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この作品は今までの私が書いてきた作品とは少しばかり雰囲気が違うかもしれません。自分的に対象者は高校生からそれ以上の方だと思います。ですが、作者は同じなので根っこの部分は変わってないと思うので、楽しんでまた共感や考えて貰えたら嬉しいです(^-^)
女の子のミカタ
作:叶愛夢


――俺には、可愛い彼女がいる。名前は浅宮千夏(あさみやちなつ)


付き合い出して3ヶ月になろうする彼女…






街中を手を繋いで歩いたり、キスしたりとめっちゃ仲は良い。



が…一つだけ問題がある。





それは…その…それ以上の事をしていないから…。



つか、させて貰えない?



俺的にそろそろ限界なんだけど…



だから、今日こそは決めて見せる!



「お待たせ致しました。ショコラタルトのケーキセットでお待ちのお客様。」

ウェイトレスが軽く頭を下げ
「失礼致します」
と言いながら千夏の前にケーキと温かそうな紅茶を丁寧に置くと千夏は
「きゃー」
と嬉しそうに笑っていた。






今日はカフェでデート。





雑誌に取り上げられたらしく店内は確かにオシャレだった。店内はシックで西洋風の食器に綺麗なフルーツやチョコのケーキ…眠くなるBGM…


正直、気取った雰囲気がいけ好かない。



それでも、来たのは千夏を喜ばせたいから。



案の定、千夏は無邪気な子供の様に笑っていた。






「…ちな、今日俺ん家来いよ。」



暫く、適当な会話していたがそれが途切れたのを見計らって俺は向かいに座っている千夏にそう告げる。



「…え…」

俺のその言葉にさっきまで笑って話しをしていた千夏の表情が強張る。



今日は土曜日。明日は休み何か時間に追われる事なく過ごせる花の週末…
だから、多少遅くなっても大丈夫なワケで…



その言葉の意味に全てを理解したのか千夏は頬を朱く染め恥ずかしげに俯いた。ごまかす様にミルクティに手を伸ばす。



そして、いつもお決まりの台詞…



「ごめん…今日はちょっと…」



『今日は』じゃなく『今日も』だろうと深い溜め息に託す。





俺の事そんなに嫌なのかな?さすがに不安になる。
千夏にとって俺は単なるオトモダチなのかなって…






「…ちなっていつもそれだよな。」


「え…」

不安そうな表情で俺を見上げる千夏に苛立ちがどんどん募る。

「何だかんだ言って結局ダメって言ってさーホントは俺が嫌なんじゃねぇーの?」



…こんな事言いたくないのに…



…傷付けたくないのに…


出てくる言葉はこんななばっか…





「…そんな…」



大きな瞳を潤ませて俺を見つめる。



「悪い…今日は帰る」

それだけ言って俺は伝票と上着を持ってレジに向かった。






――イライラした……。



こんな事に焦っている自分が虚しくて、情けなくて堪らない。千夏がまだ身体を許してくれないのが不安になる…



俺一人だけがマジになってる様で…



不安で…



不安で…



堪らない…。自分だけの物っていう確かな証拠…自信が欲しい…


でも、それって単なるエゴなのか?


外を出ると空はもう夜の色…
吐く息が白くなり、手がかじかむ。

都会だから星は見えないと諦めていたがキラッと何かが瞬いた。



「…まだ、星見えるんだ…」

そう漏らしながらジャケットを羽織り、足を進める。
時折吹く風に体温を奪われる。



あまりの寒さに耐え切れなくなり、俺は自販機の缶コーヒーを買おうと路地裏に入る。


ポケットに手を入れて小銭を探っているとポロッと壱万円札が落ちて、いたずらな北風に掠われる。



「あぁぁ!」



給料日前のなけなしの金!!絶対に助けに行かなくては!俺は踵を返して足を進めた。なかなか捕まえられない万札を追い掛けていたらあまり通らない道に出てしまった。



街灯も少なくうっすら暗い道…

その一角に小さな社があった。



誰にも気付かれない場所に佇んだ社はどこか神秘的に感じた。



こんな所にこんなのあったんだーと呟きながら通り過ぎようとしたが、そこの前に自分が探していた壱万円札が落ちているのに気付いた。



慌てて駆け寄ったが次の瞬間、俺は自分の目を疑った。

『コーンーバーンーワ』



「……………」


『おや?挨拶は?昨今の若者はいやだねー挨拶もろくに出来ないのかね?』


そいつは俺に構わずベラベラ話しを続ける。


けど…、俺は固まったままそれを眺めていた。



今の状況が理解出来ない。


なぜなら、俺に声を掛けてきた奴は……





キツネだった。





しかも、フツーのキツネなんかじゃない。

石で出来たキツネ。

よく神社なんかに置いてあるあの石像のキツネ…



それが動いてペラペラとお喋りしている。



――俺、頭打った…?



