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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第3章

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幽霊屋敷、内部にて

 幽霊屋敷に入っていくその人物を見て俺はぎょっとした。

「何で入っていく? まさか……」
「知り合いですか?」

 ミルルにそう問われた俺は、どう説明しようかと迷ってから、答えた。

「この前の赤い球を落とした女だ。彼女が今この屋敷に入っていった」
「先程の人が、ですか。つまり……」
「そういうことだろうな」

 異世界の侵略者らしき人物がそこに入っていく。
 しかも人があまり近づかないような場所。
 そこが出入り口らしいとは言われていたが、確かに幽霊屋敷は人があまり出入りしないだろう。

 この鬱蒼と茂った木々も、ふよふよと浮かぶお化けはもとより、壊れかけた家というものは倒壊の危険がある。
 歩いているだけで天井から何か腐り落ちて廊下が落ちてきたり、床に穴が空いていたりするとも考えられる。
 そんな危険な場所には俺達が入らないほうがいいのではと思う。

 しかもここには危険な相手がいるのだ。

「まずは、リドルさん達に報告しよう。そうしよう」
「よーし、折角だから私達で様子を見に行こう!」

 俺の提案を無視して鈴がそんなことを言い始めた。
 どこかの物語か映画じゃないのだから、安全策をとるほうがいいわけでこれで幽霊屋敷を回避すべきだと思う。
 ユウレイコワイシ。

 なので俺はやる気のある鈴に、

「危険な場所に自ら飛び込む必要なんてなくて、というかない気がする」
「タイキ、その女の人って今遠目で見た人と同じだった?」
「え? 髪の色とか背丈とか、それっぽかったけれど」
「あれぐらいの背丈の人ならそこら中で歩いているし」

 言われてみればあれくらいの背丈の女性は今も三人くらい俺達の側を通りすぎている。
 髪型は多少違いはあるけれど、俺がであった彼女はそこまで特徴的な髪型はしていなかった。
 見間違い、人違い。

 そう言われてしまえば確かにそんな風にも思える。
 けれどこの幽霊屋敷に入っていくのはどうかと思う。
 人の近づきにくい場所で、出入り口には最適だ。

 怪しい要素満載である。
 やはり一度戻って、状況を報告しつつ撤退を……。
 俺はそう思っていたのだがそこで、鈴とミルルに右腕を、シルフとエイネに左腕を掴まれてしまう。

 両手に、ふにょっという柔らかい感触があってそれに気を取られている内に俺は、彼女たちによって幽霊屋敷に……。

「やめろ、やめてくれ、ひぃっ」
「……タイキ、凄く幽霊屋敷が嫌なんだね」

 鈴が嘆息するように言う。それに俺は、

「当たり前だ! こんな恐ろしい場所に……鈴」
「タイキはあそこに入っていった女が怪しいと言っているけれどただの冒険者かもしれないじゃない」
「それは……」
「しかもその人物について知っているのは、ここではタイキだけなの」
「つまり、何がいいたいんだ?」
「タイキが嘘をついているかもしれないってこと。実際に今日は用があるからって昔、逃げたしね」

 そう言われてしまうと俺は言い訳できない。
 実際に身に覚えがあるからだ。
 だが先程の人物は本当に似ているように見えたのだ。

 けれどそれを言うまでもなく敷地内に俺たちは入っていき、そこでミルルが提案した。

「でも、タイキが言うように本物であったなら色々面倒ですから、中にはいってから一度エイネに歌ってもらうのはではどうでしょうか」
「ちょっと、ミルル。私の歌をそんな風に道具として使われるのは……」
「私達が怪我するよりはマシですし。エイネもそう思わない?」
「でも入っていった冒険者が眠って怪我したりとかするのは……」
「ここは幽霊屋敷。危険な魔物は出ません。出てくるのは幽霊だけだったはずです」
「詳しいのねミルル」
「ええ。ここが遺跡化をいずれはするのではということで月に一度ギルドの方が調査をしていまして、確か数週間前までは遺跡化していなかったはずですよ」
「でもそれなら異界の出入り口があるように思えないけれど」
「巧妙に隠しているか、本当に存在しないかといった所でしょうね。ですから多分その、非常に言い難いのですが……」

 ミルルがちらりと俺の方を見る。
 言いたいことは分かった。
 確かにそう言われると俺の見間違いのような気もしてきた。

 でも、行きたくない。
 そう思った所で、幽霊屋敷の入り口に俺たちはやってきたのだった。








 恐る恐る玄関のドアノブに触れる。
 それからゆっくりと開いていくと、キィと甲高い音が響く。
 幽霊屋敷というから錆びているのだろう、そう思いながら俺が扉を開くと、玄関から中を見ると廊下に白いものが浮いている。

 どことなく俺をあざ笑うかのような、ケケケケという声がする……気がする。
 そう思っているとにゅとサーシャが自分の杖の妖精のミィが顔を出して、

「私のお仲間が沢山いますね」
「そこは自分で言う所なのか」
「え? でも私お化けですしね。ここにいると何となく心地がいいような気もするのです。力が湧いてくるような……」
「じゃあここに残しておいたほうがいいのだろうか。幽霊だし」
「! タイキ、酷いです! ……タイキ、物凄く顔色が悪いですよ?」
「だから幽霊は駄目だって」
「……鈴、連れて帰ったほうが……」

 サーシャが珍しくそんな提案をしてくれた。
 けれど鈴は首を振り、

「この程度で音を上げないの。大丈夫!」
「何でそんなに俺をここにこさせたがっているんだよ。何だか逆に本当にここに何かある気がしてくるじゃないか」
「その言葉がフラグだったり」
「……やっぱり帰ろう。どうせこのお屋敷、やけに広いしいわくつきなんだろう? 昔、凄惨な殺人事件があったとか」

 こういった幽霊屋敷では大抵の場合、物語では、恐ろしくもおぞましい事件があったりするものなのだ。
 ……現実だと持ち主不明だっただけだったりするが。
 そう思った俺が歩きながら言ってみたのだが、それにミルルが、 

「いえ、そのような殺人事件はないです。確かここ、遺産相続の関係で兄弟で裁判をしていて長引いていたら幽霊屋敷になったので、上手く遺跡化したら入場料をとろうかという話になっていたような」
「……人間のほうが恐ろしいというか逞しいというオチ。うう、しかし幽霊だらけだな……今、足元を通った」

 俺がそうひんやりとした感触を感じて呟いた。
 何故幽霊はこんなに冷たいのかと思う。
 それが余計に俺の体を震え上がらせる。

 そう思っているとそこで鈴が、

「よし、そろそろエイネに歌ってもらおう!」
「鈴、その前にあのドリンクをのまないと俺達も眠るぞ」
「あー、はい。この前飲んだのの半分は持っているからそれを飲もう」

 ということでそのドリンクの残りの半分にした。
 でないと夜眠れなくなりそうだったからだ。
 そしてそれからエイネには歌ってもらう。

「ね、眠い……」
「にゃ~」

 何故かサーシャと精霊のミィが眠くなっていたのはいいとして。
 この幽霊屋敷にエイネの歌声が響き渡ったはずである。
 さて、それで散策をしようという話になるけれど、

「どうする? 今回も二手に分かれる?」

 鈴が楽しそうな声で提案したのだった。
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