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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 塔のあれこれ(その21)

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閑話 迷いの森(人為的)

 リクが指名依頼の存在を知ってから三日後。
 『烈火の狼』の面々は、予定通り第七十二層の調査へ向かった。
 本来であれば第七十二層へと転移門で直接飛ぶルートはないのだが、『烈火の狼』はリクという特殊な存在がいるので、そこはごり押しで直接飛んだ。
 意地を張って他の冒険者と同じルートを使うということもできるのだが、そんな無駄なことはしなくてもいいと言うのがメンバー間での統一した意見となっている。
 ちなみに、リクが自由に飛べる転移門は、自分たちが攻略した階層までとなっている。
 さらにいえば、攻略した段階で直接考助に話をしに行かなければならない。
 そのため、現状でリクが自由に使える転移門の範囲は、第一層から第九十二層までとなっていた。
 当然だが、考助の眷属たちがいる階層へは、自由に飛ぶことができない。

 直接第七十二層へと飛んだ『烈火の狼』だが、やみくもに調査を開始したわけではない。
 塔の一階層とはいっても、アマミヤの塔の階層はかなりの広さがある。
 それをしらみつぶしに探って行けば、かなりの時間が掛かることは目に見えている。
 そのため、前もってクラウンで最新の情報を仕入れたり、冒険者同士の噂話でなにか変わったことが起きてないかを聞きまわったりしている。
 その結果集まった情報をもとに、ある程度の範囲を絞って調査を行うのである。
 もちろん、範囲が絞られている場所は何か所かあるので、それらはしらみつぶしに調べて行くことになる。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 リクたちが怪しいと目星をつけた場所は、全部で四か所。
 数は少ないと思うかもしれないが、それぞれの場所はそれなりの広さがあると予想されるので、一か所調べるのに時間がかかる。
 残念ながら一つ目はなにか目立った変化は見つけることができなかった。
 とはいえ、たった一度の調査できちんと原因が調べられるわけではないので、一回りしたときには、もう一度来るつもりでいる。
 一度のフィールド調査で原因が特定できないことなどざらにあるので、冒険者にはある程度の根気も必要になるのだ。

 一か所目を離れて二か所目に向かった『烈火の狼』の面々は、調査を開始して一時間ほどで大きな違和感を覚えるようになっていた。
「これは・・・・・・間違いなく何かあるな」
「ええ。そうね」
 リクの言葉に、カーリが警戒するように周囲を見回した。
 言葉を返してきたのはカーリだけだったが、ほかの面々も辺りを見回している。
 ただし、警戒するといってもモンスターが出てくる気配を感じているというわけではない。
「攪乱系の罠・・・・・・? いや、迷いの森系か? アンヘルどうだ?」
「ちょっと待て。今、調べている・・・・・・ちっ」
 リクの確認に、斥候担当のアンヘルが詳しい調査をしようとしたが、すぐに舌打ちを返してきた。
 そして、さらに集中するように辺りを見回し始めた。

 彼らがこれほどまでに警戒しているのは、明らかに周辺の森の様子がおかしくなったためである。
 具体的には、かなりの距離を歩いているはずなのに、同じところを歩いているような感覚に襲われたのだ。
 こうした攪乱系の罠は、人為的なものから自然発生的なものまでいくつかのパターンがある。
 人為的なものは塔の階層で発生することは少ないが、自然発生的なものは塔全体で見れば、一年に数度の頻度で発生している。
 自然発生的なものは、モンスターが攪乱系の魔法を使っていたりすることもあるのだが、そのほかにも生えている木々や植物で起こることもある。
 そうした場合は、報告だけを行って注意を促して終わることもある。
 それらを見極めることも高位の冒険者には、必要な技能なのである。

 アンヘルが詳しい調査を行っている最中は、他のメンバーは周囲の索敵を行っていた。
 そんな中で、リクは嫌な予感に顔をしかめていた。
 それに気付いたカーリが警戒しながら近寄ってくる。
「そんな顔をしてどうしたのさ?」
「ああ、いや・・・・・・。あの人たちが、単純な依頼を出すはずがないと考えたら嫌な予感がした」
「それは・・・・・・できれば確かに考えたくないわね」
 さんざんシュレインたちから鍛えられているカーリも、リクの言葉に同意したうえで、顔をしかめる。
 リクが周囲を見れば、他の面々も同じような顔になっている。
 だが、残念ながらえてしてそういう悪い予感というのは当たるものなのだ。
 ましてや、複数の人が同じように感じているのであれば、外れるほうがおかしかったりもする。

 彼らの当たってほしくない予感は、次のアンヘルの言葉で裏付けられることになった。
「残念だが、リーダーの予感は、また当たったようだぜ」
「ということは?」
「ここは、自然の攪乱というよりも、人為的な作用が強く起こっているぞ」
 その説明に、一同は盛大にため息をついた。
 なぜシュレインとフローリアが連名で今回のような依頼を出してきたのか、その目的がなんとなくだが理解できたためだ。
「・・・・・・ここを突破しろということか」
「だろうな」
 エディの言葉に、ゲレオンが重々しく頷いた。

 依頼内容は、あくまでも第七十二層の調査となっている。
 いまの調査で『人為的な攪乱要素あり』という結果を出して終わりとすることもできるが、それだけの報告を受け取るだけであれば、わざわざ指名依頼でリクたちを指定するはずもない。
 間違いなく原因調査をして結果を見せろと言っているのは間違いないだろう。
 それくらいのことができなければ、Aランク冒険者を名乗ることなど許さないとさえ言ってきそうだった。
 冒険者パーティには得手不得手があるので、今回のような調査系ができなくても問題はないのだが、それはそれで『烈火の狼』の面々の沽券にかかわる。
 さらにいえば、リクたちができない依頼をシュレインとフローリアが出すとも思えなかった。
 ここまでの要素が揃っていれば、彼らが次に言い出すことは簡単に予想することができる。

「「「「「「やってやろうじゃない(か)」」」」」」

 実際には、まだこの場所の異変がシュレインたちの用意したものとは限らないのだが、彼らは確信した様子で周囲を見回すのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 リクたちが調査を開始してから数時間後には、攪乱系の罠(以下、迷いの森)ができている大体の範囲を絞り込むことができた。
 それと同時に、いまいる森で起こっていることが、人為的なものであることも確定することができた。
 というのは、原因不明の攪乱が起こっている範囲が、自然のものではありえないほどに狭かったのだ。
 モンスターの幻惑系の魔法ということも考えられたが、それにしてはあまりにも効果が強すぎる。
 そんな高位のモンスターが、この周辺で見つかったという噂は事前の話では聞いたことが無かった。
 結果として、先のような結論が導かれたわけだ。

「さて、ここから先をどうするか、だな」
 迷いの森があることはわかったが、その原因を調べるためには、中に入ることが必要になる。
 周辺調査だけでは見つからなかったので、当然の結論なのだが、問題はそれをどうやって行うかということだった。
 わざわざ人為的に攪乱させているのに、素直に中に入らせてもらえるはずがない。
 どうにかしてそれを突破しなければならないのだ。
 今度はその方法を探して、一同は森の中を彷徨うことになるのであった。
迷いの森は、人が入り込んで正確に位置を把握できなくなる森のことを言います。
そのため、それが自然発生的なものであっても、人為的なものであっても、迷いの森と呼ばれるようになります。

というわけで、リクたちが迷いの森を見つけました。
中には何があるんだ~!(棒)
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