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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第1章 

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相手が悪かったわね(鈴達の戦闘)

 鈴とミルル、シルフが接触した頃にタイキがもう片方に接触した方が良いとして。
 目の前に現れた男達の集団に、ミルルが、

「こちらは雑魚ばかりですね」
「わー、ミルル、頼もしい台詞。でも一般人相手だから……あ、可視化モードだから瀕死にまでは持っていけないわね。つまり、容赦なくやってしまいましょう!」
「鈴が羨ましいです。私の場合は手加減しないといけないですし」
「……これって仲間の攻撃も全部瀕死までにしか行けないのかな? 今度女神様に聞いてみようかな」

 鈴がマイペースに呟く。
 何処からどう見てもタイキよりも戦闘に関しては気楽そうだが、そこでミルルが、

「出来ればそうしてもらえると助かりますね。そうすれば随分と楽しく戦えるのですが」
「ミルル、結構好戦的なんだね。あれ、シルフちゃんも武器掲げているね」
「シルフは戦闘に関しては私と互角ですからね。……タイキも貴方も、色々と規格外すぎます」
「でも好きなんでしょう?」
「……どうでしょう? そんな鈴は、タイキはどうなんですか?」
「好きだって前から言っているじゃない」

 笑う鈴に、こうやって堂々と言われても幼馴染の知り合いという位置にいるせいか、鈴の好きは“軽くて”、恋愛感情の物か区別がつかない。
 かといって聞きだして本当の好きだったならという不安もミルルにはある。
 こんな面倒な状況と気持ちになったのは随分と久しぶりだとミルルは思いながらシルフに、

「シルフ、きちんと手加減して差し上げるのですよ? 雑魚ばかりなので」
「分かっています、ひとのいのちはとてもとうとい、ですよね」

 シルフが、心の底からどうでもいいかのように笑うのを見て、ミルルは嘆息する。
 そしてシルフが、

「よし、倒しに行こう!」

 その言葉にミルルとシルフ、鈴が駆け出す。
 シルフと鈴が接近戦、そしてミルルが遠距離からの援護に回る。
 その窃盗団は全て筋肉ムキムキの男たちだった。

 何故こんな奴らばかり集めたのかは、頭領か何かの趣味だったのだろうかとも思う。
 思った所で倒すべき敵には変わらないが。
 それと共にまずシルフが大鎌を取り出して、

「“噴煙の炎を纏え”」

 楽しそうに軽やかに呟くと、大鎌に炎が揺らめく。
 刃に赤く輝く炎が浮かび、炎の攻撃と魔法攻撃にも対抗できる魔力を刃に込める。
 この力をタイキに使わなかったのは、手加減したからだ。

 ミルルの周りを跳ねまわるハエのごとき男など、本来であればミルルが相手にしないのは知っている。
 そしてその程度の男ならばミルルが相手にしないのも知っている。
 自分の姉の事くらい、シルフはとても良く知っている。

 けれどそんなミルルが、あの男、タイキを選んだのだ。
 初めはこんな平凡そうな男が、お姉様に取り入るなんて、どんな手を使ったのだろうと思った。
 お姉様だって完璧じゃない。
 何かを間違えてしまう事だってある。
 だったらその時は自分が何とかすればいいとそう思っていた。

 そして手加減したとはいえ戦いを挑み、負けてしまう。
 それどころかこちらの方が適当にあしらわれてしまった。
 あの時の事を思い出すといらっとする。
 タイキのくせに、生意気な。

 何が半分こよ、子供扱いしやがって。
 何だか子供扱いされるのが無性に悔しい、私だってもう、12歳なのに。

「何だかいらっときたから、ここで憂さ晴らししてやる!」

 そう告げてシルフはその炎の鎌をひと振りして、5人ほどなぎ払う。
 まりにも圧倒的な力量の差に、他の男達がひるむがすぐに、

「魔法攻撃で援護しろ!」

 同時にやや後方にいる奴らが一斉に魔法を発動させるが、魔法陣が浮かび上がると同時にその魔法陣の防護壁を超えて矢が突き刺さる。
 その矢が突き刺さった部分から魔法陣の輝きが失せ、消えてしまう。
 ミルルがその魔法自体をキャンセルしたようだ。

 そしてすぐに援護の射撃に移る。
 矢が次々と術者の腕に向け撃たれて、

「ひ、火がぁああっ!」 

 当たった腕や上手くよけてもその場から炎が舞い上がり、それに男達の動揺が広がる。
 その油断をシルフがついて、次々と気絶させる程度に倒していく。
 弱い相手なので、手加減がしやすくて良いわとシルフが思っているとそこで、

「シルフ、ちょっと頭下げていてもらえるかな?」

 鈴の声が聞こえて、どう考えても嫌な予感しかしなかったシルフはすぐに頭を伏せる。
 それと同時に大きな影と、横に何かが薙ぐ音と強い風を感じて……何かが打ちつけられる音が聞こえ、微かにそちらの方が明るくなる。
 鈴があの大きなハンマーを使ったらしく、横に内であの窃盗団をなぎ払ったらしい。
 しかも明るくなったのは打ち付けた時の雷であったようだ。

 それを見ながらシルフは思う。
 初めに鈴がこの盗賊団全員をなぎ払ってしまえば、私の攻撃入らなかったのではないかと。
 考えてしまえば疑惑は更に増えていくが、そこで、

「なかなかやるじゃねえか」

 そう言って、他の窃盗団の奴らとは明らかに誓う雰囲気と風貌の男が現れる。
 先ほどの男たちと違い、ヒゲがはやしていないのでそういった印象が強いのかもしれない。
 もしくはあのスキンヘッドが奇妙なのか。
 この集団の中で燦然と輝くあの頭が、この中で何か別の存在感を発揮しているのだろうか?

