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鋼鉄のアイ 作者:パブロン

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とうぞく の むれ を やっつけた

『マスター! 大丈夫だった! 怪我はない!?』
「おう、大したことない。大丈夫だ。それより、どんくらいレベルアップした? なあ、ステータスを開いてくれよ!」
 携帯電話を取り出し、タクムは言った。

『もう、マスターは向こう見ずなんだから!』
 アイは器用にも人工音声の平坦な声に強弱をつけることで『ぷりぷり』と怒っていたが、タクムの指示には従うようでステータス画面を浮かび上がらせた。

-------------------------------------
氏名:タクム・オオヤマ
年齢:18
性別:男性
職業:丁種 開拓者
兵種:拳銃使い(ガンスリンガー) Lv6

HP:224/250↑150
SP: 75/200↑100

能力値
STR:1.80↑1.00
VIT:1.80↑1.00
AGI:2.70(+0.10)↑1.50
DEX:2.80(+0.46)↑1.50
MND:1.70(+0.20)↑1.00

技能
ハンドガン:1.19 new!
CQC/CQB:1.24 new!
フットワーク:1.02 new!
精密射撃:1.34 new!
急所撃ち:2.04 new!

スキル
弾道予測
ダブルショット(HG):SP10 new!
バウンドショット(HG/SMG/AR):SP20 new!
エアカッター(CQC):SP30 new!
エアシールド(CQB):SP50 new!
ステップ:SP10 new!
ハイジャンプ:SP10 new!
ダッシュ:SP15 new!

アイテム
コルト・ガバメント(M1911)
ジャージ(プーマ)
スーパースター(アディダス)
アッポー アイホン5
M1911用マガジン(装弾済)
M1911用マガジン(空)
.45ACP弾×29

所持金:100$00¢
-------------------------------------

 タクムの表情に思わず笑みがこぼれる。レベルが5つも上がっており、HPやSPを始めとするステータスが大幅にアップしていた。
 兵種である<拳銃使い>のレベルが関わっているのだろう。敏捷性(AGI)と器用さ(DEX)については元の2倍ほどにまで上がっている。

「ちなみにこの1.00とか2.00とかってどういう意味?」
『1.00はこの世界における成人男性の平均値っていったところかな。2.00ってなると一個小隊、だいたい30人から60人の人間の中で一番になれるくらい』
「大分レベルアップしたんだが、世知辛い……」
 タクムの今のステータスは言ってみれば、クラスや学年に一人か二人いるの運動神経の良い男子生徒というレベルである。

『まあ、レベル6だからね。成人男性ならレベル5くらいはいってるから、その上でオール1.00なんだから、かなりいい部類だと思うよ』
 このステータスの上がり方には個人差があるそうだ。レベル1≒赤ちゃんと考えると、初期状態ベイビーで平均男性程度の能力を持っていたタクムはある意味で『才能のある』人間であるともいえる。

『それに新しく技能を覚えたり、今の技能を磨いていけばステータス補正も受けられるからそう捨てたもんじゃないよ』
 技能やスキルにも追加があったようだ。その技能がどんなものなのかはゲーマーであるタクムにならなんとなく分かる。

 念のためステータスや技能の説明を表示してもらうことにする。

-------------------------------------
STR
その者の膂力を現す。この値が高いほど、多くの加重に耐えられ、CQC時の攻撃力も増す。
VIT
その者の頑丈さを現す。この値が高いほど、被弾時のダメージ量が減る。
AGI
その者の敏捷性を現す。この値が高いほど、速く動ける。
DEX
その者の器用さを現す。この値が高いほど、銃器の命中精度が上がり、取り回しも容易になる。また生産活動でも細やかな作業が可能となる。
MND
その者の精神力を現す。この値が高いほど、魔弾の精度や効果が高まり、SP消費量が軽減される。
-------------------------------------

