挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 塔のあれこれ(その21)

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

953/1270

(1)新たな魔道具?

「よし。家を作ろう」
 何とか神威の問題が落ち着いてきたころ、考助が唐突にそんなことを言った。
 考助の突拍子もない行動になれているフローリアとシルヴィアだが、さすがにこれには顔を見合わせる。
「待て、考助。なぜ、突然そうなった?」
 シルヴィアと顔を見合わせていたフローリアが、こめかみを抑えるようにして問いかけた。
 フローリアの横を見れば、シルヴィアも言葉を発してはいないが、探るような視線を考助に向けている。
 ふたりの視線に若干ひるんだ考助だが、とりあえず言わないと始まらないと考えてきっぱりと答えた。
「それは勿論、思い付き! ・・・・・・は、冗談として」
 シルヴィアとフローリアから白い眼を向けられた考助は、少しだけ慌てて視線をずらしてから続ける。
「神威が安定してきてからわかったんだけれど、なにか大きな物を作ったほうがいいかなって思ってね」
「それは、コウスケさんの体調を整えるためでしょうか?」
 視線が和らいで、まじめな表情になって問いかけて来たシルヴィアに、考助は頷いた。
「まあ、そういうことだね。モノ作りをして体調を整えるってのも変な気がするけれど」
 苦笑気味にそう言った考助に、シルヴィアは首を左右に振った。
「そんなことはありません。そもそもコウスケさんの権能には魔法陣もあるのですからない話ではないと思います。ただ、なぜそれが家づくりに繋がるかはわかりませんが」
 作った魔道具を家の防犯などに活用することはあっても、家そのものを作るなんて話は聞いたことがない。

 そう考えてのシルヴィアの言葉に、考助は首を左右に振った。
「そんなことはないよ。いままでは、素材はともかく、魔力的な関係で一から作るのは無理だったからね。でも、いまの自分だったらそれもクリアできそうだよ」
「なるほど。これまでも自走式馬車くらいの大きさの物は作ってきたが、確かにそれ以上の物はなかったな」
 いままで考助が作ってきた物を思い浮かべながらフローリアが頷く。
 そして、思い出す限りでは、確かに家のような大きな物は作っていなかった。
 勿論、家にもピンからキリまで様々な大きさの物があるのだが。

 納得した表情になっているフローリアだったが、すぐに首を傾げた。
「だが、大きな物を作ることが、なぜ考助の神威の安定に繋がるのだ?」
「うーん。よくわからないけれど、家が大きくて使う力が大きいといっても、細かい制御が必要になるからじゃないかな?」
 大きな力を使いながらも細かい制御ができるようになれば、いま持て余している力も制御できるようになるのではないか、というのが考助の推測だった。
「なるほど。そういうことなら十分にあり得ますね」
「ふむ。強制的に力の制御を行うようにも思えなくはないが、こういう場合は本人の感覚のほうが重要だろうな」
 考助のその推測に、シルヴィアとフローリアも一応の理解を示した。

 考助の突然の思い付きに納得したフローリアだったが、更に別の疑問が湧いてきた。
「コウスケの唐突の思い付きの理由はわかったが、具体的には決めてあるのか?」
 家を建てるとなると、材料の問題もさることながら、場所の問題も含めていろいろな課題が出てくる。
 ただの思い付きで出来るようなことではない。
 そもそも考助は、魔道具の専門家であって建築家ではないのだ。
「それなんだけれどね。なんか、色々な方面から怒られそうだけれど、なんとかなりそうな気がしているんだよね」
 考助が言った通り、専門家からすれば目を剥きそうなセリフだが、そもそも考助は、既存の家づくりとは全く違った方法で作ろうとしている。
 同じ『紙』と分類されるものであっても、羊皮紙と木から作る紙ではまったく違う製法でできているのと同じことだ。

 斜め上の発言をした考助に、フローリアはなんともいえないため息をついたが、それを言葉に出して突っ込むようなことはしなかった。
 それよりも先に聞くべきことはある。
「そうか。それでは、あとはどこに建てるか決めるくらいか? 材料の目途は立っているのだろう?」
 今すぐにすべての材料が揃っているとはフローリアも考えていないが、家を建てている最中にコウヒやミツキに集めさせてもいい。
 技術の問題もクリアして、材料も大丈夫となれば、あとはどこに建てるかということが重要になる。
「そうなんだよね。どこが良いと思う?」
 材料のことは飛ばして、考助がいきなり場所について聞いてきたのは、ある程度材料の目途が立っているからに他ならない。

 そのことを察したシルヴィアとフローリアが同時に考え込むような表情になった。
 場所を選べば考助がすぐにその場に突撃しそうなのが目に見えているので、慎重に考えることにしたのだ。
「ひとつだけ注文を付けるとすれば、そこそこひとが来る場所にしてほしいかな」
「それはなぜでしょう?」
 考助が作る家に人の目が付けば、騒ぎになるのが目に見えているので、てっきり人目の着かないところに建てると思っていたシルヴィアが、首を傾げながら聞いた。
 それに対する考助の回答は、非常に簡単なものだった。
「いやだって、家って人が住むところなのに、まったく人目がないのも寂しいよね?」
 いままでさんざん塔の階層に拠点用の建物を建てているのにそんなことを言ってきた考助に、フローリアは白い眼を向けた。
「今更何を言っているんだ。まあ、どうせコウスケのことだから、他にも理由はあるのだろう?」
「人目に付く場所・・・・・・ひょっとして、それも神威に関係していますか?」
 まったくのノーヒントだったのに、しっかりと答えにたどり着いたシルヴィアに、考助はため息をついた。
「最近のシルヴィアの鋭さは、ピーチの勘に匹敵するんじゃないか?」
「もしそうだとすれば、誰かのお陰でしょう」
 澄ましてそう言ってきたシルヴィアに、考助はそっぽを向いた。

 考助とシルヴィアの会話を聞いて鼻の頭を掻く仕草をしたフローリアが一言、
「のろけはふたりきりのときにやってほしいのだが・・・・・・。まあ、それはともかく、どこに建てるか決めてしまうのだろう?」
 話の本筋から離れて明後日の方向に進んでしまうのは、考助たちらしいといえるのだろう。
「それもそうなんだけれど、勢いで決めてしまうのはどうかと思って、決めてなかったんだよね」
「それを評価していいのかどうか、微妙なところだな」
 家を建てること自体は既に決めてしまっていたので、シルヴィアとフローリアには止めることができない。
 それならば、あまり被害(?)が出ないように建てる場所くらいは決められるのは、いいことなのだろう。恐らく。

 とはいえ、シルヴィアとフローリアが考助の家の建築に消極的なのは、間違いなく出来上がった家が注目を浴びるためだ。
「人が来る場所に建てるとなると、かなり注目を浴びると思いますが、よろしいのですか?」
「よろしくないんだけれど、今回の場合は、ただ人の寄り付かない塔の階層に作っても意味がないんだよね」
「というと?」
「思いついたのが、人を選別することができる結界を含んだ家だからね」
 その考助の答えを聞いて、シルヴィアとフローリアは納得顔になった。
 確かにそれでは、人の来ないところに建てても意味がない。
 端的にいえば、折角作った機能を確認する術がないためだ。
 だとすれば、ある程度人が来て、それでも目立たないような場所に建てなくてはならない。

 さてどうするかと頭を悩ます三人は、しばらくの間考えていたがいい案が思いつかずに、他のメンバーの意見を聞くことにするのであった。
はい。家を作ることになりました。
場所はまた次回。といっても今話のように会話を続けるのではなく、すぐに発表しますw
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