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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第3章

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とりあえずはこの辺で許してやる

 見るなと言われてしまった俺は、現在、顔を彼女の方からそむけている。
 だが敵であり攻撃してくるかもしれない相手に背を向けるのはどうかと思ってとりあえず、風系の防御用の結界を張っておいた。
 これで暫くはなんとかなるはずである。

 ただこの結界は風系ではあるものの、ほぼ無音である。
 なので、その結界を通して聞こえてしまう音はその……全部聞こえてしまうことに。つまり、

「やっ、どこ触っているのよ!」
「……女性を無力化させるにはどこをまず“溶かす”べきか。最速での無力化が大事」
「! ちょ、そことかされたら全部見え……」
「敵に情けは無用。何を言っても聞く耳を持たないように」
「こ、この、魔族ごときが……というか胸のあたりも全部なくなって……や、やめっ」
「それに女の子同士なら、何もモンダイがないって聞いたので、それでいい」
「も、モンダイあ……あっ、このっ、それはっ、や、やぁああああ」

 とても良い悲鳴が聞こえたような気がする、そう俺はぼんやりと思った。
 別にその全てを見ているわけではないから、俺は何の問題もない。
 ただ、その悲鳴やらなにやらで色々と察してしまうというか、想像を掻き立てられてしまうというか。

 し、仕方がないじゃないか、俺だってそういった欲求はある……と言い訳してみた。
 なので普通に、役得として楽しむことにしたわけだが、先ほどの悲鳴を最後にそれ以上は何も聞こえなくなった。
 代わりに、ぴちゃぴちゃといった音が聞こえる。

 何かを舐めあげているような音……というとそれはそれで卑猥な気がするが、ここで俺は冷静に考える。
 ここがそれこそエロ的な意味でR18な展開の世界だったらその、まあ、うん、そんな展開が期待出来るかもしれない。
 だがもしR18であるならば、R18-グロというカテゴリーも存在するわけである。

 つまり……消化中。
 そう思いついた俺は先程から悲鳴が聞こえなくなっているのに気づく。
 まさか……。

 俺はつい振り返ってしまった。
 そこにあったのは、全ての服を溶かされ未だにマーヤに攻撃をされている、胸などを手でかくした……。
 そう認識するとともに、顔を真赤にした敵の女が側にあった石を一個拾い、

「見るなって言っているでしょうが!」
「ぐわぁあああ」

 石を投げつけられた。
 ちょうど振り返る時に結界の外に出てしまった俺の頭を直撃するが、凄く痛いだけだった。
 俺、心配しただけなのに、そんな不条理感に苛まれているとそこで、もぞもぞ音がして、

「とりあえずはこの辺で許してやる」

 そんなマーヤの声が聞こえたのだった。







 起き上がった俺の側に、マーヤが少女の姿になって近づいてきた。

「タイキ、大丈夫?」
「大丈夫だが不条理なものを感じた」
「……男に生まれたので仕方がない。……女体化する?」
「いや、その結論はおかしい」

 マーヤがさらっとそんなことを言い出した。
 別に俺には性別を変えたい願望はないので、お断りしておいたのだが、現在人気がないとはいえ、そして敵とはいえ女性を一人裸でここに置き去りにするのはな……と俺は考える。
 それにこの球はすでに魔王の方で解析終了、再現可能であり、今後これを持って逃げたことで俺達に及ぶ危険も考えるとここで……“たまたま拾った”という本当のことを話して返してしまった方が良いのでは、とも考える。

 とりあえずはここで、それほど危険な状態でもないので俺は上着のポケットにこの赤い球がはいっていたので上着を脱ぎ、マーヤに、

「この上着を、あちらの方に持って行ってください」
「……折角服を溶かしたというのに」
「そこに赤い球が入っているから、そのまま持ち帰ってもらおう」
「……いいの?」
「俺はたまたま拾っただけだから」

 そう答えると、マーヤは納得がいかないようだったけれど、それを持ってその女に近づき、

「これ」
「……何よ」

 そんな女の不満そうな声が聞こえたので俺は、

「えっと、俺はたまたま貴方にぶつかった時にその赤い球を拾っただけです。貴方に会ったら返そうと思っていました」
「それを信じろと? こんなふうな目に合わせて?」
「それは貴方が攻撃してきたからでしょう。それとこれを返したらそのままどこかに行ってくれますか? 俺はあまり危険なことには関わりたくないのです」
「ふん、事なかれ主義ね」
「いや、誰だって率先して危険に飛び込みたくないでしょう。しかも俺はただ拾っただけですし。そんな大切なものだとは思いませんし」
「……」

 そこで女は沈黙したようだ。
 それからもそもそと音がするので服を着ているのだろう。
 一応はちょっと眺めの上着だっ立ったので、彼女の身長ならミニスカートくらいの丈になるだろう。

 そう思っているとそこでマーヤが、

「タイキ、もうこっちを見て大丈夫」
「そうなのか……」

 ということで振り返ってみたのだが、どことなく顔の赤い彼女は良いとして、こう、上着だけを羽織った状態というのは、独特のこう……やけに足の部分が印象的である。
 そう俺は思ったが口にはしない。
 すると彼女は、

「ふ、ふん、まあ今回は見逃してやってもいいわ」
「はあ。ありがとうございます。それじゃあ」
「ほ、本当にただ拾っただけなのね」
「はい、そもそもたまたまぶつかった時にそれを拾ったのでどうしようかなと思って持っていましたので……とりあえずは返せて良かったです」

 打算もいくつかあるとはいえ、当初はこの人に返そうと思っていたものだった。
 本来ならこの人を捕らえたほうが良いのかもしれないが、そうなると次はどうなるのだろうとも考えてしまう。
 穏便に事を運びたい、ある意味で“弱気”な性格の俺なので仕方がない。
 そう思っていると目の前の彼女が、

「そ、そう……攻撃して悪かったわ」
「いえ、特にお互い怪我もないですし。綺麗な方に怪我がなくて良かったです」

 一応美人だし怪我なくてよかったなとか、この世界の人達美人が多いな~ゲームみたいにと俺が思ったのでそう告げると、彼女は顔を赤くした。
 あれ?

「そ、そう、び、美人……そう。そう……」
「え、えっと」
「べ、別にそう言われたからって、貴方の思い通りにはならないんだから」
「は、はあ」
「……行くわ」

 そうポツリと呟いて、彼女はその場から逃走するように走っていく。
 俺は一体、何かを間違えたのだろうか。
 というかなんだ、あのチョロインみたいな反応は。

 そう俺が何が起こったと思って呆然としていると、

「……これぞ天然たらし?」
「いや、そこまで女の子は普通、チョロくないだろう」
「……こういうのを鈍感主人公というのです」
「いや、俺は鈍感じゃない、敏いはずだ」
「自分ではそう思っていても周りの評価は違っているものなのです。後でミルル達に話そうっと」
「いや、話すなよ、というか聞いているのか、マーヤ」

 何故かそれを告げられるのも嫌な気がして俺は、必死になってマーヤを止めたのだった。
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