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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2章 東~南方面

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(4)原因と遭遇

 チリーンチリーンという音を響かせながら自走式馬車が進む。
 東の街を出てからすでに村を三つ超えているが、未だにモンスターとの遭遇はない。
 ここまでくると、ただの偶然という言葉で済ますにはあり得ないほどの事態になっている。
 とはいえ、何が原因かはわかるはずもなく、考助たちは先に向けて街道を進んでいた。
「・・・・・・まさか、風鈴の影響ってことはない、よね?」
「さすがにそれはないじゃろ。そんなに強い効果があるなら、他に誰かが気付いて使っておるはずじゃ」
「だよねえ」
 自分で言いながらそれはないと考えていた考助は、シュレインの言葉に同調して頷いた。
 周囲を見ると、他のメンバーも同じような感じで頷いていた。
 そして、シュレインの説明の補足するように、シルヴィアが考え込むような顔で言った。
「魔除けの効果が、コウスケさんの影響で強くなっている可能性もないわけではないでしょうが、そのような力は感じません」
「そうじゃの。吾も同じじゃ」
 魔除け、ということに関しては詳しいふたりの意見が一致したことで、風鈴のお陰でモンスターが出てこないという線は消えた。

 風鈴以外には特に目立った変更は起こっていない。
 そのため、なぜここまでモンスターと遭遇しないのかと首をひねる考助を見ながら、フローリアは別の意味で気になることがあった。
「なぜ、そこまで気にするのだ? 二、三日遭遇しないことなど、まったくないわけではないだろう?」
「いや、確かにそうなんだけれどね」
 大陸中を動き回っている行商などは、年に一、二度は起こる幸運なのだ。
 フローリアには、ここまでそのことを気にしている考助が不思議だとも見える。
「むしろ、モンスターと会わないことに、コウスケが気にしている、ということを気に掛けるべきということか?」
 回りくどいフローリアの言葉だったが、シルヴィアにはすぐに彼女がなにを言いたいのか理解した。
「氾濫、ですか?」
 フローリアが心配しているのは、考助が氾濫の気配を感じ取っているのではないか、ということだ。
 考助の現人神としての力が、周囲の異変を感じ取っているからこそ、ここまで過剰に(?)反応しているわけである。

 自分に皆の視線が集まったことを自覚しながら、考助は少しだけ考え込む顔になり、すぐに首を左右に振った。
「いや、さすがにそれはないよ。・・・・・・ない、よね?」
 断言できずに首を傾げる考助に、フローリアが盛大にため息をついた。
「確認したほうがいいのではないか?」
「そうじゃの。とはいっても、どこまで調べるかが問題じゃぞ?」
 セントラル大陸の街道は、海沿いにあるため道の両側を調べなくていいのは楽だが、それでもすべてを調べるとなると、広大な範囲になる。
 それに、内陸側を調べるにしても、どのあたりまで調べるのかで、かかる時間も違ってくるのだ。
 なにより、いまの考助たちには、気楽に探索できない理由が存在していた。

 その理由である子供たちに一同の視線が集まり、大人たちが難しい顔になった。
 旅にならしている状態の子供たちに、唐突に変則的な行動をさせるのは、できれば控えたい。
 探索自体には直接子供たちが関わらないにしても、一か所にとどまったままでいることがいいことなのかがわからない。
 さらに付け加えれば、探索に時間をかければ、それだけ旅の行程が遅れることになる。

