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ゲームのような異世界で、チートライフを楽しみたい! 作者:ラズベリーパイ

第3章

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夜明けの訪問者

 その日はぐっすり眠れた気がする。
 そろそろ起きるかと思って目を覚ますと、まだ夜明け前のようだった。
 たまたままだ曇っていて暗いのかと思ってベッドの側にある時計を見ると、朝の5時だった。

「二度寝でもするか」

 俺はもう一度そう呟いて瞳を閉じるが、なかなか寝付けない。
 ここ暫く色々あったからだろうか。

「異世界からの、侵略者か」

 できれば穏便な形で済ませたい所だが、彼らはそうではないらしい。
 お前達のルールに乗せるのかと、彼らは俺達に言った。
 彼らにはこの世界を侵略する理由があり、そのためならこちらの世界の人間を“殺してもいい”と思っている。

 そしてこちらは、殺されたくない、そしてできれば話し合いでと思っている。
 だが彼らは、こちらの話を聞かないと言っている。
 つまり、こちらが殺されないだけの守りと共に攻撃手段を持たないかぎり、彼らはこちらの話を聞くつもりがないと言っている。

 武力的な背景もなく、交渉の席には立てない。
 大量のチートといえるようなゲームの能力と魔力等、沢山持っているのを考えると、それに関しては今の俺には武力的な立場はあるのか。

「やろうと思えばそこら中を焦土にすることが出来るからな」

 それをやるかどうかは俺の意志の問題で、そして俺はそれをしない。
 強すぎる力を持った場合、それを人間が制御できるかどうか……と俺は考えつつ、俺の性格からして女神様は力を与える相手をよく選んだと思う。
 この世界の“客人”としてお行儀よく生活している。

 まるで初めから俺という“人物”を知っているかのようだ。

「大学の友人達がなんか関係でもしているんだろうかってくらいに、身近な人物の気がするな。でも面識はないはずだよな。そもそも異世界の女神様だし」

 そう考えながらも俺の中で何かが引っかかる。
 だが答えは出ない。
 仕方がないので考えるのは保留にしておいて、

「この力をどう使うか……だよな」

 自分の手のひらを上にかざし、真剣に考える。
 使い方を誤れば大きな災いとなる力。
 一昔前なら、人工知能にすべておまかせといったような万能感に見舞われた謳い文句にそのまま迎合していだろう。

 だが現状を考えると、倫理観や感情といった、曖昧なものも必要になってきている。
 不執拗と思って切り捨てたものが、ただ単に“価値”を認識していなかっただけで、それが“誤り”に繋がっていたのが、ここ最近の“人工知能戦争”の遠因だとも言われている。
 考えるのも疲れてきたので俺は、久しぶりにスマホを検索してみる。

 電源を入れた後の画面は好きな設定のままだったので、気づかなかったのだが……。

「こうしてこうして、検索期間を3時間以内に検索して……こうしてと」

 ニュース関係を調べたのだ。
 そのうち俺が元の世界に戻った時、周りでとんでもないことが起きたとしても知らなかった、という状態にならない方がいいためだ。
 そんなわけで俺は検索し、見ていく。

 相変わらずネット上を賑わせているニュースは“人工知能戦争”の話ばかり。
 それも俺がこの異世界に呼び出される前日のものばかり。
 どうやら時間の経過が、この異世界と俺達の世界は違うようなのだ。

 つまり俺達の世界のほうが時間がゆっくり流れていることになる。
 ただそれを考えると、

「ゲームの世界も大抵時間の変化は俺達の世界のものよりも早いんだよな。そうして魔法のある異世界、俺達の事情に詳しい女神様」

 それらを並べていくと極めて怪しく思えてしまう。
 だが証拠も何もない。
 とりあえずは時間の経過が早いということだけは再度確認した。後は、

「二度寝しよう。……二度寝をすると悪夢をよく見るんだよな」

 そう俺はつぶやき眠ろうとして……玄関の扉を叩くような音が聞こえたのだった。







 こんこんこんこん。
 明らかに何者かが扉を叩いている。
 パジャマのまま部屋を出た俺だが、その音に気づいて起きてしまったらしい、ミルル、シルフ、エイネ(サーシャは気づかず眠っているらしい)が眠そうに部屋から顔を出す。

