なのもあるだろう。



正直に言おう。

こんな色んな美形に優しくされていい気にならないわけがない。


まぁ恋愛感情ではないにしろみんな私を大事にしてくれている。

一番態度の悪いシーフでさえ戦闘時は私を背後に庇うのだ。


自惚れるよねー。そりゃあずいぶんと。

だけれど私の鉄壁の鋼鉄のダイヤモンド並みの硬さの理性が阻止した。



・・・すいません、嘘こきました。



この自制心は鉄壁の理性じゃない、



みんなへの罪悪感で、私がその気になれないだけだ。






「ここが、」


「木のアーチなんて誰かが手入れしているみたいだな」


「多分悪霊でしょう、さあ行きましょう」



まるでちゃんと整えられたように美しく木がアーチ状になっていた。

ちらほらと周りには野花が咲いていて、整えている悪霊がメルヘン思考なのはわかった。

私もみんなの後にぼんやり続こうとすると先頭の剣士が、吹っ飛ばされた。



「っ!」


「だ、大丈夫ですか!」


「みえない何かに飛ばれた、ような感じだな

 皆あたりを注意してくれ」



武道家が皆に声をかけると私たちは戦闘態勢に入った。

だが賢者だけは顎に手をあて、ふむ、と頷く。

なにかわけを知っているらしい



「何か知っているのか?」


「ええ」


剣士が聞くと賢者は頷く。



「村で聞いた話ではこのアーチをくぐれるのは未成年の乙女だけ。

 男や成人した女性は入れないようです。」


「なんじゃそりゃあ!徹底したロリコンだな、その悪霊は!」


「では我々は入れないということですね」


「そういうことになります」



男性陣はしょんぼりと心配した顔で私をみつめた。

いつもだったら可愛うぃー///ペロペロ!と内心でれでれしながら萌えているところ、だが。




今、きっと私の顔色は面白いくらいに青ざめていることだろう。




体の震えがとまらない。

賢者が私の傍によって声をかける。丸まった私の背中を優しく撫でる。



「巫女、大丈夫です

 くぐったあと中からこの札を貼ればアーチは破壊できます。」


「う・・・うん」


「どうしたんだ嬢ちゃんよー、いつもの威勢の良さはどこいった?」


「えっと・・・うんっとー・・・」


「大丈夫、か?」


みんな不思議そうに私をみている。

なにか言い訳をしなければいけない、そう、私がアーチをくぐらないような言い訳を。


「こわいな~すっごーくこわいなーアーチくぐりたくないなー」


「あ?いっつも率先して戦闘しているのに?」


「くっ!」


敵をいたぶるのが楽しくて戦闘に参加するのが仇となったか!

え、えっと他に方法は・・・あった仮病!!!!


「えっと、お、お腹痛いし!」


「ではお腹のお薬をお出しします」


「わー、賢者さん気が利くぅ・・・

 ア、デモ オナカ ナオリマシタ・・・・」


万事休す・・・私の言い訳のレパートリーの少なさに全私が絶望した・・・。


少し涙目ながら一度眼を瞑り

ゆっくり眼をあける。腹をくくろう・・・。



ああ、みんなの期待した視線が痛い。



「・・・ごめん、みんな」



私はゆっくりと口を開く。



「わ、私・・・・」



声が震える。皆が心配と不安が混じった視線で私を見ている。







「わ、私・・・・14歳じゃなくて、に、28歳・・・なんだ~・・・ヘヘヘ・・・ナンチャッテ・・・」






たっぷりと森に静寂が訪れた。

小鳥さんのピーピピという素敵なさえずりが良く響く。


私は14歳と名乗っていた実は28歳な巫女様(笑)だ。

字面にするととても痛くて現実を凝視したくなくなる。


そう、歳がバレた今恥ずかしくていいづらいが、私はこのパーティーの妹キャラだったのだ。

みんな妹のように私を甘やかしまくった、それを利用してたかったり、甘えたり、わがまま言ったり・・・。

恋愛感情がないのは知ってた。だってみんな手のかかる妹あつかいなんだもん。

正直、28歳の私には初め・・・妹キャラは・・・キツかった・・・。


これも召還時にさらっと14歳といった召還士が悪い!

