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神様は働かない 作者:shiro
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邪神さんと生贄さん 22

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外周にある問屋街と異なり、中央の広場では
街に住むご婦人が焼いたお菓子を売る店や
果物と定期的に組んでくる井戸水とで作る冷たい飲み物の店、
周辺の村からも地元特産の野菜や、その村の郷土料理の店、
さらには遥か遠くからやってきた商人の出す異国の食材の店など、
様々な露店が中央のフードコートを囲むように軒を連ねており
街の住人に行商人や旅人や冒険者らしい者、
種族もエルフやドワーフにハーフリングまで
様々な人達でにぎわっていた。

露店市へ入った二人は、とりあえず手短な露店で
肉の串焼きと冷たい水に蜜柑を絞り入れた飲み物を買うと
広場の中央にあるテーブルで休憩をとることにした。

「ふぅ……ここで少し休憩だね」
本をテーブルに、ランプの包みは地面に置き、
席に座ったフィルはようやく落ち着いたと蜜柑水を飲む。
店員のおすすめの言葉通り
木のジョッキに入った蜜柑水はほどよく冷えており、
ずっと動いていた身にはとても心地よい。
「宿屋さんからずっと立ってましたもんね。私もすこし、足が痛くなっちゃいました」
フラウもさすがに歩き通しで疲れたのだろう、
買ってきた服の包みをテーブルの上に置いて
蜜柑水を飲みながら脚の疲労を取ろうと足を浮かしたりしている。

「はは、大分歩いたからね。あまり無理はしないようにね」
「はいです! フィルさんは大丈夫です?」
「ああ、冒険者は歩いての移動が結構多いからね。このくらいなら大丈夫だよ」

フィルの言うように冒険者というのは徒歩での移動が多い。
街から街へと街道を移動する場合は
乗合馬車や、マウントの呪文で馬を召喚したりもするが
遺跡やモンスターの住処などは、大抵、街道筋から外れたところにあり
そうした場所へ向かうには馬車はもちろん、
馬さえ通れない、道なき道を移動する場合が多い。
さらに言えば、
ダンジョンでは狭い場所で不利になる事が目に見えているし
街中では目立ちすぎるし小回りが利かないし、何より住人の迷惑になる。
空の上や海の中を移動する時なんかは、それこそ邪魔なだけとなる。
そんな理由から、フィル達のパーティでは
せいぜいウィザードが必要に応じて召喚する程度で
自前の馬を飼うことは無かった。

「僕の方はまぁいいとして、フラウは普段こんなに歩かないんじゃないか?」
「えへへ、今日は楽しくて、とても歩いちゃいました。畑のお手伝いをしている時よりも頑張っちゃいました」
「あはは、あんまり無理しすぎると、体調崩しちゃうから、疲れたらすぐに言うんだよ?」
「はいです!」
元気よく返事するフラウ。
少女の元気そうな様子に、この分ならまだまだ大丈夫そうだなと判断し、
次はどこへ行こうか考える。
「フィルさん、次はどちらへ行きます?」
「そうだなぁ、一通り必要な物は買ったし、少し武器屋へ行って剣を買ってもいいかな」
「村の人が使う武器を買うのです?」
少しだけ不安そうな声で質問する。
先ほどの、領主の家での事を思い出したのだろう。

「ああ、いや、村で使う武器はまだ買わなくてもいいかなって思ってるよ。今回はお金を稼ぐために魔法の武器を作ろうと思うのだけど、その素材になる武器を買おうと思ってね」
「フィルさんって魔法の武器を作れるんですか?」
思っていたのとは異なる使い道に、少し興味が湧いたのか、
ジョッキを両手で持ちながらフィルの話に聞き入るフラウ。
「うん。まぁ、今回作ろうと思ってるのは簡単な魔法の奴だけど、それでも売れば暫く生活に困らないだろうからね」
「なるほどですー。あ、でも素材って、村では手に入らないのです?」
村にも鍛冶屋さんはありますよとフラウ。
「魔法の武器を作るのには、普通のより高品質な剣が必要でね。武器屋で探してみようと思うんだ」
「それで武器屋さんへ行くんですね」
フィルの説明になるほどですと頷くフラウ。
フラウの了解を得ることが出来たフィルは、
暫くフードコートで休み、フラウの疲れが十分に取れたとところで
ジョッキと、肉串の皿と串を屋台に返して市場を後にした。

冒険者が使うような武器屋や
旅人が立ち寄るような雑貨屋は、
旅人や冒険者向けの店が並ぶ、東側の通りに集中していた。
二人は再び大通りの坂を上り、領主の館の前を通り、
途中、再び人気の無い路地でランプと本をバッグへとしまい、
宿屋が並ぶ東側の通りへとたどり着くと
宿屋に混ざって建っている武器屋に入った。

武器屋は、武器を作る鍛冶場と
販売する店舗が合わさった建物となっており、
奥の鍛冶場で鍛えられた武器が、
入り口から入ってすぐの売り場で陳列、販売されていた。
フィル達が店に入ると新人冒険者らしい客が
店員と雑談しながら新しい得物を選んでいる最中だった。

「予備にメイスとか、殴る武器が欲しいんだけど」
「お客さん、たしかロングソードがメインでしたよね。それなら、同じように片手で扱える、ウォーハンマーがお勧めですかね。うまく当たればでかいですよ」
「なるほど、じゃあ、それを貰おうかな」
「まいどあり、お客さん予備にメイスという事は、アンデットと戦うんですかい?」
「いや、この間スケルトンと戦ったんだけどさ、あいつら、剣がほとんど効かなくてさ……」

フィルはそんな会話に懐かしいなぁと思いつつ、
店員の手が空くまで暫く店内を見ていることにした。
店の中は客が動き回れるスペースには
量産された数打ちの武器が並び、
熟練の職人が手間暇かけて鍛えた高品質な武器や、
魔法の武器といった高価な品は
カウンターの向こう側で管理されている。

大げさすぎるという人もいるが、
一般に通常の武器が、金貨数枚から数十枚のところ
高品質の武器は追加で金貨三百枚ほど必要になり
魔法の武器に至っては最低でも金貨千枚から天井知らずと
金額の差を知れば、これだけ厳重になるのも納得できる。

フラウはというと、武器には興味が無いようで
早々に店の隅にあるベンチに腰掛け
フィルの用事が終わるのを待つ事にしたようだった。
フィルと目があうとにっこり笑って手を振ってきた。

(あまりフラウを待たせるわけにもいかないか)
数打ちとはいえ、久しぶりにやってきた武器屋に
もう少し武器を見ていたいフィルであったが
余り待たせるわけにもいかないだろうと
冒険者の対応が終わった店員へと声をかけた。

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