-------------------------------------
ハンドガン
ハンドガン使いの巧みさを現す。この値が高いほど命中精度があがり、使用可能な魔弾の種類が増える。
CQC/CQB
近接格闘/近接戦闘時の巧みさを現す。この値が高いほど格闘能力があがり、使用可能な格闘系戦術(アビリティ)の種類が増える。
フットワーク
移動の巧みさを現す。AGIの値を一定量底上げし、使用可能な移動系戦術の種類が増える。
精密射撃
射撃時の精密さを現す。DEXの値を一定量底上げする。
急所撃ち
急所撃ちの巧みさを現す。DEXとMNDの値を一定量底上げする。
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「ん? なんだ? この魔弾って……」
『魔弾はね、魔力を込めて撃つことで特殊な銃弾を生むスキルみたいだね』

-------------------------------------
魔弾
魔力を付与され、特殊効果を得た銃弾、あるいはその方法のこと。
その精度や効果はMND値によって異なる。
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「つまりMNDイコールINTみたいなもんか」
『そう思っておけば正解だと思うよ。この世界の魔法はかなり廃れちゃってね。火の玉どーん隕石どどーんみたいな攻撃魔法はほとんど現存しないみたい。
 あとは強化系とか回復とかの補助系が若干生き残っているけど魔弾の種類に比べると見劣りするかな。
 この世界で使える攻撃魔法イコール魔弾になっちゃっているのかもね。まあ、魔弾も大きな視野で見れば魔弾も魔法の一部だし』
「へぇ、魔法……ないのか」
『そんな落ち込まないでよ、マスター。ほらステップとかエアシールドも魔法っちゃ魔法だよ!』
「しかし爆発がないって地味だよな」
『そこは、ほら……手榴弾とかロケット砲があるから……』
「確かに指先一つで大爆発起こせるなら皆そっちに向かうよな」
 詠唱不要、肩に担いで発射すれば大魔法並みの威力が出るならわざわざ苦労して魔法を覚える奴などおるまい。攻撃魔法が廃れるのは自明の理だったのである。

『ちなみに弾丸予測線は固有エクストラスキルだから、SPの消費はないみたいよ』
「へえ、それも地味だがありがたいな。んじゃ続いては……」

「すみません、よろしいでしょうか」
「はい、なんでしょう」
 ステータスウィンドウを操作し、スキルを開こうとしたところで、声を掛けられるタクム。

「私はアルファの町でガンショップを営んでおります、ローランと申します」
 白いシャツにスラックス、先ほどトレーラの影で震えていた人物だ、とタクムは理解する。その後ろに護衛であろう男達が二人続いている。

 すっかり忘れていたタクムだが、そもそもこの男達を助けるのがチュートリアルの目的であったことを思い出す。

「あ、それはご丁寧に。俺はタクムって言います」
『ボクはアイだよ』
「タクム様のおかげで、何とか命を拾いました。ありがとうございました」
 栗色の髪をオールバックにした男性――ローランが頭を下げる。前述の通り、とても丁寧な人のようだ。お人好しな臭いがプンプンした。その代わりに後ろの連中が警戒心丸出しの上、こちらを値踏みするような視線を投げてきていた。

 別にクエストだし、恩に着せるつもりはない。が、初対面の、しかも命の恩人に対してそれはないだろうとタクムは思った。

『マスター、この人達嫌い。なに、この失礼な態度』
「失礼しました、お前達!」
 ローランに諭され、護衛達の不躾な視線は消える。

「いや、大したことじゃないんで。それに、あの程度の雑魚、そこの二人でも何とかなったんじゃないですか?」
 アイが口に出してくれたことで、タクムの不満も自然と収まっている。元から態度がどうこうくらいで大事にするつもりもないタクムは笑顔で応じる。

『マスター、この二人とさっきの人達、能力に大差はないよ。あの分だとほぼ間違いなく殺されてた』
 挑発とも取れる態度に護衛達は不満げな表情を浮かべたが、ローランの視線に諭され、また、アイに指摘されるまでもなく自分達の力量も分かっているのか、黙り込んだ。

