−壱−
『何故だ!何故こんな!!』
レイスは沢山の屍の上に立つ赤髪の少女に問う。
『・・・』
少女は答えない。
ただ、自分の血まみれの指を舐める。
『・・・俺に・・・俺にどうしろというんだ?教えてくれ・・・』
少女に届いたのか少女は舐めるのを止めレイスを見つめた。
少女の表情には笑みが零れていた。歪んだ笑みが・・・
「・・・さん!・・・いさん!」
誰かの呼ぶ声。
「う、うぅん・・・」
レイスはうっすらと瞳を開ける。
「やっと起きた?兄さん。駄目ですよ?うたた寝なんかしたら」
エデンが心配そうな顔でレイスを覗き込んでいた。
「あ、あぁ・・・スマン」
「ま、良いですけど・・・あらかたの“モノ”は私が排除しましたし・・・」
エデンの後ろに視線を移すとそこには数えきれない程の屍食鬼の体がばらばらにしかも焼かれて散らばっていた。
「あちら様も中々の歓迎ですね?こんなにおもてなしの方々を遣すなんて」
エデンは手に持っていた大剣、サラマンドラを軽く振り刃に付着していた血を払った。そしてその大剣を火に包み込み消した。
「そうだな・・・じゃぁ先に進むか」
レイスは歩を進める。
「はい・・・」
エデンはその後ろについていく。
レイス達は今、ある吸血鬼の所へ向かっていた。
エレンに頼みやっとそいつのいる場所を見つけたのだ。
そしてレイス達は深い樹海の中へと向かった。
「ところで兄さん?」
エデンはレイスの横に並び上目づかいの目でレイスを見つめた。
「さっき寝てましたよね?」
「・・・あ、あぁ」
レイスは図星をつかれ少しうろたえる。
「・・・別に良いですけど、兄さん最近休んでいないでしょう?」
「そんなことはないさ・・・」
レイスは顔を背け素っ気なく言う。
そして足を速めた。
「さぁ、いくぞ・・・」
エデンはそんな彼を淋しく見つめた。
“兄さん・・・なんで嘘をつくんですか?なんでそんなに自分を追い込むの?教えてよ・・・レイスさん・・・”
少女の内に秘めた想いだった・・・
どれだけ歩いたのだろうか・・・
レイス達は樹海を抜け小さな廃村にでた。
「まったく君はこんなとこまで来るなんてね?」
廃村から一人の男がでてきた。
男の手には銀色に光るハーモニカが握られている。
「・・・しつこい」
男の後ろから彼の腰くらいの身長の銀髪の少女が現れた。
「リファレス・・・」
レイスはハーモニカを握っている男を見つめる。
「・・・ルル」
エデンは銀髪の少女を見つめ呟く。
「レイス、何故君が此処に来たのかはわかっているつもりだ・・・」
リファレスはルルの髪を撫でながら言う。
「居場所・・・」
ルルがリファレスの言葉の続きを呟く。
「やっぱり、知っていたのか?」
レイスは拳を作り強くにぎりしめる。
「当たり前だよ・・・あんなに力の強い同族感じないほうが無理だよ?恐らくエレンも感じているだろうな」
「エレンさんも!?」
エデンはいきなりエレンの名前がでてきて驚く。
「あの娘も半分は僕たちと同じなんだからわかっていただろうな・・・」
「じゃぁなんで?」
エデンはレイスの顔を不安げな顔で見つめる。
「恐らく僕を消したかったんだろうね?君達を使って・・・実の兄が歪んでいくのが辛かったんだろうね?」
リファレスはハーモニカを哀しく見つめながら言う。
「リ、リファレスがエレンさんと兄妹?」
エデンの声がその場で響き渡った・・・ |