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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第2章

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今の所は有用な使い道はないから

 床に倒れこんでしまったミルルに気づいた俺とシルフ、鈴が慌てて近づく。
 鈴がミルルの様子を見て額に手を当てると、

「熱い! ミルルちゃん熱出しているじゃない!」
「水に氷を入れて……たしか、洗面所にたらいがあったから後タオルはその脇の戸棚に……シルフ、鈴を案内してやってくれ!」
「は、はい」

 そして俺は倒れこんだ鈴を抱き上げる。
 意外に軽くてよかったなと思うが、腕を伝わって熱を感じる。早く寝かせようと思って俺はミルルの部屋に入る。
 女の子の部屋と思うとちょっとだけドキドキしたが、綺麗に片付いいていて俺は安堵する。

 布団が半分に折られていたので、その布団のない場所にミルルの上半身を乗せて、ダランとベッドの端から垂れている足から靴を脱がす。
 白く細い足。
 靴だってこんなに小さいんだなと俺は思う。

 そしてその足をベッドに置きながら、弓などを背負っているのでそれを固定するベルトを外していく。
 これは全部ミルルのためなんだと俺は思いながらも、あまり意識しないように外していく。
 ぐったりとした様子のミルルは、苦しそうに息をしている。

 風邪薬でも買ってくるか、調合するか、否、何か治療用の魔法……いや、あれはただの状態異常かと俺が思っていると、

「持ってきました! どいてどいて1」

 シルフが氷の入った水にタオルを浸して絞り、ミルルの額に乗せる。
 こうすると少し楽になったのか、顔が緩む。
 けれどこのままでいるのもどうかという話で、この辺りの店の事情に俺は明るくない。なので、

「鈴、悪いけれど風邪薬を買ってきてくれないか?」
「分かったわ。ちょっと待っていて」

 そう言って鈴が風邪薬を会に走りだそうとするが、そこでシルフが、

「待ってください。もしかしたなら……“淫魔”特有の風邪かもしれません」
「特有の風邪?」

 この世界にはそんなものもあるのかと俺は異世界の違いに驚きながらも、そうなってくると特別な風邪薬が必要なのだろうかと思う。
 材料が分かって、この辺では手に入りやすく、加工がそれほど面倒でなければいいのだがと思いながら俺は、

「その特有の風に効く薬、シルフは知らないのか?」
「知ってる、“もこもこ花”を煮だしたお茶が薬」
「俺は持っていないな、鈴は?」
「私も持っていないわ。……薬局や素材の店を覗いてみたほうがいいかも」
「それに風邪薬も購入しておいて、もしもただの風邪でも風邪薬があれば治りが早いだろう。……というかこういう時こそ、神頼み! 女神様!」
「はーい」

 呼ばれた女神様がスマホから現れました。
 そしてミルルの顔を見て、

「この風邪は、淫魔特有の風邪です。そして薬局にも素材屋にもそれらは売っておりません」
「では何処でてにはいりますか?」
「“鼠森の螺旋の塔”の最上階……と言っても、20階で窓もあるから、少しぐらいズルしてもいいんじゃないかしら? そもそもその“もこもこ花”って、鑑賞にも向かないし淫魔用の風邪薬くらいしか、今の所は有用な使い道はないから売っていないのよね。ちなみにシルフは、故郷の薬局でそこら中に売っていたのでこんな事態になるなんて想定していませんでした」
「め、女神様! そんなことを言いつけなくてもいいじゃないですか!」
「うふふ、じゃあ頑張ってね。ああ、ちなみに“もこもこ花”ってこういうやつよ」

 そう言って女神様がスマホ画面に出す。
 どんなは中は分かった俺だが確かに地味だ。
 どちらかというと高山に咲く可憐な小さな花の様だと俺が思っていると女神様が、

「サービスで窓だけ直しておいてあげるから」

 そう女神様は告げて、スマホに戻る。
 そして言われたとおり、壊された窓は直っていた。
 けれどそれでも不満は残るわけで、

「ミルルの病気を直してくれてもいいのに」
「女神様はあまりこの世界に手を出さないようにしているそうですから……むしろタイキの今の状況が異常

なのです。サービスしすぎです」
「そうなのか? だったら感謝しないといけないな」

 そう答えながらも俺は考える。
 草を取りに行くのはいいのだが、まず、

「鈴は手伝ってくれるか?」
「もちろん、ミルルのためだし」
「ありがとう。それでシルフはここでミルルの世話をしていてくれ」
「言われなくてもそうします」
「それでさっきの偽物の怪盗が俺達がいない間に来たら、戦闘を避けるために……これを渡しておく」

 そう告げて俺は革袋から幾つかの魔石を取り出す。
 何色かの、氷や炎といった属性の強い魔力石だ。
 その中でも無職は全属性に変換が出来る優れ物だったりするのだが、そのへんの詳しい説明は置いておくとして、それをシルフに渡すと、

「分かった」
「あとは自分の身とミルルの身を再優先に考えるんだぞ?」
「私は子供じゃないです!」
「そうだな、よろしく。さて……後はサーシャを連れて行こう。一番持っていかれると危険なものは、俺の側においておいたほうが安全か」

 そう呟いて俺は、隣の部屋で気持ちよさそうに眠っているサーシャの魔石を掴み、腰につけている箱に放り込んだのだった。






 そして錬金術の部屋にやってきて先ほどの空を飛べるアイテムと、ブーツを作る。
 その飛べるアイテムの材料を取り出した時に鈴が、

「あれ、この前の虫っぽい魔物の?」
「そうそう。その時落した謎アイテムで作ったんだ。そういえば鈴はあの魔物を知っているか?」
「うんん、私は見たことがないかな。でももしかしたならここがゲームの世界と違うから生じた固有の種かもしれないし、このアイテムに使えるでしょう?」
「そうだなこんなふうに使えるな」
「ならそれ以上、特に問題はないんじゃない?」
「そうだな……っと、出来た。よし、背中につけるから後ろを向いてくれ」
「はーい」

 そう答える鈴はどこか女神様のあの楽しそうな先ほどの声と重なる。
 女性が楽しそうな時は気をつけないとと、俺は心の中で思ってから、

「ほら、付けたぞ。どうだ?」
「えっとこれでどうすればいい?」
「“翔べ”って呟いて自分が飛ぶイメージを持って」
「“翔べ”……わぁあ、浮いた」

 そこで鈴が機械を壊さない範囲でプカプカと宙に浮いてみる。
 そのまま俺の側から行ったり来たりを繰り返して、上手く出来て、動かせているようだと俺は思いながら、

「こんな感じで操作してくれ。すぐに地面に落ちても大丈夫なように、ブーツを作るから」
「このブーツ、どれだけの高さからなら落ちても大丈夫なの?」
「333メートル」
「へぇ、綺麗な数字だね」

 同じ数が3つ揃っているからだろう、鈴は言う。
 そんな鈴に俺は、丁度出来上がったばかりのブーツを手渡したのだった。
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