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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 西~北方面

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(7)神域?

 精霊がおかしな反応を見せているところには、セシルとアリサ、リクのパーティ組、そしてコレットとコウヒが残ることになった。
 コウヒが残るのであれば、正直なところ他の面々は呼ばずコレットだけでも良かった気もするが、話の流れで残ったほうがいいということになったのと、人数が必要になることもあるだろうということでとりあえずは全員残って一泊することになったのである。
 いきなり連れてこられた組は、野営の準備などしていなかったのだが、考助たちがしっかりと大人数でも外に泊まれるようにしてあったので、問題ない。
 野営に必要なものをしっかりと渡してから、考助たちはその場を任せて自走式馬車で出発していった。
 考助たちの出発を見送ったリクが、早速とばかりにコレットへと話しかけた。
「それで? このあとの予定は?」
「そうねえ。とりあえず、もう一回様子を見に行くから、パーティからひとりだけ出してくれない?」
 コレットの申し出に、リクが首を傾げた。
「ひとりでいいのか?」
「うん。ここを見張るメンバーも必要だろうしね。取り合えず、いまは場所がわかっていればいいでしょう?」
 そんなにすぐに変化するとは思えないし、と続けたコレットに、リクは納得の表情で頷いた。

 
 野営地を離れて問題の場所へと移動したコレットは、呆然とした表情になっていた。
「・・・・・・様子見、だけのつもりだったんだけれどね」
「ずいぶんと精霊たちが元気に動き回っていますね」
「私たちが感じ取れるくらいですから、かなりの物ですよね?」
 相変わらず呆然としたままのコレットに、セシルとアリサが追い打ちをかけて来た。
 ふたりは、昨日の警戒色を発していたところを直に感じていたわけではないので、コレットほどには衝撃を受けていないのである。
 さらに、精霊には精通していないカーリとなれば、逆になぜコレットがここまで驚いているのかわからずに首を傾げている。
「特になにか変わったことが起こっているようには見えませんが?」
 三者三様の様子に、コレットが混乱する頭を振ってからなんとか返事をした。
「・・・・・・ちょっと待ってね。いま、頭を整理するから」
 三人は、考助たちからこの辺りの状況の変化についてきちんと説明を受けている。
 ただ、あくまでも口での説明なので、いまいち実感が伴っていないのだ。
 それに比べて、コレットは精霊に関しての知識も豊富で、なによりもしっかりとその目で変化を見てきている。
 両者の間に差が出るのは、仕方のない面もあるのだ。

 落ち着きを取り戻したコレットは、視線をコウヒへと向けた。
「きちんと精霊を感じ取れる?」
「ええ。勿論です。これはちょっと極端ですね」
「やっぱり、貴方もそう思う?」
 ふたりでわかり合っているコレットとコウヒに、他の三人は相変わらず不思議そうな顔になっている。
 特に精霊を感じ取れるセシルとアリサにとっては、これだけ元気に精霊が動き回っていれば、問題がないどころか森にとっては良いようにしか見えない。

 そんなふたりの様子を見て、コレットは首を左右に振った。
「セシル、アリサ。ここは神域でもなければ、精霊たちが好むようなものがある場所でもないのよ? ごくごく普通に存在している森なの」
 その言葉に、ふたりはハッとした表情になってから辺りを見回した。
「・・・・・・精霊が多すぎる?」
 先ほどコウヒが言ったように、いまこの辺りにいる精霊は、ごく普通の森にしては多くいすぎるのである。
 セシルの言葉に、コレットは頷いてから続けた。
「そうね。もっと言うと、私がほんの数時間前に確認したときは、不自然なほど精霊がいなかったわ。・・・・・・いったい、なにが起こればこんなことになるのかしらね?」
 コレットの言葉に、他の面々が押し黙った。

 精霊については、どう考えてもコレットが一番詳しい。
 そのコレットが意味不明だと言っていることを、他の者が説明できるはずもなかった。
 勿論、コレットひとりで全てのことを知るには限界がある。
 なにかしら知っていることはないかと期待しての言葉だったが、残念ながら答えはなかった。
 コレットとしても答えが返ってくると期待して問いかけたわけではない。
 半分以上は、自問自答してなにか忘れていることはないかと考えての問いかけだった。
 だが、残念ながらコレットにも思い当たることはなかった。
 仕方ないとばかりにため息をついたコレットは、辺りを見回して周囲の調査をするように提案するのであった。

 二手に分かれて調査してわかったことは、精霊たちが多すぎるという変化を起こしているのが、かなり広範囲に広がっているということだった。
 軽く調査するつもりだったコレットもこれにはため息をつくしかなかった。
 明らかに子供たちが見つけた警戒色を出していたときよりも、範囲が広がっている。
「どうしますか?」
 首を傾げながら聞いてきたカーリに、コレットは首を左右に振った。
「駄目ね。色々分からないことが多すぎよ。・・・・・・いったん拠点に戻りましょう」
 コレットにとっても聞いたことのないような変化がこの森で起こっている。
 今の状態で調査だけを続けても、なにかを見つけるとは思えなかった。
 なによりも、夕食の時間が迫っている。
 いったん戻るべきだと提案したコレットに、他の面々は同意するのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 野営地に戻って夕食を終えたコレットは、早速神力念話を使って考助に連絡を取った。
『うーん。本当によくわからないね、それ』
『そうなのよ。一日前はあれだけ騒いでいて、半日経ったら全くいなくなって、さらに時間が経ったら神域並みに増えっているって、どういうことよ』
 半分投げやりにそう言ったコレットだったが、ふと思い当たることが出てハッとした顔になった。
『・・・・・・神域並みっていうところに思い当たりがあるんだけれど?』
 コレットがそう言うと、考助は少し間を開けてから答えて来た。
『・・・・・・奇遇だね。僕もだよ』
『ひょっとして、ひょっとする?』
『いや、ちょっと待ってよ。そんな変化が起こるなんて想像もしていなかったんだけれど?』
 もしなにかが起こるとすれば、自分が儀式をきちんと終えてからと考えていた考助は、いま起こっている精霊の変化に儀式が関わっているという推測に若干懐疑的だ。

 儀式に関しては、コレットも詳しくわかっているわけではない。
 本当に儀式のせいで精霊たちがおかしな挙動を見せているのかは、コレットにも断言できないのだ。
『今日は町に泊まっているんだっけ?』
『そうだね』
『・・・・・・できれば、子供たちに近くの森に行ってもらって、なにか起こっていないか調べてほしかったけれど・・・・・・』
 そもそも今回の件に気付いたのは、子供たちが薪を拾っているときに気付いたのだ。
 それであれば、同じように子供たちが気付くかもしれない。
 そう期待してのコレットの言葉に、考助は少しだけ考えてから答えた。
『明日、移動の最中に森も通るから、そのときに確認してもらうよ』
『そうね。私はもう二、三日、変化が起きないか、様子を見ておくわ』
『わかったよ。とりあえず、なにか起こっていたら教えてね』
『ええ。もちろん』
 姿が見えていないとわかっていて頷きながら返事をしたコレットは、考助の癖が移ったかと考えて苦笑した。
 勿論、その表情は考助には見えていないので、なにもなかったふりをして続けた。
『子供たちがなにか見つけたら教えてね』
『それは勿論だよ』
 自分と同じように頷く考助の姿が容易に想像できたコレットは、小さく笑いながら神力念話を終わらせるのであった。
やっぱり考助のせい?

・・・・・・いやいや、まだ結論は出ていませんからね。
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