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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第8部 序章 旅の準備

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(2)事前調整

 トワとミアにとある計画について話をした考助は、そのあとすぐに他のメンバーにも同じことを話した。
 それを聞いたシルヴィアたちは、半分呆れもう半分は諦めといった表情で話を聞いていた。
 考助が話を終えたあと、シルヴィアが確認するような視線を向けた。
「そのことは、神々には・・・・・・?」
「勿論、話すよ。でも交神で話すようなことでもないからね。直接話してくるつもり」
「そうですね。そのほうがよろしいかと思います」
 考助がそう答えると、シルヴィアは安堵のため息をついてから頷いた。

 そのシルヴィアを横目で見たあとに、シュレインが確認するような視線を考助に向けた。
「それは重要じゃが、そもそもどれくらいの確率で成功すると考えておるのじゃ?」
「・・・・・・うーん。微妙なところだよね。正直なところ、やってみないとわからない、かな?」
 謙遜でもなく、いつものように控えめでもなく、本気で言っている考助の顔を見て、シュレインは納得したような顔になった。
「簡単に試すわけにもいかないのじゃから、仕方ないかの」
「そういうことだね」
 シュレインの言葉に一度頷いた考助は、すぐに笑顔になった。
「それに、今回はあくまでも旅のついでだからね。成功しても失敗しても別に構わないよ」
「今回は、か?」
 考助の言葉から微妙なニュアンスを感じ取ったフローリアが、意味ありげな視線を向けた。
 それを受けて考助もニヤリと笑う。
「そうだね。今回は、だよ」
「なるほどな」
 考助の答えを聞いたフローリアは、わざとらしくまじめくさった顔で頷くのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 管理層での話し合いを終えた考助は、そのまますぐにアスラの神域へと向かった。
 アスラが考助の動きを逐次把握していることは、よくわかっている。
 それならば、変に時間を空けてから話をしに行くよりも、さっさと報告したほうがいいと考えたためだ。
 そして、その考助の予想は外れておらず、突然神域を訪ねてきた考助をアスラは笑顔で出迎えた。
「よく来たわね」
「まあ、変にもったいぶるよりも、すぐに来た方がいいと思ったからね」
 肩をすくめながらそう言った考助に、アスラはニコリと笑った。
「そう? 別にそこまで気にすることはないのだけれどね」
 あっさりとしたそのアスラの返答に、考助は目を丸くした。
「え? そうなの? だって、もし今回のことが成功したら、セントラル大陸が僕の神域になるんだけれど?」
 今回考助が旅のついでに計画していることは、セントラル大陸を回って儀式を行い、大陸そのものを考助の神域とすることだ。
 大陸全体を神域化したからといって、女神たちの世界の運営に大きな影響を与えるわけではないが、場合によってはアスラの影響力をそぐような行為だと思われても仕方がない。
 だからこそ考助は、こうして直接アスラに話をしに来たのだ。

 場合によっては反対されても仕方ないと考えていた考助は、あっさりとしたアスラの態度に驚いていた。
 そんな考助を見て、アスラが苦笑を返した。
「あのね、考助。考助が、アースガルドから完全にセントラル大陸を切り離すことを考えているのであれば、私も反対したかもしれないわ。でも、そうではないのよね?」
 そう言いながら確認するような視線を向けて来たアスラに、考助はコクリと頷いた。
 今回考えているセントラル大陸の神域化は、あくまでもアースガルドの世界の法則に沿って、考助の現人神としての権能を使うことだ。
 クロが住んでいる神域とは違って、完全に別世界として独立させるようなつもりはない。
 どちらかといえば、百合之神宮のように考助の影響力を広げるような感じである。
 勿論、セントラル大陸全体に及ぶことになるので、規模も力も段違いになるのだが。
「まあ、そうなんだけれど・・・・・・少しは苦言とか、そういったものを言ってくるかと思った」
「あら。考助が望むなら別に言ってもいいわよ?」
 いたずらっぽく笑顔を浮かべたアスラに、考助は勢いよく首を左右に振った。

 首振り人形と化した考助を面白そうに見ていたアスラは、さらに続けた。
「まあ、冗談はともかくとして、今回考助がやろうとしているのは、神としての力をつけることにもつながるもの。後押しはしても反対はしないわよ」
 世界を大きく壊すほどの改変をするのであれば、さすがにアスラも黙ってはいなかっただろうが、そんなことをするつもりは考助にはない。
 それはわかっているので、止めるつもりはないのだ。
 そもそも、アスラが反対するつもりならば、考助がトワたちに話をした時点で神託なりを使って止めていただろう。
「あ~・・・・・・そういえば、そうだよね」
 すっかり神託という緊急連絡手段があることを忘れていた考助は、小さくため息をついた。
 勿論、神託はただの連絡手段なので、重要な場合はこうして直接顔を合わせた方がいいことはよくわかっている。
「それに、考助はきちんと筋も通しているからね」
 交神や神託といった手段を取らずに、きちんと直接話をしにきたことは、評価の一部にもなっている。
 アスラはもちろんそうだが、女神たちは気軽にアースガルドへ姿を見せることができない。
 だからこそ、直接顔を合わせて話をすることにこだわる。
 考助もそのことがわかっているので、直接来ることにしたのだ。

 自分の言葉に安堵の表情を浮かべる考助に、アスラはさらに続ける。
「ああ、そうそう。今回のことに関しては、私だけじゃなくて、ほかの子たちにもきちんと話を通してね?」
「あ、やっぱり?」
「それはそうよ。直接的に受ける影響は、私よりも彼女たちの方が大きいんだから」
 いまのアスラのアースガルドへの関わりかたは、あくまでも間接的なものだ。
 神として直接的に関与をしているのは、エリス以下の女神たちになる。
 そのため、今回の件で影響を受けるのは、アスラ以外の女神たちになるのだ。
「うん。それはそうだよね。・・・・・・エリスたちに手伝ってもらえるかな?」
 自分から女神たちに話すのはいいとして、考助には神域にいる女神たちに話を伝える術がない。
 エリスたちに頼んで集めてもらうくらいしか方法がないのである。
「大丈夫よ。むしろ、エリスからお願いしたいくらいじゃないかしら」
 エリスたちの役目は、世界を管理することだ。
 それを考えれば、考助がこれからやろうとしていることを女神たちの間で調整することも仕事のひとつといえる。

 机の上にあるベルに手を伸ばしたアスラは、それを鳴らしてエリスを呼んだ。
 それに応えるように、エリスがすぐにアスラの執務室へとやってくる。
 まるで待ち構えていたような早さだった。
「お呼びでしょうか?」
「ええ。さっきも話した通りになったから、お願い」
 まるで、ではなく、アスラとエリスはきちんと事前に話をしていたのだと、ふたりの会話を聞いた考助は心の中でで納得していた。
 その考助に視線を向けて、エリスが問いかけて来た。
「考助様はなにか要望がありますか?」
「いや、今回は僕が勝手に思いついてやることだからね。全部任せるよ。・・・・・・あ、一応なにをやる必要があるのかは、事前に教えてほしいかな?」
 エリスのことは信用しているが、無茶なことを言われた場合は事前に心づもりぐらいはしておきたい。
 そう考えて言った考助の言葉に、エリスは小さく頷いた。
「それは当然です」
 そう返事を返してきたエリスに、考助は「それなら問題ない」と答えるのであった。
ちゃんと必要なところとは事前に通達しておいた考助でした。
このあとは、エリスの指示に従って、他の女神たちにも話をしています。

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