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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第2章

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ご協力に感謝!

 窓を打ち破り入り込んできた黒い影。
 その人物は先ほど見た、怪盗バ、ヤ……ヤンバルクイナ? 違う、これは鳥だ……みたいな名前の怪盗と同じ格好で、つけているバッジのようなものが少ない様子から、偽物と呼ばれていたほうだろう。
 その彼だか彼女だかわからない人物が、窓から俺達の部屋に現れる。
 何事かとミルルやシルフがやってきて、サーシャがこっそり覗いていたが、すぐにサーシャはピッと部屋に隠れてしまった。

 そんな様子に気づきながらも、ここが3階でよかったと俺は切実に思った。
 何しろ1階と2階は、錬金術士や魔法使いに必要な設備や道具が揃っているのだ。 
 この世界のそういった些細な道具が、ゲーム内のお値段と同じかは分からないが……専門性の高い道具は高いものと相場が決まっている。

 それらを壊されたらどれだけの賠償金が必要なんだろうと思うと泣くに泣けない。
 そこで(偽)怪盗バンバラヤンが俺に向かって、

「魔石を差し出せ」

 低い声でその人物は言う。
 声が変えられているらしく酷く平坦な印象を受ける。
 こいつ、一体何者だと思いながらも選択画面を開いて、防御の項目を開いておく。
 即座に発動する少し弱めのものを選択出来るようにして俺は、

「そう言われて素直に差し出すと思うか?」
「それは逆らうということか? 死んでもいいと?」
「怪盗バンバラヤンは人を傷つけたりしないんじゃないのか?」

 そう答えながらも俺は警戒を強める。
 怪盗は偽物だとこの黒い存在を言っていた。
 つまりこれは偽物で俺達を傷つける可能性が高いのだ。
 そもそも俺には疑問がある。

「何で勝手に魔石を奪っていかない。しかもこんな俺達のいるような場所に」
「魔石の気配がここからした。だから私はこちらに来たまでだ」
「へぇ、魔石の気配がわかるのか? どうやってだ?」

 ただの魔力の塊だから俺には分からない。
 魔力なんて空気に紛れて見失ってしまいそうだ。
 俺だって、こうやって近くにあるから分かるだけなのだ。

「……お前に教える必要はない。隠している魔石やそこの部屋の魔石をよこせ」
「……お前に渡すものは何もない」
「ならば、死ね」

 聞くと同時に俺は選択画面を押す。
 同時にすっと大きな光の魔法陣が現れ壁を作り、目の前に現れた炎の塊を消し去る。
 魔法使いの杖がなくても威力が減るだけで、魔法は使えるのだ。

 それに目の前の黒い物体が驚いたように目を瞬かせるがすぐに今度はシルフの鎌とは違う弓の形をした銀色の刀を取り出す。
 どうしよう、何か武器はないか、そう思っている内にその刃が折れに向かって振り下ろされそうになって、

「タイキ、しゃがんで!」

 鈴の声に俺は、即座にしゃがむ。
 同時に俺の頭上を何時もよりは少し小さい鎚が弧を描くように飛んでいき、それをその黒い物体が必死になって刀で受け止めている。
 けれど鈴の余裕さと、黒い存在のギリギリな様子から勝負は目に見えていた。

 しかもすぐ側でシルフが鎌の準備をしていて、ミルルは顔色が悪いながらも弓を構えている。
 その状況の悪さを悟ったのか、その怪盗バンバラヤン(偽)は壊したその窓から去っていき、それを追いかけるように覗くとその姿は細い路地に消えていった。
 こんな大きい街だからその姿を見ている人はいくらでもいる気がする。

 そしてあの調子だとまたやってきそうだ。それに、

「魔石が何処にあるか分かるみたいだったからな。サーシャの魔石も肌身離さず持つようにするか……」

 まだ隠れているらしいサーシャのことを考えて、次にどうしようかと思うのだが……。
 そこで鈴に肩を叩かれた。

「やっぱり剣士か何かをいれておいたほうがいいんじゃない? 接近戦のために」
「接近戦用には物理攻撃に特化した杖があるから大丈夫だ」
「ほう、そんなのがあったんだ、気付かなかった」
「あとでそれを作ってやろうか? 実は鈴達に空を飛べるアイテムを渡そうと思っていたし」
「本当! いいなそれ、ぜひ欲しいわ」

 そこで武器をしまったシルフが近づいてきて、

「空を飛べるってどんなふうに?」
「こんな風に“翔べ”」

 そう俺が呟くと背中の羽がブーンと唸りだし俺の体が宙に浮かぶ。
 それを見たシルフが半眼でそれを見て、

「なんか……叩き潰したくなる」
「便利だと思うんだが、シルフはいらないのか?」
「いる」

 即答する辺りがシルフらしいと思っているとそこでドアの前に人影が現れる。
 黒っぽい人影に俺は何となく嫌な予感を覚えていると、

「すみませ~ん、よろしいですか?」
「……どちら様ですか?」
「怪盗バンバラヤンです!」

 どこかで聞いたことがあるようなと思いながら、俺が聞くとそう答えるその人物。
 俺は頭痛を覚えながら、部屋のドアを開ける。
 そこには確かにあの奇抜な格好をした男がいて、今更かよと俺は思いながら、 

「先程、怪盗バンバラヤンの偽物らしき方が俺の家の窓を壊してやってきたんですが」
「なんと! どちらに逃げたかわかりますか?」
「あちらの細い路地に向かって行きました」
「ご協力に感謝! お前達、先に追っていってくれ、。私もすぐに行く」

 そう言ってその場をさろうとする怪盗バンバラヤンに俺はふと思ったので言ってみた。

「……チルド伯爵?」
「な、なんのことかな?」
「いえ、そういった変人がいると聞いたことがあったもので」
「そ、そうか、では、また会おう!」

 焦ったように去っていく怪盗バンバラヤン。
 もう少し余裕ぶって言えよと俺は思ったが、いきなり攻撃してくることもなかったし悪い人間でもなさそうだと思って俺は気づいた。

「なんか今、また会おうと言われたような……気のせいか?」

 気のせいには思えなくて、あの彼が何処に行ったのかを見るとすでに彼らの姿は何処にもない。
 そしてドアを閉めて、気づいた。
 窓が壊されたままだ。

「ビニール袋はあるかどうかわからないから、やっぱり、布で封をしておくか。修理費どれくらいかかるんだろうな」

 俺がそう嘆いたその時、立っていたミルルがふらりと傾いて、そのまま床に倒れこんでしまったのだった。
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