私の名前は灰原哀。
江戸川コナン君の同級生で、少年探偵団の1人。
といっても、小嶋君達になかば強制的に入れられたんだけどね。
今日私達は、クラスメートであり、足を骨折した片岡純君のお見舞いで、米花総合病院にやって来たの。
病院には、純君の父親である片岡茂さんと、片岡家の運転手である北山吾郎さん、そして江崎幸子さんがいたわ。
幸子さんはもうすぐ純君の新しいお母さんになる予定なんだけど、純君は少し反発気味のよう。
しばらくして3人が出ていった後、純君がゲームセンターに行きたいと言い出したのよね。
私達は反対したんだけど、『12時の回診までなら』って事で、私達の中の誰かが身代わりになる事になったの。
ジャンケンをした結果、江戸川君が代わりに病院に残る事になったわ。
私は何かあった時のために、みんなが出ていった後、江戸川君にシール式発信機をつけたの。
哀「じゃあ江戸川君、がんばってね。」
コナン「あ、ああ・・・」
私は病室を後にした。
1人残されたコナンは、ベッドで寝ていた。
ちなみに、時計型麻酔銃やその他諸々の道具は、全部哀が持っている(追跡メガネは予備を哀も持っているので例外)。
コナン「ハァ・・・オレってジャンケン弱いよなぁ・・・ま、いいや!最近疲れてたし、ゆっくり休ませてもらいますか・・・」
コナンは布団を被り、少し目をつぶる。
10分ほどたった頃、男が1人病室に侵入してきた。
コナンは耳を澄ませる。
すると男はおもむろにポケットからハンカチを取り出し、何かを染み込ませた。
そしてベッドに近づくと布団を少しめくり、コナンの口をハンカチで塞いだ。
コナン「うっ!!(ク、クロロホル・・・ム・・・)」
コナンは深い眠りに落ちた。
男は布団でコナンを包み込むと、布団を担いで走り去っていった。
ゲームセンターで遊んでいる純や歩美達に付き添っていた哀は、何かしらの不安を感じていた。
哀「何なのかしら、このイヤな感じ・・・まるで、江戸川君の身に何かが起ころうとしているような・・・まぁ、彼なら大丈夫よね。」
哀はそう安直に考え、歩美達の方を向いた。
ガタン、ガタン・・・
キキッ。
コナン「ん・・・(なんだ?)!!」
ムクッ・・・
コナン「痛っ・・・頭が痛い・・・そうか、オレ・・・誰かに薬を嗅がされて・・・」
ギギィィ・・・
コナン「!!」
吉沢正「おい、起きろ。」
コナン「・・・」
正「なんだ、動けないのか。しょうがないな・・・」
吉沢正はコナンに近づくと、コナンを腕に抱えた。
ガバッ。
コナン「わっ。」
そして、ゆっくりと歩いていく。
コツコツ・・・
コナン「おじさん誰なの?ボクをどうするつもりなの?」
その時、コナンのメガネがズリ落ちた。
カシャン!
コナン「あ・・・」
正「オマエの親から身代金をいただくのさ。」
コナン「じゃあボク、誘拐されたの・・・?」
正「まぁ、そういう事だ。」
その頃、病室に純がいない事に気づいた看護婦が、純の両親を呼んでいた。
その後目暮警部達も駆けつけ、電話が来るのを待った。
ピリリ・・・ピリリ・・・
茂が電話に出ると、男の声で純を誘拐したと言われた。
茂が純の声を聞かせろと言うと、正はコナンのそばに携帯電話を近づけた。
正「ホラよ・・・父親がオマエの声を聞きたいんだとさ。」
コナン「パ、パパァ・・・」
コナンは弱々しい声を上げた。
正「コイツを返してほしかったら、身代金を用意しな。運んでいくヤツと金額は、また後で言う。2時間後にまたかけるからな。」
ピッ!
電話を切ると、正はコナンの方を向いた。
クルッ・・・
コナン「!!」
正はコナンに近づいてくると、持っていたカバンからロープを取り出し、コナンの手足を縛り始めた。
コナン「あっ、あぁっ・・・!!」
コナンはジタバタもがいたが、ダメだった。
正はコナンの手足を縛り上げると、声が出せないようにコナンの口にガムテープを貼りつけた。
ペタッ!
コナン「むぐっ。うっ、うぅっ・・・」
そして、正はコナンを持ち上げた。
ヒョイッ!
