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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第3章

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衝撃の事実があるのだろうか?

 それから俺は、リズさんにマーヤを送ってきてもらったお礼として、お食事系のパイをもらった。
 さくさくのパイの中には、自家製ミートソースと野菜が入っているらしい。
 もう皆、朝食を食べてしまっただろうか?

 あの時間に起きていたからもう朝食は済ませてしまっているかもしれない。
 だったらお昼に食べても良いなと思いながら歩いて行く。
 先程よりも人通りが多くなっている。

 というか仕事の通勤時間と重なっているらしく、大通りは道が混み合っている。
 少し脇道に入ったほうが良さそうだ、そう俺は思っていつもとは違う道を選択する。
 大通りに面した脇道はそこそこ人も多かったが、さらに先に進むと人はぐんと少なくなる。

「この辺は通ったことがないな。試しにここを通ってみよう」

 知らない道を選択する俺。
 小学生の頃に、学校帰りによく寄り道をした事があった。
 なにか特別なことが起きるのではという気がしていたが、特に何もなかったように思う。

 そういえばその時は、鈴もよく一緒だった。
 男勝りな彼女は、ああ見えて現実主義者であるのに空想が好きなようだったと思う。
 うどん脳なのは昔からだったが、違う世界といったものに興味があったようだった。

 それもあってかゲームも好きで、よく俺も含めてVRゲーム装置を親に隠されたものだ。
 でも友人と遊ぶのにVRゲームはよく使われていたなと思い出す。
 一クラスしかない小学校だったのもあって、ネットの世界では沢山の同い年の子供がいた。

 やはり同年代の人と一緒に遊ぶのは楽しい気がしたと俺は思う。
 もちろん同じクラスや学校内で運動会をするといった実際の交流もいいが、やはり人数が沢山いる方が楽しい場合もあったようだ。
 それを思い出しながら俺は、周りを見回す。

 ゲームのような西洋風の町並みが広がっている。
 昔のあの町並みとは似ても似つかないが、未知のものに対しての感覚は同じだから似ているように感じたのかもしれない。
 そう思いながら周りを見回すけれど、遠くの方を見ても山と空が広がるのみ。

 建物がそれほど高くないからだろう。
 それも小学校の時の帰り道との違いだ。
 遠くの方に見えたのは、背の高い建物群だったから。

 もっともそれらはある場所を境に二つに別れるのだが。
 そう思いだして懐かしくなっていた俺は、それを見ていた鈴がいつかあそこに行くんだと言っていたのを思い出す。
 そして実際に俺と鈴はそこに行くことになった。

 一緒に行こうと鈴に誘われて、そうなったんだよなと思いだした俺は、その帰り道にさらに寄り道して幽霊に……いやいやいやいやいや。

「うん、お化けなんていないし存在しないと。女神様はあんなことを言っていたが俺の世界に幽霊なんているはずがない」

 俺は一人呟いて、そのまま別のことを考えようと思った。
 そういえばチルド伯爵がサーシャ姫の体が一週間後にこの町に来ると言っていた。
 それでサーシャは姫に戻り本当にお別れとなるかもしれない。

「短い間だったけれど、結構楽しかったよな」

 幽霊状態で、サポートもしてもらいながら戦闘をした。
 仲間なのだ。
 でも初めてあの部屋で遭遇した時は何事かと思った。

「部屋の中で女の泣き声がしたからな。誰も居ないはずなのに」

 どうしてそんな怪談名ために俺は遭遇するのかと思って、今朝のマーヤの件なども含めて、よし、怪談話なんて存在しないと俺は思った。 
 そしてそのサーシャ姫といえば、

「普通に調べたら正体がわからなかっただろうからな。女神様がヒントをくれたから分かっただけで」

 閉じ込められた危険かもしれない精霊使いかもしれない、そういった結果ありきで調べていたら絶対に見つからなかっただろう。
 往々にして、結果ありきで話しが進んでいると、途中で修正が難しくなる。
 前提条件が変わる場合も日常では多々ある。