『いやーこーんな若い男から熱い眼差しで見つめられるのは初めてでっせ。』



黙り混んでいる俺をいいことに好き勝手な事を抜かす

『何よりこーんな若いのに世の中の渡り方を熟知していらっしゃる。』


「?」言っている意味が解らなくて眉を潜めてそいつの言葉を待っていると…





「あぁ!」


俺の壱万円をくわえていた。


『最近、祟拝者がめっきり減ってねー。いやー壱万円も頂けるなんてありがたいでっせ。』


「おい!」


『はい?』

「俺は、その金を寄附したつもりはねー!返せ!」小柄なキツネを睨み、俺は手を差し出した。



『おや?何をそんなに目くじら立てておいでなのかな?』



キツネのくせに人生の全てを知り尽くしたような不敵な笑顔を浮かべていた。



「いや、だからその金は――」


『大方、意中の娘と仲たがいでもしたのだろう?例えば、深い仲になりたくて誘ったが見事断られたとか…』


的確に的を射ぬかれなんとも言えない悔しさが腹に残る。


「…な、なぜそれを!」
『クックックッ…』

思わず、出た言葉にそいつはさらに目を細める。


『…まだ青いですねー。ですが、あまりガツガツしていると女子は逃げてしまいますよ?』






「…う、うるせーよ!大体千夏も千夏だ!何だよ!毎回毎回断りやがって!俺がどんな気持ちで居るか分かってねー…ってハッ!」





キツネにこんな事愚痴っても意味がない。何より男としても人間としても情けない。





『なるほどーあなたのは気持ちはよく解りました。ですが女子には女子の気持ちもあるはずでっせ』



「?…」不気味な笑みを零すそいつを見つめながら俺は言葉を探す。





「あんたに関係ない!ともかくその金…」

『宜しい。年若い君に私からのささやかな贈り物をしんぜよう…』



「はぁ?」


そんな物より金返してくんないかな?と考えていた。


『少しは女子の立場になって物事を見つめれば見方が広がりまっせ。』


そいつはそう言って俺の目を見つめた。



――その瞬間…


強い酒を飲んだ時に脳みそがグラつくような感覚が俺を飲み込んだ。



辺りが揺れて…


足が縺れて…



意識が遠退いた…



「っと…!」


「ちょっと!」


――ん…誰かが肩を揺さぶる…



「…ぅ…ん…」


目を空けると一人の男がいた。

茶髪の若い男…年は、自分と近そうだ…



「大丈夫?」

そいつは俺の顔を覗き込んで様子を伺う。



「…あぁ…」
頭を押さえながら辺りを見渡す。
自販機の前で俺は座り込んでいたようだ。



さっきのは夢?


何も思い出せない。



「ねーホントに大丈夫?」

さっきからやたらと声を掛けてくるそいつにウザったさを覚える。



なんで、俺に構うんだよ?こいつホモか?う考え込む俺は次の言葉を聞いて驚愕する。



「君みたいな可愛い子が一人でしかもこんな夜遅くにいるなんてちょっとほって置けないよ」



はあ?????


可愛い子?俺が?ヤバイ…こいつ絶対あっちの世界の人間だ。



「…あー俺なんかほっておいていーよ…」



…ん…?声がいつもより高い?てか、今の俺の声か?


まるで、女みたいだな…



「俺だなんてまるで男の子みたいだなーそんなに可愛いのに。」



「はあ?」


何言ってるんだ…?こいつ…?まるで俺が女みたいな事を抜かす。

一体どうなってんだ?

「けど、こんな所に一人でいるなんて彼氏と喧嘩でもした?」



「…?…」

奇妙に思い、ふらっと腰を上げ、路上駐車してある車のミラーを覗き込む。



すると……





「どーなってんだ…これ…?」


見知らぬ女が一人佇んでいる。


結構…いや、かなり綺麗だ

けど…見覚えのある服装…つか今朝、俺が選んだ服じゃん!