 持っている小さな斧。
 やはりそれほど怖くはない。
 あの集団の中で、魔法攻撃をしろと指示していたのはこの男に見える。
 やはりこの集団のトップはこいつなのか。

 よくよく観察すれば常任よりも強い魔力を感じる。
 そして腕などにある刃物の傷は、それだけ多くの視線を繰り広げてきたのだろうと思わさせられる様相だ。
 そしてこの年令も鑑みれば、油断できない恐ろし相手であるのに間違いないだろう。

 それはシルフにも分かる。
 分かるのだけれど、一言、この彼が絶望の淵に立つような言葉を投げかけてやりたい衝動に駆られる。
 その欲求に突き動かされるままにシルフは呟いた。

「ハゲ」
「ハゲじゃない、これはハゲじゃないんだ! わざとそっているだけなんだ!」
「えー、嘘だー。そう言ってハゲであるのを隠しているだけなんだ!」
「違う! ほら、他の奴と違うと分かるように……」
「他の人と違う自分、格好いい、とでも思ってこんな風に? 笑える―」

 シルフがキャハハと笑って挑発する。
 それを見てそのスキンヘッドの男は顔を真赤にして睨みつけるが、けれどその挑発に乗らない程度の頭はあったらしく、

「……クソガキが。……まあいい、それよりもそこのお前、強いな」

 シルフは無視されて、代わりにその男は鈴に話しかける。
 突然話しかけてきたその男に鈴は目を瞬かせて、

「え? 私? なになに、さっきの技に一目惚れ? それとも私が美少女だから?」

 ノリノリに答える鈴にそのスキンヘッドは、

「ああ、お嬢ちゃんは可愛いし強いみたいだからな。そこのクソガキと違って」
「あら、ありがとうね。褒めてもらっちゃった」
「それで話がある、一対一で俺と戦わないか?」
「男同士の熱い力比べですね! でも私は女の子だけれどいいのかしら」
「それだけの腕を見込んでいるんだ。久しぶりに本気を出したい相手に出会えたのでね」

 そう鈴に言うスキンヘッド。
 それを聞きながら鈴は、

「ふーん、それでお兄さんのお名前は?」
「スカリ、だ。お嬢ちゃんの名前は?」
「スズだよ」
「そうかスズそれでどうだ、受けてくれるか?」

 その問いかけに鈴はすぐに頷く。
 その時、ニヤリとスカリは笑ったのだがそこでミルルが、

「鈴、どう考えてもこれは罠です。ここは三人がかりでさくっと倒してしまいましょう!」
「でもせっかくのご指名だし、シルフ、あの獲物譲ってもらってもいい?」
「……いいです」

 シルフが頷いたので、ミルルも仕方がないと嘆息する。
 そして鈴はスカリに向き直り

「というわけで相手をさせてもらうね」
「ああ、そちらの怖いお姉さん、手出しは無用だぜ」

 それにミルルが気色悪いと、ぷいっとそっぽを向く。
 そんなミルルを見ながらスカリは憎しみを燃やしていた。
 もちろんここで一対一の勝負を挑んだのには理由がある。

 そこにいる子供も含めて調子に乗っているクソアマ全部を叩きのめして一気に形勢を逆転させる技だ。
 作戦はこうだ。
 初めにこの小娘を倒し、その巨大な武器の力を反動を利用して、その油断している所でこのクソガキとあそこでこちらを馬鹿にしたように見ている小娘を倒す。
 その奥にいる一般人ぽい女は放置だ、弱そうだから簡単に如何こうできるだろう。

 正直オレは馬鹿にされるのが大っ嫌いだ。
 だからこのクソガキを始末してから、あっちの美人を潰してやる。
 一応美少女と言っておいたがこのスズという名前の頭の悪そうな、こっちが何を考えているのか分から無い内に、こんな勝負に出る無能がいてよかった。

 確かにあの攻撃は俺にとっても危険ではあるが防げない程度ではない。
 むしろあの程度なら、俺の力のほうが上だ。
 一番の敵は無能な味方、とはよく言った話だ。
 それが俺にとっては好都合だがな、とスカリは思って、自分の斧に小さく呟く。

「“氷獄の斧”」

 呟くと同時に、斧に冷気がまとわりつき、しかも斧が巨大化してスズのハンマーと同程度の大きさになる。
 それを見てすすは目を丸くして、

「わー、大きいね」
「さて、いざ尋常に勝負!」

 状況があまり分かっていない小娘がと嗤いながら、スカリは斧をスズに向かって振り下ろす。
 それをハンマーで受けながら鈴は、

「わーお、これだけの大きな斧を振り回しちゃうんだ」
「こう見えてもその筋は有名でね。“巨神の斧使い・スカリ”たぁ、俺のことよ」
「うんうん凄い、じゃあ、こうしてっと」
「うぐっ」

 そこで振り下ろした鈴のハンマーを受け止めたスカリは呻く。
 ハンマーが先程よりも重くなっているように感じたのだ。
 おかしい、おかしいとスカリが焦っていると、

「よーし、折角なのでどこまで耐えられるか耐久レース! 質量、2倍……あら?」

 そこでスカリは、その重みに耐え切れず押しつぶされる。
 鈴の目には体力が一気に減りゼロになるのが見えて、そのハンマーを小さくする。

「何だか、やっぱり弱いわね、つまんなーい」

 鈴がそう呟くのを聞きながらシルフは、相手が悪かったわね、と間近で見た鈴の強さと容赦なさにそう思う。
 そんな鈴達をリズさんが、あらあらと面白そうに見ているのに、鈴達はついぞ気付かなかった。
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