 しかもその前提条件が大したことのない理由で覆ったりするのだ。
 例えば、デザートが変わったという理由で精霊が家出したとか。
 明らかに展開がおかしいが、現実ではこうだ。

「……俺は異世界に飛ばされたみたいだが、あの女神様もなんとなく怪しいんだよな。まだ俺が気づいていない衝撃の事実があるのだろうか」

 まさかな~、と俺は呟いて、けれど有りそうな気がした。
 だがそこで俺の意識は、別のものに釘付けになった。
 たまたま現れた住宅街の一角にある家。

 そこそこ広い家ではあるのだが、多くの場合がそうであるように、庭には謎の木々が生えて茂っている。
 石畳の道にどこからともなく雑草が生えてくるように植物の生命力が強いのは分かる。
 そこでその木々の中を白い靄のものがふわんと飛んで行くのが見える。

 ここの所やけに幽霊の話題に遭遇するが、何かのフラグじゃないだろうなと思いつつそのお屋敷から反対側の道を進む。
 そう、そこにあるのはいわば、“幽霊屋敷”というものだ。
 一が済まない空き家が壊れて段々に植物が生い茂りやがて……。

 現実世界なら見知らぬ人物が住み着いていたりしたのだろうと、何か人影のようなものが見えたなら思うだろう。
 だが俺は先ほどちらりと、割れた窓のところに見てしまったのだ。
 背のそこそこある女性のような人影が蠢くのを。

 ここはファンタジーで魔法のある異世界である。
 そしてサーシャという幽霊や精霊がいるのを考えるとつまり……。

「関わらないようにして早く帰ろう。こんな場所には出来るだけいないほうが良い」
「タイキは怖がりね」
「仕方がないだろう、怖いものは怖いんだし……鈴」

 そこで俺は、気づけばすぐ側まで来ていた鈴に気づいた。
 何でこんな所にいるんだと思ったが、服装はジャージである。つまり、

「朝のランニングか」
「そうだよ。でもどうしたのタイキ。こんな場所で」
「マーヤがまた家出してきたから、連れてきたんだ」
「ほうほう、ご苦労さまですぅ~」
「そして、ちょっとここの侵略者らしい敵の女と戦闘になったんだ」
「ほう、それで」
「……マーヤの助力もあって、赤い球を渡して帰ってもらった。穏便に」
「そうなんだ~。ふむ。よし、その手に持っている物目当てで、私もタイキの家に直行しようっと」 
「おい、鈴、今の話の流れでどうしてそうなった!」
「だってまだ暖かいみたいで良い匂いがするんだもの」

 言われてみればそんな気がする。
 だが、鈴は食い意地が張っているのだろうかと思ってそうだよなと俺が思った。
 けれど俺もお腹が空いていたしいいち早くこの付近から離れたかったので、

「よし、急いで戻るぞ!」

 といい、俺達は走って帰還したのだった。








 家のドアを開けると、コーヒーの香りがした。
 鈴と一緒に中に入ると、お腹がすいたと呻くシルフが机の上でとろけている。
 だが俺が帰ってきたのを見ると、

「! タイキが帰ってきたからご飯にしよう、お姉様!」
「あ、おかえりなさい、タイキ。鈴も一緒ですか。丁度パンも焼けたところですし、いい所で帰っきましたね」
「ちなみにデザートはエイネ特製パンナコッタだよ~」

 シルフ、ミルル、エイネの順に話しかけてくる。
 そしてそれらは美味しそうだったのだけれど、

「俺を待っていてくれたのか?」
「皆でご飯を食べたほうが美味しいですし」

 ミルルがはにかむように笑う。
 女の子の笑顔はやはり可愛い。
 そう思いながらほのぼのしているとそこでミルルが俺の持っている袋に気づいたようだ。

「それは?」
「リズさんがお食事系のパイをくれた」
「いいですね。でもいい匂いがします。出来立てかな?」
「そうらしい」
「……少しだけ今味見をしましょうか」
「そうしよう、鈴も気になっているみたいだし」

 そんな話をミルルとした俺。
 とりあえずは朝食を食べてから、先ほどあった出来事を話そうと決めたのだった。


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