俺は、恐る恐る自分の胸倉を掴みその中を覗き込んだ



「う…嘘だろう…?」



思わず、声が裏返る。

けど、無理もない。



だって、あるはずのない膨らみが二つ自分の胸板に付いていた。


推測だけど、きっと千夏よりある気がする。


「…君、大胆だねー…」

顔赤らめながら視線をそらすそいつ。


「………………」

どうやら…俺は女になったらしい。





………つっても、どーせ夢だ。

こんなの。絶対!



現実であってたまるか!



きっと絶対、朝になったらケータイのアラーム音によって全て消えうせるはず。






どーせ夢なら、暫く女に成り切って遊びまくった方が得だ。



上手い具合にカモもいるし…。


「ねぇ〜」


吐き気がしそうなくらいの声色でカモじゃなく…男に身体をピタっと寄せる。


「ん?」
男は鼻の下を伸ばしながらニヤついている。


「そーなのぉ。今日むしゃくしゃする事があってぇーよかったら話し聞いてくれるぅー?」






「もちろん」






満面の笑みを浮かべるそいつに少し悲しくなった。





男ってこんな馬鹿なんだ…





同じ男として少し情けなくなる。






「とりあえずお酒でも飲みに行こうか?」やたらと優しい声色で俺の肩に手を回す。


「…アハハ…」
作り笑顔を浮かべて気安く触るんじゃーと訴えた。

が…伝わるワケなく俺は見知らぬ男と夜の街へと繰り出した。









「っぷっはー!」

奢りだと聞いて俺はかなり調子に乗り、酒を浴びるように飲みまくった。


空になった生中のジョッキをダン!と置く。



「良い飲みっぷりだねー」

「アハハ〜こんなに飲んだの初めて〜」


いつもいつも財布と相談したり次の日の予定を気に掛けたりして心行くまで飲んだ事はなかった。



まぁーこれは夢なワケだし…気兼ねなく飲んだってバチは当たんねーだろう。いやー良い夢だー。
夢にしちゃ妙にリアルだけど。


つか、さすがに酔ったかも…。

身体がふわふわする…


「少し酔ったんじゃない?」

「だいじょーぶぃ」
笑いながらピースをするが指がもつれてピースにならない。

「よかったら少し休もうか?良い所知っているんだ…」
カモ…じゃなくそいつは、俺の手を握っては真剣な表情を浮かべる。

さっきまでの頼りない雰囲気から一変し、まるで獲物を狙う猛獣みたいだ。



正直、怖い…





「…わ、悪いけど…そのつもりないんで…」

スッと立ち上がって席を立とうするが足を縺れて上手く歩けない。


「っと!危ないな。大丈夫?クスクス…」


そのせいで、そいつに倒れ込んでしまった。

「は、離せよ!!!」抱きしめるように俺の肩に手を回す。


「君から倒れ込んできたのに何言ってるの?それに見知らぬ男について来てその気はないってそれはないんじゃないのー?」


耳元で囁くそいつの声にビクッと身体が強張る。






「…良いじゃん。君も色々遊んでんだろう?俺とも遊ぼうよ。キモチよくさせてあげるから…」



「…な!」





この時、生まれて初めて俺は男が怖いと感じた。








女はこういう時どうしているんだろう…?









「………………」

黙って下を向いている俺に男はフッと笑みを零し少し腕の力を緩めた。


「急に黙っちゃったねー…けど、大丈夫だからっっっ――――!!!」
「キショイんだよ!!バーカ!」

俺は調子こいてる男の顎に渾身の一撃を食らわせた。

バッチリ顎に入ったからかその場に倒れ込んで顎を押さえてのたじりまわる。


「女だからって見くびってんじゃねーよ!!」
最後にそれだけ吐き捨てて俺は店を後にした。









悲しかった…



とてつもなく…。



男ってこんな馬鹿で低俗な生き物なのかって痛感して…



そして…自分もその一種だと思うと…





俺だって千夏にさっきの男と似たような事を強要したワケだ…。



今まで…俺は千夏の気持ちなんか考えてなかった。自分の気持ちばっかで…



けど、女からしたら怖いはずだ…

それなのに…今日ひどい事を言ってしまった…


…傷つけてしまった…。


…泣かせてしまった…


今の俺に、千夏に逢う権利はないだろう…



なのに…





…今、どうしようもないくらい逢いたい…。









俺は足早に階段を駆け降りようとしたがまだ酔いが冷めていないらしく足を捻ってしまった。



「…痛…うわぁぁああぁぁ」痛みに眉を歪ませていたら階段を踏み外し階下まで滑り落ちる。





――オイオイ、夢なのに何でこんなに痛いんだよ…?