コナン「ん〜、ん〜・・・」
正はコナンをどこかへと運んでいった。
正はコナンを地下室へと運んで来た。
コナン「ん〜、ん〜。」
正はコナンを柱に寄りかからせると、コナンの体をロープで柱に縛りつけた。
ギュッ、ギュッ。
コナン「ん〜、ん〜・・・」
正はコナンの方を振り返ると、低めの声でこう言った。
正「ここでおとなしくしていろよ。」
そう言うと、正はコナンを置いて地下室を出ていった。
入口にカギを掛けて。
私達は、ゲームセンターから帰るところだった。
片岡君の時計が、なんと壊れていたのである。
歩美「まいっちゃったよね、まさか時計が壊れてたなんて・・・」
元太「帰ったら怒られるだろうな。」
光彦「でしょうね。」
哀「・・・」
私は、何だかイヤな予感がしていたのだ。
江戸川君の身に、何かが起きようとしているのではないかと・・・
しばらく歩いて、私達は病院に着く。
何だか院内が慌ただしい。
まさか、江戸川君が!!
そう思うが早いか、私は病室に向かって走り出していた。
哀達が病院に向かっていたのと同じ頃・・・
1台の車が倉庫前に止まった。
おそらく、身代金を手に入れて来た吉沢正だろう。
倉庫内の柱に縛りつけられているコナンは、耳を澄ませていた。
正「ホラよ、これがアンタの取り分だ。」
『ああ。』
正「アンタもヒドいヤツだな。自分が運転手をしている所の子供を誘拐させるんだから。」
『余計な事はしゃべるな。ん?』
正「どうした?」
謎の人物は、吉沢が乗って来た車の中を調べている。
しばらくして、謎の人物は戻って来た。
正「何だ、どうした?」
『・・・』
謎の人物は、おもむろに吉沢の背後に回ると、突然ヒモ状の物で彼の首を絞めた。
正「ぐあっ・・・」
ドサッ!
吉沢が倒れたのを確認すると、謎の人物は倉庫のカギを開けた。
そして、コナンの元へと近づいていく。
コナン「んっ、んんっ・・・」
すると謎の人物は、上着に入れていた物を取り出した。
コナン「!!」
コナンは絶句する。
それは、バッグに仕掛けられていた発信機らしき物だった。
謎の人物は少し笑みを浮かべ発信機をつぶすと、ポケットから何かを取り出した。
コナンには、それがハンカチだとわかった。
続けてポケットから取り出した小瓶を開け、中の液体をハンカチに染み込ませる。
コナンにはその液体がクロロホルムだとわかった。
しかし、わかったところでどうしようもない。
コナンは柱に縛りつけられ、身動きがとれないのだから。
謎の人物はハンカチを持って近づいて来ると、コナンの口をハンカチで覆った。
コナン「ん〜っ、んん〜っ!!」
コナンは必死に暴れたが、やがてクロロホルムの効果により目がトロンとなった。
コナン「うぅ・・・」
コナンはグッタリと気を失ってしまった。
「クックックッ・・・」
謎の人物は、不気味な笑みを浮かべていた・・・
一方、哀の方は・・・
私達が病室に着いた時、片岡さんがこちらを向いた。
茂「じゅ、純!?」
純「パ、パパ・・・」
茂「何だ、さっきの電話もその前の電話もハッタリだったのか・・・」
歩美「電話って?」
幸子「少し前にね、低い男の声で純君を誘拐したって電話があったのよ。それで私が身代金の運び役になったんだけど、まんまと奪われちゃって・・・で、さっきまた男から電話で『約束違反だ。もう息子には会えないと思え』って電話が・・・」
哀「(・・・え!!!)」
その瞬間、私達は顔が真っ青になった。
元太「お、おっさん!!」
光彦「実は誘拐されたのは・・・」
歩美「コナン君なの!!」
茂「な、何だって!?」
それと同時に、目暮警部達が入って来た。
目暮「どういう事か、説明してくれるかね?」
元太「実はおっさん達が出てった後、純がゲームセンターに行きたいって言い出してよ・・・」
光彦「最初は止めたんですが、12時の回診までに戻って来れば大丈夫だろうって・・・」
歩美「それで、ジャンケンしてコナン君が代わりになってたの・・・」
目暮「そうだったのか。」
渉「じゃあ、さっきの電話は、純君がコナン君だとバレたからでしょうか?」
美和子「イヤ、それならわかった途端に殺しているわ。多分、発信機の存在がバレたのよ・・・」
目暮「なら、早く探さないと・・・」
哀「・・・」
私は意を決し、バッグからある物を取り出した。
それは、予備の追跡メガネである。
哀「目暮警部、私に任せて下さい。必ず江戸川君を助け出しますから!!」