 どうやら誰かがこんな朝早くに訪ねてきたらしい。
 だが、この時間帯を考えて普通ではない。
 ゴクリと俺はつばを飲み込む。

 それからゲームの選択画面を呼び出して、相手を痺れさせる魔法を検索して出しておく。
 そして俺はそっとドアに近づき、

「……どちら様ですか」

 問いかけるも、返事はない。
 けれど代わりに、こんこんこんとドアの叩かれる音が聞こえる。
 やはり誰かがいるらしい。

 俺は意を決してそのドアを開いた。

「……誰もいない?」

 周りを見回し、階段を見ても誰もいない。
 上を見ても空を飛んでいる様子もない。
 気のせいか? そう思いながら再びドアを閉めると、こんこんこんと再びドアを叩く音がする。

 明らかに奇っ怪なその現象に俺の顔から血の気が引く。
 振り返るとミルルたちも真っ青な顔になって動けずにいる。
 だがこの不気味な現象を、放置しておくのもそれはそれで怖かったし、この前、マーヤがじっと見て何人もいると言っていたのはミルル達だった。

 そう、怪奇現象には原因がある!
 幽霊なんて唯の魔法的なエネルギーだからな! この世界では!
 俺は震えながらそう自分に言い聞かせて、ゆっくりとドアを開けた。

 だがそこには相変わらず誰もいない。
 ……そこで俺は何となくしたの方を見た。
 特に何かの意図はなかったのだけれど、そこには透明な水たまりのようなものが広がっている。

 因みに昨晩水をまいたり雨が降ったりした形跡はない。
 そこでそのむずたまりのようなものが小さく震えたかと思うとゆっくり立ち上がり、少女の形を形作る。

「驚いた? この前読んだ怪談話を真似してみました」

 そう無表情に、あの“原初の魔族”であるマーヤが告げたのだった。







 とりあえずはなにか飲み物でも提供しようという話に。
 ミルクを取り出しココアの粉と砂糖を入れて、温かいココアを鍋に作る。
 サーシャ以外全員起きてしまったので、全員分だ。

 それはミルルが作ってくれるらしい。
 代わりに俺達はマーヤに、どうして家に来たのか聞くことにしたのだが。

「勉強が嫌になったらいつでも来てもいいと聞いていたから」
「……こんな時間に、勉強?」
「うん、この時間に活動する“ららんか豚”という野生の豚を仕留めるお勉強をさせられたんだけれど、魔法に制限がされたので上手く捕まえられなくて……でもリズは自慢するから怒って逃げてきました」
「“ららんか豚”。確か凄く旨味が多くて美味しい豚だったような」
「そうらしいです。高値で取引されているらしいです」

 どうやらその豚を捕まえる狩猟に参加させられたが上手く行かず、すねて俺のうちに来てしまったらしい。
 なんというか、なんというか。
 子供っぽい理由だなと思いながらも俺は、

「でも、リズさんも大人気がないけれど、上手くとれたのをマーヤに褒めて欲しかったんだろう」
「……そうなの?」
「うん、きっと朝食に美味しい豚料理を作りたくて取りに行ったんじゃないのか? マーヤに食べさせたくて」

 だがマーヤに食べさせたくて野生の豚を捕らえに行くのはどうだろうという気が俺にはしたが、そこは黙っておく。
 と、ミルルがココアを持ってきて、マーヤに渡す。
 マーヤはなんだろうというかのように匂いを嗅いでから口にして、

「美味しい」
「それはよかったです。作ったかいがありました」

 ミルルが嬉しそうに言う。
 それからココアを飲み終わってから俺は、マーヤをリズさんの家に届けに向かったのだが……まさかあんなことになるとは思わなかったのだった。
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