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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第8章 塔で神力の訓練をしよう

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1話 神水

 管理層のくつろぎスペース(居間)に、管理者のメンバーが集まって珍しく(?)真剣な議論がされていた。
 ちなみに、管理者のメンバーとは、正確に言えば、転移門が自由に使える者(管理メニューに登録されている)のことだ。
 現在、塔の管理者として登録されているのは、考助本人、コウヒ、ミツキ、シュレイン、シルヴィア、コレット、ピーチ、ナナ、ワンリの九人(?)に、ワーヒド達六人を加えた計十五名である。
 ワーヒド達は、イスナーニを除いてほとんど管理層に出入りすることは無い。
 イスナーニは最近は、神具開発のためにイグリッド族に会いによく第七十六層に出向いていた。
 コウヒとミツキは、基本的に考助の護衛(?)。その他のメンバーは、頻繁に各人が管理している階層に出入りする生活を送っていた。
 ワーヒド達はそろって管理層に来ることがほとんどないために、フルメンバーがそろうことはまずない。
 だが、ワーヒド達とナナとワンリを除いたメンバーは、食事時には大体そろうことになる。
 食事が終われば、それぞれ散って作業をすることになるのだが。
 考助にとっての管理者のメンバーとは、このいつも食事でそろっているメンバーを指している。
 あえて言うなら、広義の管理者のメンバーが十五名で、狭義の管理者のメンバーがいつもそろって食事をしているメンバー(+ナナとワンリ)と言ったところだろう。

 そんな狭義の管理者のメンバーが、集まって議論しているテーマは、神力についてである。
 始まりは、何気ないコレットの一言からであった。
「それにしても・・・どうして急に、神力が使えるようになったのかな?」
 最近メンバー同士で神力の扱いを習い始めたコレットが、急にこんなことを言いだした。
 だが、その言葉に、他のメンバー(考助、コウヒ、ミツキを除く)もうんうんと頷いた。
「そうだの。吾の場合は、コウスケ殿の血の影響かとも思っておったが、全員が使えるようになったことを考えると別の理由がありそうだの」
「私の場合も、加護のおかげとも言えなくはないですわ。ですが、全員ほぼ同時にとなると・・・」
「明らかに不自然です~」
 口々にそんなことを言いだしたので、考助は不思議そうに首を傾げた。
「そんなに言うほど不自然?」
 考助のその疑問に、コウヒとミツキを除く者達が頷いた。
 それを見て考助は、うーんと首を捻った。
「そうか。不自然なのか・・・と言っても、僕が神力の使い方の基礎(?)を教えたくらいしか、共通点は無いと思うけど・・・」
「それも関係ないとは言わんが、大元の原因ではないの。教わることが出来たということは、使えるようになる下地があったという事だからの」
 シュレインの解説に、ふとピーチが疑問を挟んだ。
「そういえば、クラウンカードってどうなってるの? あれも神力使って表示するのよね?」
「ああ、あれは読み取り場所に指を当てれば、勝手に起動するようになっているから、別に意識して神力を使ってるわけではないよ」
 基本は、魔法の使えない者でも使える魔具と同じだ。
 ちなみに、神能刻印機は当然神力で動いているのだが、バッテリーのような物があってそれを使って動いている。
 バッテリーに神力を貯めるのは、ワーヒド達の役目になっている。
 そうそう消費する物ではないので、頻繁に蓄電(?)する必要はないようになっている。
 神力を使える者がいないと無用の長物になってしまうのだが、そもそもワーヒド達に寿命があるかもよくわかっていないので、今はそのことは考えずに先延ばしにしていた。
 いずれは、バッテリーなしかあるいは別の方法で動くようにしないといけないだろうと、考助は考えている。

 考助の言葉に、再び全員がうーんと首を捻った。
「そのほかの共通点と言えば、ここで生活しているくらいかな?」
 ここで、ピーチがハッとした表情になった。
「あ~。もしかすると、もしかしますが・・・」
 ピーチの何か思いついたような表情に、コレットがなぜか嫌な予感を覚えた。
「・・・何か嫌な予感がするわね」
「・・・同感ですわ」
 シルヴィアも同意するように頷いたが、それにめげずにピーチがその思い付きを口にした。
「ここにいる全員が、コウスケさんのお情けをもらっています~」
 絶世の、と形容してもいい容姿をしているのに、なんてことを言うんだと思い、がっくりとしてしまった考助だった。
 そのピーチの発言に、シュレインはカカカと笑い、シルヴィアは、顔を赤くして俯いていた。
 そして、コレットはというと・・・。
「それは、関係ないわよ!」
 思いっきり突っ込んでいた。
 しかも口だけでなく、手も出している。
「痛いです~。・・・いい思い付きだと思ったんですが」
「あのね。もしそうだとしたら、ナナとワンリはどうなるのよ」
「ああ、そう言えば、そうですね~」
 コレットの言葉に、ピーチは納得したように頷いた。
 しかし考助は、コレットの言葉にふと違和感を覚えた。

(ナナとワンリも、最初は<神力操作>は覚えてなかったよな・・・。何がきっかけで覚えたっけ?)

 記憶を辿って共通している物を思い起こす。
「あ、あれ? もしかして・・・?」
 ふと共通して置いている物を思い出した。
 以前も確認したはずだが、特に生活上では関係がないと思い放置していたのである。
 それを確認すために、念のためもう一度左目の力を使って確認もしてみる。
 それが何かというと、管理層の水道から出てくる水である。
 そこにはきっちりと<神水>と表示されていた。
 その結果を皆に伝える。
 それを聞いた全員が、納得したように頷いた。
「なるほどの。確定ではないとはいえ、納得できる理由ではあるの」
「そうですわね。少なくとも先ほどの、ピーチさんの意見よりは納得できますわ」
「・・・皆さん、ひどいです~」
「なぜ、私に同意を求めるの・・・!?」
 考助の意見に、シュレインとシルヴィアの二人が同意して、ピーチとコレットは相変わらず漫才(?)をしていた。
「この水が全ての原因ではないと思うけど、きっかけの一つではあると思うな。ナナとかワンリとかの例を見ても」
「そうだの。この<神水>だけが原因だとすれば、召喚獣たち全部が<神力操作>を使えないとおかしいからの」
 <神力>はきっかけの一つであるが、それだけが神力を使えるようになった原因であるとは考えにくいというのが、この場の意見としてまとまった。

「ということは、やっぱりコウスケさんのお情けも~・・・」
「しつこいわよ・・・!!」
 懲りずに自説を主張して、コレットに突っ込みを入れられるピーチを見た考助は、この辺はやっぱりサキュバスなんだろうな、と思うのであった。
アスラ涙目。
最近はなかなか活躍の場がない<神の左目>でした。

ここから何話かは神力についてです。

2014/5/11 <神水>についての矛盾点を修正しました。
2014/6/21 誤字修正
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