私だって魔が差して、嬉しくって歳をごまかしちゃうでしょ!(責任転換)




「は?」

「え?」

「ああん?」

「・・・?」

「ふえ??」




恥ずかしさと逆ギレで興奮したまま早口でまくし立てた。



「だ、だからね!!私この世界に来たときに14歳?って聞かれてそのまま保護対象とみなされたくて頷いちゃったんだけどぉー!!!!元の世界ではバリバリOLしてたというか!!!!成人してて、っていうか28歳なんだよね~!!!ウェッヘヘヘ・・・ああああああああもう!!!!!厚かましいね!!!もう樹海いってきます!!!!┗(^o^ )┓三┗(^o^ )┓三┗(^o^ )┓三ぬわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!ヌブワアアッ!!!!ホゲェ!!」



「み、みこォ!!!!」


「スッゲッー太ったおっさんみたいな声出たが大丈夫か嬢ちゃあああああああん!!!!」


「か、かえるが潰れたみたいなポーズしてるが大丈夫か!!!巫女!!!!」


私は恥ずかしさのあまり混乱してアーチへともう突進した。

そりゃあもう、例えて言うならば夜空を駆ける流星のように・・・・。



むろん成人済みの28歳の私はアーチにぶっ飛ばされたということだ。



「巫女、貴方は錯乱している」


「賢者様取り出そうとしてるのしびれ薬ですよ!貴方こそ正気に戻ってください!!!」


「わ、私の幼女が、私の、、私の穢れなき幼女が・・・28歳なんて・・・」


「け、剣士が乱心したー!!!!!」


「いや、あれは、ただの、性癖・・・だ・・・

 巫女、28歳とは・・・ずいぶんと・・・・その・・・」


「ぶ、ぶったまげたが、時々疲れた表情で肩を叩いてるのが素だったか・・・」



私は顔を赤くして、頷く。



剣士は涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら私にすがりつくような目でみているし

(そういえば結構いい年なのに結婚してないのはロリコンだからか・・・

 ていうか悪霊に『不埒な』って言ってたがお前がいえたことじゃないだろ・・・)


シーフはぶつぶつ『そういえば顔にシワがあるような・・・』とか『どっこいしょとかも・・・』と唸ってる。(28歳でババアあつかいとか殺す・・・)


武道家はいつもの無表情

(でも顔にあつかましいってでかでかと書いてある)


白魔術師は顔を真っ赤にしながら私をみているし

(多分お兄ちゃん面しちゃったとか思ってるんだろう)



「こんなにも胸が貧相で、28歳・・・?」



確かに私は胸が貧しい・・・だが日本ではそんなに酷いほうではない!!!

この世界はみんな女性も男性もガタイが良すぎるだけなのだ!!!


胸をペタペタ触りながら言った賢者を有無を言わさずロッドで殴り飛ばした。



50HIT コンボ!!!!



シーフが驚きながら賢者の髪の毛に引火した火を消そうとしている。

遠巻きに騒ぎを聞きながら足元にすがり付いてくる鼻水と涙まみれの剣士の顔面を蹴る。この変態め。




そして遠い目をしながら私は強く思った。




嘘ってよくないんだな。と。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ┗(^o^ )┓三┗(^o^ )┓三┗(^o^ )┓三 これのテンションw 短編だからできる技ですねww [気になる点] 嘘はよくないです、嘘は。 [一言] 笑わせてもらいました。 巫…
[良い点] 巫女、良いです!隠しきれていなかったオッサンキャラとかズルいです(笑) いや、でも倍もサバ読むって……誰か気づけよ! とツッコミを入れてしまいました。 [一言] ┗(^o^ )┓三┗(^o…
[一言] ┗(^o^ )┓三┗(^o^ )┓三┗(^o^ )┓三 ↑これにやられた、巫女の錯乱ぶりにやられた。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