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作:紅雫



雫−5:災いの子供


「君も“あの女”と同じでつまらないな………死ね」
リファレスが刃を振り下ろした。
だがその刃は途中で止まった。

「………これは?」

リファレスはシズクの後ろで倒れているレイスに目を向いた。

「・・・レイス?」

シズクもレイスを見た。
見るとレイスの回りに重い空気が漂っていた。
そして・・・

「うぁあぁあぁぁあぁあぁあ!!」

レイスは叫び立ち上がりシズクを飛び越えリファレスに襲い掛かった。
瞳の色が黒から紅に変わっている。

「………くっ」

レイスの爪がリファレスの肩をえぐった。

「うあぁあぁアァァア・・・」

レイスは吠えさらに攻撃する。

「………まったく、これじゃぁただの獣だ!僕の見込みちがいか?」

リファレスは肩の傷をきにせず反撃する。
だが、レイスの方が攻撃速度が速くリファレスの身体の傷が増えていく。

「………本能だけなのにこの力か……いや、本能だけだからこそか………まったくたいした奴だよ君は……今日は僕の負けのようだね?退かせてもらうよ…………」

そう言ってリファレスは闇の中に消えていった。

「うぅうぅぅぅ・・・」

レイスもそれと同時にその場に倒れてしまった。

「・・・レイス!」

シズクがレイスに駆け寄った。
レイスは気を失っているだけのようだ。
それに安心してシズクはレイスを背負い街を出た。


−−
−−−

「……まったく、彼は予想外なことをしてくれるね……まさか屍食鬼グールになって僕と、りあうなんてね………」

リファレスは漆黒の道を歩いていた。

「ま、いっか……もう彼は戻れないしね………後は吸血鬼(完成)するのをまつだけだしね………君もそう思うだろ?ルル?」

いつの間にかリファレスの肩には小さな白いオコジョがいた。

『キュキュ・・・』

オコジョは前足で顔を擦りながらないた。

「さてと、今日は疲れたし早く家に帰るか………」

リファレスはあくびをしながら暗闇の道を歩いていった。


−−
−−−

シズクはレイスをサイドカーに乗せオートバイのエンジンを入れた。
そしてオートバイに跨がりアクセルをまわした。
オートバイは勢いよく前に進んだ。
そして街を出て夜道を走った。
深夜なのか他の車等は走っていなかった。
途中休憩所を見つけいったんそこに寄りジュースを買った。
そしてジュースを飲みながら自分の手を見つめていた。

「・・・血も操れない出来損ない、か」

シズクはさっきのリファレスの言葉を思い出していた。

「・・・どうすればいいのかな?・・・エリク・・・」

シズクはそう呟き夜空を見上げた。

−−
−−−

昔、遠い昔・・・
その頃はまだ、吸血鬼はこの地に沢山いた時代。
吸血鬼は自らの“娯楽”の為に人を狩っていた時代。
そんな時代に“シズク”は生まれた。
だが、彼女は異端だった。
彼女は背中に“朱き十字架”を持って生まれた。
『コレは我等に災いを招く!殺せ!』
全ての吸血鬼がそう叫んだ。だが、彼女の母は彼女を殺さなかった。いや、殺せなかった。
彼女はどんなに傷つけられても死ななかった。傷はすぐに回復し、致命傷を与えられなかった。
そして、殺せないと判断した彼女の母は彼女の両手両足に銀の鎖を巻き付けて、地下深い部屋に閉じ込めた。
地下は光りを指さず闇の世界だった。そんな所に彼女は何年も閉じ込められた。
そして閉じ込められてから何年かし、一人の少年が彼女を尋ねた。
「なんでこんなところに閉じ込められてるの?」
少年の声が暗闇の世界に響き渡った。
「・・・」
彼女は喋らない。喋れなかった。
赤ん坊の頃からずっと閉じ込められ他人との交流がなかったからだ。
「もしかして、喋れないの?」
少年は彼女の心を覗いたかのような喋り方だった。
「んじゃ、僕が言葉とか字を教えてあげるよ!あ、僕の名前はエリク、エ・リ・ク・・・覚えられる?」
少年の言葉は彼女には解らなかったが、彼女の口は自然に動き呟いた。
「エ・リ・リ・・・?」
それが彼女“シズク”の生まれて初めての言葉だった。
「あ、そんなことよりまず服とか持ってくるね?君その格好寒いでしょう?」
エリクは顔を赤らめシズクを少し見て走ってでていった。
シズクの服はボロボロでその機能を果たしていなかった。
シズクはただぼーっとエリクがでていった扉を見つめていた・・・












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