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鋼鉄のアイ 作者:パブロン

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脱出装置と調教

 濛々と砂煙が舞っている。ソフィスト兵は、突如、金色の化け物を襲った爆撃に困惑していた。しかし、これは自分達が生き残る最後のチャンスだと確信する。

 歩兵は投げ捨てた銃を拾い上げ、戦車兵はすぐさま車輌に走り出し――<殲滅者>がいると思しき地点に砲撃を加えなければ――次に殺されるのは自分であるという確信があった――それが叶わないことに気付かされる。

 そうして(ダダダダ)、人が死ぬダラララ

 爆撃の中心地が乾いた風に浚われた。まず目に飛び込むのは抉れた大地。直径五〇メートル、深さも五メートルはあるだろう。音爆は強烈な音波を収束して放つスキルである。その特性上、目標から距離が離れれば離れるほど収束率が低くなり、効果範囲は広くなっていく。

 銃に手を伸ばせばダラララッ殺されたダラララ

 地面に大穴が空いている。それだけで音爆の威力を推し量れるというものであった。大量のソフィスト兵を殺害したことにより、ライムの音爆の威力も上がった。かつての彼女であれば地面を軽く掘り返すくらいしか出来なかったはずだ。

 背を向けてもダダダッ殺されたダダダダダッ

 その穴はまるで砂丘のようなさらさらとした粒子の細かい砂で構成されており、大地の結合でさえも超振動による崩壊を促しているあたりに防御力無視の意味がある。

「何で……ピュギャ」
「奴は……奴が……グアァァアァッ!」
「い、イギテ……ルゥ……」

 声を上げてもダダダッ殺されたダダダダダッ

 ぽっかりと開いた地面、その淵に赤い、血の色のような戦闘服に身を包んだ紅い瞳の男が居た。

 タクム――<殲滅者>は無傷であった。理由は実に簡単だ。パワードスーツ<デュラハン>に付いている脱出装置を発動させただけである。

 製作者ドリームが設計した脱出装置は起動と同時、胸部と腹部のパーツを爆薬で吹き飛ばし、その勢いを利用して、搭乗者を無理矢理後方に弾き飛ばすだけの乱暴なものである。おかげで重量は一〇キロも増してしまうデメリットがあった。

 ――あん時は何で付けたのか分かんなかったが、さすがはおっさんだ。こういうことを見越してたんだな。

 髭で隠された口元をにんまりと歪める強面を脳裏に思い浮かべながら、タクムはしみじみと感心していた。実際は『ロマン溢れる強化服には当然、脱出装置は付き物だ』という技術屋のお遊びギミックだったのだが、おかげで九死に一生を得たタクムから文句なぞ出ようはずもない。

「おいおい、もう無抵抗か? 詰まんねえぞ、もっと抵抗してくれよぉ……ったく、」

 それとは逆に反骨心を叩き折られ、死を覚悟した次の瞬間、希望を見せられ、その直後に死神が復活したとなればその精神的ダメージはいかばかりか。

「もう、駄目だ……」
「俺達は……死ぬんだ……」
 絶望の淵に叩き落されたソフィスト兵は、今度こそ無抵抗となった。銃を投げ捨てる者、その場に大の字になる者、恋人や家族の名前を口ずさむ者など多々あったが、タクムはその全てを一切を殺した。

 良心の呵責は生まれなかった。
 所詮、この世界はゲームである。
 そんな感情が芽生えるわけがなかった。

「お、そうだ、忘れてた……」
 と、しばらく放置していた味方部隊の存在を思い出す。

 バックパックから予備の通信機を取り出し、

『雌豚ああぁぁぁぁ!』
「……おーい、ベジー、そいつは壊すなよー」
 タクムは慌てて通信を開始した。




「雌豚ああぁぁぁぁ!」
 怒りに駆られたベジーはライムの顔面に拳を次々に叩き付ける。マウントポジションからのパウンドもこれで二十発近い。

 両目は当然、眼窩骨折。左目は半ば飛び出し、頬骨は粉砕骨折しもうめちゃめちゃ、当然、奥歯に至るまで抜け落ちており、唇は常の十倍ぐらいにまで腫れ上がっている。顔中余すところなく青痣を作り、つるんとした綺麗な額はまるで履帯に踏み潰されたかのようにでこぼことしていた。