 難しい顔をして首をひねる一同に、予想外のところから声が上がった。
「私が確認して参りましょうか?」
 常日頃から考助の傍を離れようとしないコウヒの言葉に、考助を除いた一同が驚きを示した。
 だが、考助にとっては驚きでもなんでもない。
 トワたちのときのことを考えても分かる通り、コウヒは考助の子供たちにも注意を向けていたりする。
 ある程度成長してしまったあとはそうではないのだが、少なくとも乳幼児のときにはその傾向が強い。
 そう考えれば、一緒に旅をしているミクたちのことを考えて、コウヒがこう申し出ることは、不思議ではない。
 そして、少しばかり申し訳なさそうにしているコウヒを見ならが、考助はすぐに頷いた。
「そうだね。それが一番確実か。お願いしていい?」
「はい。お任せください」
 考助の許可がとれたことで、コウヒはニコリと笑ったあとに、力強く頷くのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 コウヒが探索に出てから一時間ほどすると、神力念話で考助に連絡があった。
『主様、よろしいですか?』
『うん。大丈夫だけれど、もうわかったの? 早いね』
 まさかここまで早く連絡を取って来るとは考えていなかった考助は、本気で驚いている。
『いえ、申し訳ございません。氾濫に関してわかったのではなく、別のことでご連絡いたしました』
『別のこと?』
『はい。実は・・・・・・』
 そう前置きしてから語られた内容に、考助は納得の顔になった。
『ああ~。そういうことか。それなら戻ってもいいと思うけれど・・・・・・一応、探索はある程度続けてもらってもいいかな?』
『畏まりました』
 モンスターと出会わなかった原因は分かったのだが、せっかくコウヒに出てもらったので、念のため探索は続けてもらうことにして念話を終えた。

 神力念話を行っていたことに気付いていたのか、考助が念話を打ち切ると、シルヴィアが不安そうな眼差しで見て来て来た。
「なにかわかったのですか?」
「うん、まあね。わかってみれば答えは簡単というか、なんというか・・・・・・とにかく、もう少し進めば分かると思うよ」
 わざと答えを曖昧にした考助は、あとは自分たちで考えてみるといい、とだけ続けて直接答えを教えるのは控えた。
 口にしたとおり、この先に進めば答えが待っているのはわかっているのだ。
 であれば、暇つぶしに丁度いいのではないかと考えたのだ。
 その考助の考えに気付いた女性陣は、各々でなにが原因かを考え始めた。

 
 最初に答えに気付いたのはフローリアで、そのあとにシルヴィア、ピーチ、シュレイン、コレットと続いた。
 結局、モンスターに会わなかった原因と遭遇するまでに、全員が答えを当ててしまったので、そのときには驚きはなかった。
 ただし、相手側はそうではなかったようで、自走式馬車が近付くなり警戒をあらわにして声をかけられた。
「おいっ! そこの・・・・・・馬車!? とまれ!!」
 馬に乗りながらそう声を張り上げてきたのは、ラゼクアマミヤの討伐軍の隊員だった。
 もちろん、その場にいるのは、声をかけて来たひとりだけではない。
 野営地として適した空間になっている場所には、ちょうど一個小隊の隊員がいて、馬車を窺うようにしている。
 馬もなしに動く馬車を不気味なものをを見るように、それでも討伐軍の隊員として必要なことだと奮い立たせるような視線が考助たちの乗る馬車に集まっていた。

 それらの視線に気付いた考助は「失敗した」という呟いてから、馬車の荷物置き場をごそごそと探し出して一枚の布を取り出した。
「おい! なにをやっている!?」
 一度顔を見せた考助が、馬車の中に引っ込んで何かを探す様子を見せれば、普通は怪しく見えるだろう。
 討伐軍としては正しい反応をみせた隊員だったが、その後の考助の行動は、隊員たちにしてみれば不可解かつ驚きのものだった。
 なにしろ軍の隊員に囲まれている中で、特に慌てる様子もなく、一枚の布を取り出したのだ。
 なかには、意味が分からずに首を傾げる者もいた。
 周囲のその反応を見て、さらに問い詰めようとした隊員だったが、別の隊員の声で行動を止めさせられた。
「おい、待て!」
「っ!? た、隊長?」
 今いる隊を率いる隊長の声に、その隊員は驚いてそちらの方を振り返った。
 そして、隊員たちの注目を集める中、隊長と呼ばれた男は、ゆっくりと考助たちの乗る馬車へと近付いてくるのであった。
モンスターが出てこなかった原因は、討伐軍のお陰でした。
その辺の詳しい話は、次話します。(何となく理由は察せられるでしょうがw)
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