「タクム様はお強いのですね、あれほどの野盗の群れを一人で蹴散らしてしまわれるなんて。しかもハンドガン一丁で」
「いや、ほんと大したことないので……」
 所詮チュートリアルである。倒せて当然の相手だ。むしろ、あの程度の相手に怪我を負った――手榴弾による被弾である――のが恥ずかしいくらいであった。

「うっ」
 意識を向けたからか、タクムは背中から発せられる焼け付くような痛みに顔をしかめた。

「あ、お怪我が……どうぞ、お使いください」
「あ、ありがとうございます」

-------------------------------------
回復薬ポーション(F等級)
医療用ナノマシンの入った医療品。服用や患部に塗布することで怪我や骨折などの外傷を治療する。
ナノマシンのレベルが低いため、3日程度の自然治療効果しか期待できない。
-------------------------------------

 ――やはりあるのか、ポーション……っていうか、ナノマシンって怖っ!

 明らかな超科学っぷりに若干の恐怖を覚えつつ、所詮ゲームだと高を括って瓶の蓋を空け、ごくりと薬剤を飲み下す。瞬間、背面一帯を覆っていた鈍い痛みが消え、背中に刺さっていた代償の破片がぽろりと落ちるのが分かった。出血は止まり、火に炙られて赤く腫れていた皮膚が徐々に生まれ変わっていく。

 ――まさに、ゲームって感じだな。

 ナノマシンによる治療の一部始終を見終えたタクムは改めて商人ローランに礼を言い、足元に転がる男達に視線を向けた。

「で、この連中は? 知り合いですか?」
「いえ、まさか。ただの野盗でしょう。サブマシンガンや自動小銃など装備も充実しておりましたことから、恐らくは傭兵崩れの連中ではないかと」
「そうですか。全員殺してしまいましたが、大丈夫だったでしょうか」
「は?」
 ローランがそう返してきたため、タクムは一瞬だけ焦る。突然、この世界に連れてこられた彼には当然、この世界における常識がなかった。

「すいません、この地方に来たのは初めてでして。野盗連中は生きて捕らえねばならない法律がないかと不安になりまして」
「なるほど。アルファ――というよりも都市国家群では問題ありませんよ。むしろ裁判の手間が省けるので凶悪犯はその場で射殺し、カードだけをギルドに提出することが推奨されているくらいです。タクムさんはどこのご出身で?」

 ――チュートリアルだろ、細かいところは大目に見てよ!


『ローランさん、マスターにはちょっと言いたくない事情があるんだけど、聞かないであげてくれない?』
 ナイスフォロー、と心のうちでタクムはアイに感謝した。

「おっと、これは失礼しました……職業柄つい癖で」
「いえ、お気になさらず」
『マスター、そろそろ戦利品を回収して撤収しない? 血の臭いに誘われて生体兵器クリーチャ共が来るかもしれないし。ローランさんもトレーラの修理とかあるでしょう? 話があるならその後でどうかな』
「そうだな、ローランさんもそれでいいですか?」
「ええ、もちろんです。回収が終わりましたらお声がけ頂いてもよろしいでしょうか。折り入ってお話したいことがありまして……」
 タクムは了解し、ローランを見送った。

「すまん、助かった」
 ローランが離れていった後で、タクムは携帯電話アイに礼を述べた。

『マスターのお役に立てたなら嬉しいよ。それより、カードとか武器とか回収しちゃおう?』
 アイは淡々しているはずの人工音声に巧みな強弱をつけて、嬉しそうに答える。

「ちなみに、カードって何だ? あと武器とか勝手に奪っちゃっていいのか?」
『うん、犯罪者の所有物は、処理した相手のものにしていい法律になっているから。

 カードはね、身分証みたいなものかな。この世界では人やクリーチャは死ぬと、そのものを証明するためのカードを吐き出すんだよ。それには持ち主の名前とか、職業とか、ステータスとか、あとは犯罪歴とか諸々が記載されているんだ。

 複製も出来なければ改竄も出来ない、神より与えられし唯一無二のアイテム。それを人物カードっていうんだよ。ちなみに単にカードって言った場合、この人物カードを差すんだ』