 ライムの兵種は白兵系に特化しており、また急激なレベルアップのおかげでまだ生存していた。それでもダメージは甚大であり、HPはレッドゾーンに突入しており、恐らく後一発でも打撃を受ければ全損――放っておいても死亡するであろう。

 息の根を止める。狂ったように拳を振るい続けるベジーだったが、その実、壊れてはいない。暗殺者として常に持ち続けている冷静な思考は出来うる限り惨たらしく殺害することだけを考えており、当然、この程度で収めるつもりなど毛頭なかった。

 腰ポーチからポーションを取り出し、顔面にぶっ掛ける。
 ジュゥゥゥ、という肉の焼けるような音と共に蒸気が上がる。

「ヴッ、アガァ……」
 ナノマシンにより、破損箇所を強制的に修復するのには相当な激痛を伴う。気絶していようが痛みは感じるらしい。

 破壊された顔面は目玉や命の危険に関わるような怪我を除いてそのままとなった。使用したポーションは等級の一番低い、それこそ擦り傷辺りにしか使われないような安物である。こんな豚女に高位のポーションを使う理由がない。せいぜい激痛の中でのた打ち回るがいい。

 ――ふむ、後はタクムに任せよう。

 加えて言うが、ベジーは至って冷静である。スコープの先で、タクムが強化服をパージして音爆を回避していたことは分かっていた。

『おーい、ベジー、そいつは殺すなよー』
「もちろん、承知している」
 ライムのユニークスキル<音爆>の有用性はベジーとて分かっている。これさえあればどれだけ強固な城壁であろうと瞬時に破壊できる。要塞化された都市を攻略するのに彼女の存在は不可欠である。

 タクムが今回、パーティを組んでライムを戦場につれてきたのも、彼女のレベル上げが目的だ。

 ライムは新兵だ。死体を見て吐いたり、体調を崩すのは当たり前である。当然、パニックを起こして暴発する可能性も考慮していた。

 タクムは後方にも注意を払っていた。だからこそ、下手なミサイル攻撃をも凌ぐ効果範囲を持つ<音爆>から逃れられたのであるし、ベジーも極めて迅速にライムを無力化出来たのである。

 唯一の誤算は混乱の末、タクムを止めるのに選んだのが<音爆>だったことである。

 これはただの調教である。痛みによって今後、この豚女が敵対行動を取らないようにするための処理なのである。

 ――フン、家畜は痛い目を見なければ分からんからな。

「起きろ、雌豚!」
 無傷の腹部を蹴り飛ばし、強引に覚醒させる。

「ヒラヒ―、痛ィ、ヒライヒライ痛イ――ぎゃああぁぁぁぁ―ー」
 ライムは目覚めると同時に地面でのた打ち回った。

「分かったか、豚! 貴様が次にタクムに手出しすれば――今度はこの倍の痛みをお前に与える……」
「ワカヒ、ワカヒマヒタ……」
 ベジーはフンッ、と鼻を鳴らすと手持ちのB級ポーションを顔面に叩き付けた。

「グフッ、うげぎゃぁぁぁああぁぁ――ッ!」
 顔を掻き毟るライムを見て、ベジーは愉しそうに嗤った。
すいません、自慢させてください。
誰かにいいたくて仕方ないのでこの場を借りて自慢します。

人によってはリア充発言に聞こえます。
苦手な方はお手数ですが、
ブラウザバックをお願いします。





いいですかね……。
それでは……。















本日、婚姻届を出しに行きます。

ボクの奥さんになってくれてありがとう。
そんな気持ちで一杯です。

これからは彼女――いえ、妻(はぁと)をめいっぱい大切にして
二人で幸せになりたいと思います。

聞いてくれて、ありがとう。
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