夢じゃないから…?


そう地面に横たわり考えながら俺の意識はまたスゥー…と遠退いた。



消えゆく意識の中…うっすらとキツネのような石像のようなシルエットが目に映った…











「っと!」

「ちょっと!」


「…ぅう…ん」…ん…?誰かが肩を揺さぶる…


…誰だよ…?


俺はゆっくりと目を開ける…


ぼんやりとししてよく分からない…



…けれど…






シルエットですぐ解った。


「…ちな…つ?」



流れる栗色の髪、目に優しい白い肌…



逢いたかった女性に逢えた嬉しさで顔が自然と綻ぶ。



「…っふぇ…」


ただ、名前を呼んだだけなのに千夏は泣き出してしまった。「…何で…泣くんだよ?」

俺は千夏の頬を撫でながら問い掛ける。



「…だって…あおちゃん…先帰っちゃうんだもん…それに、ちな…あおちゃんとのエッチずっと断ってたから…いーかげん…愛想ついちゃったのかなって…不安で…恐くて…っひく…」



泣きじゃくる千夏があの言葉を言い出す前に俺は千夏を抱き寄せた。



そして…





「ゴメンな…俺、千夏の気持ち全然考えてなかった…躊躇うの当たり前だよな…女の子からして見れば怖いよな…?ゴメンな…千夏の事考えてやんなくて…」


どうしても先に謝りたくて千夏を腕の中に閉じ込める。





千夏は戸惑いながらも話しを黙って聞いてくれた。






「…俺、待つから。」

「あおちゃん?」


千夏は涙で瞳を潤ませながら不安そうに俺を見つめる。

「もう今日みたいな事は言わないから。絶対に。そんで俺いつまでも待つから。だから、嫌いにならないで下さい。」


千夏も不安そうだったけど俺の方がもっと不安だった。



千夏は何も言わない。沈黙がさらに俺を不安にさせる。



嫌われてたらどうしようって…



すると…突然…



優しい香りと柔らかい温もりが俺を包んだ。



「…き…大好き。ちなは、あおちゃんが一番好き…」

泣きじゃくりながら呟く声が…その言葉が…
俺の胸に浸み込んで心が軽くなり、温かくなる。





ヤバイ…泣きそう…「…ちな、今まで男の人付き合った事なかったから…恐かった。けど、あおちゃんになら……ずっと待たせてゴメンね…。」

そう言って千夏は今まで見せた事のない綺麗な笑みを俺に向ける。





それは、今誓った決意を揺らがせる程本当に綺麗で…



「…ねぇー、それよりあおちゃん何で葉っぱ持ってんの?」

「ん?」
千夏の言葉に俺は自分の手に目を落とす。



すると、そこには形のよい青々とした葉っぱを一枚握っていた。



「………」

自分でも思い出せない。

何で葉っぱなんか持ってんるんだ?俺?そもそも、何で自分は自販機の前で座り込んでいるんだ?


様々な疑問が脳裏を過ぎった。

が…考えるのが面倒になった。



「まぁーいいっか。ちな、駅まで送…」

俺は立ち上がって千夏に言い掛けたが、全て言い終わらないうちに千夏はピタッと身体を寄せてきた。


「…今日は帰りません…あおちゃんと一緒に居たい…」

顔を真っ赤にして恥ずかしげに俯いて…












――俺には大好きな彼女がいる。

付き合って3ヶ月になる彼女。

まだまだ日は浅いけど…、時間を掛けて育てて行きたい。

この想いを…

二人で一緒に…

fine


ここまで読んで下りありがとうございます(^-^)いかがでしたか?私はいっぱいいっぱいでした…。何がって言い回しやテーマなどが(←自分で書いといて)今回の作品は私が仕事に行く時にこの手の内容で喧嘩していたカップルのやりとりが発端です。なかなか家に来ない彼女にかなり焦ってる彼氏。そんな彼氏の気持ちも解らなくないけど、でも『女の子の気持ちは?』男の人よりも女の子は大変なんだよ。もうちょっと女の子の見方になって考えてと思い、このような作品が誕生しました。叶愛夢の二つ目の短編です。皆様に愛読されると嬉しいです。













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