「へえ、便利だな」
『うん。人物カードは生きている間もそれは取り出せて、それを見せることで身分証にしている。相手に見せたいって思った情報だけを見せることが出来るからね。そんなわけでギルドとか、大きな商取引とかでは必ずと言っていいほど使われる』
「なるほどな。社会システムに組み込まれているわけか」
『うん。ちなみにボクはそのカード情報にアクセスして、相手のステータスを覗いたりすることが出来るからどんどん利用してね』
「お前ってばほんと便利な奴な」
『そうだよ、だってボクはマスターのお役に立つためだけに存在しているんだから』

 タクムは、もしもアイが居なかった場合のことを想像し、冷や汗をかいた。もしもこの謎の通話相手がいなければ銃の扱いも分からず、町の位置も分からず、状況すらも分からずに途方に暮れていただろう。

 その後、タクムは死んだ野盗達が発行した<カード>を取り出し、武器と弾薬、防具(なんと連中は防弾チョッキを体に仕込んでいた)、食料や金銭などを回収し、これまた盗賊達から奪った背嚢に詰め込んだ。

 主な戦利品を纏めると、こんな感じである。

オートマグ×2
モーゼルC96×4
ベルグマンMP18短機関銃×2
トンプソンM1短機関銃×3
ブローニングM1918自動小銃×5
マークⅡ手榴弾×3
.44AMP弾×31
7.63mm×25モーゼル弾×51
9mmパラベラム弾×300
.30-06スプリングフィールド弾×1400
サバイバルナイフ×5
防弾チョッキ(F)×7
防弾マント(F)×4
鉄帽(F)×5
回復薬(F)×5
回復薬(E)×2
カード×14
19,814$24¢

 予備マガジンも含めると更に膨大な量となる。結局タクムは2時間もかけて回収してまとめた結果、途方にくれることとなった。
 野盗達が使っていた大きな背嚢を奪い、それに荷物を詰め込んだ。結果、8つの背嚢がパンパンに膨れ上がっている。更に背嚢に入らない小銃類に関しては安全装置を駆けた上で紐で縛りあげ、地べたに転がしている状態だ。

 盗賊14名分の荷物である。当然ながら持ち切れる量ではない。

「少し捨てるか……」
 すでに水や食料については廃棄するつもりだ。<アルファ>の街までは数時間で付くからだ。アイに聞いて状態の悪い銃や市価の安い銃、あとその銃で使用される予備のマガジンと弾丸を諦める。また嵩張る防弾チョッキやケプラー繊維を編みこまれたマントなんかも諦めざるを得ないだろう。

「あ~、何か勿体ねえ」
『なんで? 捨てる必要ないと思うよ?』
「でも、持っていけないんだぞ?」
『別にマスターが手ずから運ぶ必要はないよ、あの人達に任せればいいじゃない』

 アイが言うと、まるで申し合わせたかのように背後で重厚なエンジン音が聞こえた。あの時、横倒しになっていたトレーラが復活したのだろう。

「なるほどな、お前頭いいな」
『えへへ』
 タクムはローランの元へと向かい、町まで乗せて行ってくれないかと交渉を始めた。

「はい、もちろん、大歓迎です。ちょうど私のほうでも、同じことを言おうと思っておりまして。ついでにタクムさんにトレーラのほうを守っていただけないかと……もちろん、相応の報酬は支払わせていただきます。あと、命を助けて頂いたお礼も」
「ついでに路銀も稼げるのか、ありがたいです。それじゃあ、宜しくお願いします」
 タクムが頭を下げると、恐縮したように首を振るローラン。やはりお人好しオーラがプンプンしている。