言うが早いか、私はスケボーを持って病院から駆け出した。
哀「(お願い、工藤君・・・私が助けるまで、どうか無事でいて・・・!!)」
ピチャン、ピチャン・・・
コナン「ん・・・」
かすかに聞こえる水の音で、コナンは目を覚ました。
コナン「(そうか・・・あの時、覆面をした男にクロロホルムを嗅がされて・・・)」
コナンはふと足下を見る。
すると、足下に水が溜まっていっている事に気づいた。
水の音が聞こえていたのは、これのせいだったのだ。
コナン「ん、んんっ!?(な、何これ!?)」
ふと上を見上げると、小さな穴からゆっくりと水が流れ続けていた。
コナン「(この水、オレが気絶していた間中もずっと溜まり続けているのか・・・ちょ、ちょっと待って!そ、それじゃ、このままだと・・・)」
結果はわかりきっている。
このまま水が溜まり続ければ、コナンはいずれ溺れて溺死してしまう。
おそらく、それが犯人の狙いであろう。
コナン「ん、んん・・・(そ、そんな・・・イ、イヤ!!このまま溺れ死ぬなんて・・・!!)」
コナンは何とか逃げようと体を動かしたが、柱に体を縛りつけられ、さらに両足も縛られている状態ではそれもムリだというものだった。
コナン「ん、んん・・・ん、んんぅぅ・・・んんぅんんぅぅ、んぅんんぅ〜っ!!!(イ、イヤ・・・た、助けて・・・早く助けて、誰かぁ〜っ!!!)」
コナンが必死に暴れる中、水は容赦なく溜まり続けていた・・・
私は今、ターボエンジン付きスケートボードで町内を爆走している。
私がかけている追跡メガネに表示された点は、正確に工藤君の居場所を教えてくれていた。
哀「(この反応・・・もうすぐだわ!もう少し待ってて、工藤君!!)」
私はようやく、発信機が示す場所にたどり着いた。
哀「(ここに工藤君がいる・・・)よぅし!!」
私はどこでもボール射出ベルトからサッカーボールを取り出し膨らませると、キック力増強シューズを使ってボールを蹴り飛ばした。
ドンッ!!
ドゴォォォォォ!!
ドアが吹き飛んだ。
私が中に入り込むと、奥に工藤君がいた。
工藤君は体をロープで柱に縛りつけられ、ジタバタともがいていた。
哀「工藤君!!」
コナン「んっ、んんんん〜!!」
私は工藤君の元に駆け寄ると、彼の口に貼られているガムテープをピリリとはがした。
ピリリ・・・
コナン「イタタ・・・は、灰原・・・」
哀「大丈夫?工藤君・・・」
コナン「な、何とかね・・・」
哀「待ってて、今ほどいてあげる。」
そう言うと私は工藤君の背後に回り、彼を拘束状態から解放した。
バサッ・・・
コナン「ありがとう、灰原・・・」
哀「どういたしまして。さぁ、ここから逃げるわよ!」
コナン「ああ。だけど・・・」
哀「ん?」
コナン「覆面の男がまたここに戻って来るかもしれない。」
哀「だったら、待ち伏せましょう。」
しばらくして、覆面の男が戻って来た。
「ん?あ、ガキ!オマエどうやって縄を抜けた!?」
コナン「そ、それは・・・」
「まぁいい・・・どうせオマエは始末する予定だったからな!!」
そう言うと、覆面の男はコナンの方に向かって来た。
コナン「・・・」
ザザッ!
哀「くらぇぇぇーっ!!」
パリパリ・・・
ドゴォン!!
哀はサッカーボールを蹴り飛ばした。
ゴォォォォォ・・・
「がぁっ・・・!!」
覆面の男は気絶した。
真犯人は、片岡家のタクシー運転手である北山吾郎さんだった。
北山さんは、賭博でかさんだ借金返済のために、吉沢正を雇って片岡純君を誘拐する計画を立てたのだという。
警察の発信機がバッグについている事に気づいた彼は、吉沢を殺し、純君も溺死させ、その罪を江崎幸子さんにきせようとしていたらしい。
彼のポケットの中から、幸子さんのイヤリングが見つかった。
おそらく、これを吉沢の遺体のそばに置くつもりだったのだろう。
倉庫前に止めてあったトラックの中から、吉沢の遺体と身代金も見つかり、北山さんは誘拐と殺人の罪で警察に連行されていった・・・
その後、幸子さんのファッションショーは大成功のまま終わった。
純君も、幸子さんの事をお母さんと呼ぶようになったみたい。
まぁ、工藤君が少々危険な目に遭ったけど、事件が無事解決できて良かったと思う。
めでたしめでたし、かな?
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