 タクムは、ローランの指示に従い、トレーラに荷物を放り込むと、梯子を渡り、荷台に登った。曰く、見張りをしてほしいらしい。

 荷台の中央にはちょうど人ひとりがすっぽり入りこめるくらいの窪みがあり、転倒防止用のベルトが付いていた。タクムはそれを腰紐に括りつけ、転倒に備えることにする。

「それにしても、これ、すごい銃だな」
 窪みの前方には銃座があり、全長2メートルに届こうかという、巨大な銃器が据付られていた。

『うん、おっきな機関銃だね。今、スペック、表示するね』
 スマートフォンの画面に、巨大銃の詳細が表示される。

-------------------
名称:ブローニングM2
種別:ヘビーマシンガン
弾薬:12.7mm×99 NATO弾(110/110)
状態:良好
性能
殺傷力:C
貫通:C+
打撃:C
熱量:-
精度:B
連射:800/min
整備:C
射程:1000m
-------------------

「うわぁ……すげえ、何コレ……」
 手持ちのガバメントとは比べるべくもないほどの高スペックにタクムは呻く。

『生体兵器が跳梁跋扈する世界だからね、ちょっとお金のある商人ならこれくらいの武装は当たり前だよ』
「こんなものがあるなら最初から使っていればよかっただろうに」
『使えなかったんでしょ? 横倒しになっていたから。荷台に据付られているみたいだし、本体だけでも40キロ近いから持ち出せなかったんだよ、きっと』
「そんなもんか……」
『そんなものだよ。いくら強い武器を持っていたって、使えなければ意味がない』
 そうこうしている間に車両は動き出す。

 草木のない、岩だらけの荒野をトレーラがひた走る。延々、同じような風景が続く。代わり映えのしない動画のリプレイ。一時間も経つと、タクムは暇を持て余すようになった。

「アイ、聞いてもいいか?」
『もちろん、大歓迎だよ』
 タクムが声を掛けると、アイは人工音声を弾ませて応えた。

「なんで、こんだけ巨大なトレーラが横倒しになっていたんだ?」
『分かんない。対戦車地雷に片輪、吹き飛ばされたんじゃん?』
「はぁ……よく、無事だったな」
『そんなことはなかったんじゃない? 補修リペアキット使ったんだよ』
「車ってそんな簡単に直せるものなのか?」
『なのましーん』
「……もはや、なんでもありか」
 人間の怪我を瞬時に治せるだけの技術があるのなら、機械を直すくらい造作もないことだろう。リペアキットは高価な品で、工場に行って修理をするより割高になるらしいが、緊急事態であるためローランも出し惜しみは避けたというところらしい。

『それよりも、マスター?』
「なんだ?」
『マスターは少し、お人好しすぎるね。この世界ではもうちょっと人を疑ってかかったほうがいいよ』
 アイ曰く、この世界の人間は強かで狡猾な人間が多いらしい。ローランに関しては分からないが、生体兵器が跳梁跋扈する世界である。生存競争は厳しく、人を出し抜かなければマトモな生活は出来ないとのことだ。

『この世界で行きたかったら<力>を付けなくちゃだめだよ。武力、財力、権力。まあ、武力はマスターのチート能力があれば大丈夫だし、財力もボクを使ってくれればすぐに手に入るとは思うけど』
「チート能力?」
『うん、弾道予測線のこと。あれ、他の人には見えないから』
「マジか……」
『そりゃそうだよ、そうじゃなきゃ戦闘素人のマスターが放つへっぽこ弾なんて簡単に避けられたはずさ』
「お前も言うな……」
『まあね、真の忠臣は主に嫌われてもでも苦言を呈するものだからね』
 変なAIである。まあ、こいつが外部から携帯電話を操っているだけの誰かという可能性も捨てきれないのだが。

「はいはい、お前の言うことは多少なら信じられる。俺はせいぜいチート能力の活用方法を考えてみるよ」
 アイの助言は今のところ、実に役に立ってくれているし、裏切るような素振りもみせたことはない。飄々とした態度が気に入らないものの、ある程度、信用してやってもいいだろう。

『マスターがデレた』
「デレてねえ!」
 タクムはスマートフォンをポケットに押し込み、会話を終わらせた。

たくむ は あし を てにいれた
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