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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(19) 百合之神社と月の祭壇

 ユリが神社の精霊として宿ったことで、当初の目論見どおり精霊たちが集まってきた。
 まあ今回に関しては、アスラという予想外の手助けもあったおかげで目的が達成できたともいえるが、結果オーライと思うことにした考助である。
 さらに、精霊を集めるという目的以外にも、ユリという妖精を得ることが出来たのは予想外のいい結果になった。
 ついでに思ってもみなかった変化が起こっていた。
 それは、管理層に戻って第八層のチェックをしていた時に気付いた。
 設置していた時は、ただの<神社(大)>だったのが、別の名前に変化していたのだ。

 名称:百合之神社(大)
 設置コスト:なし(<神社(大)>から変化)
 説明:<神社(大)>に<ユリ>という名の妖精が宿ることで出来た神社。
    地脈から力を得ることが出来る。またその際に神力を発生する。

 ユリという名前を付けたことで、ユリという妖精が宿っている神社にも変化が起こったようである。
 同じように神社を設置して、妖精が宿るまで待ったうえで名前を付けたら同じようになるのか試してみたい気もするが、そう上手くはいかないだろう。
 何しろ今回は、アスラの手助け(お土産)ということがあったからユリという存在が生まれたのだ。
 話を聞く限りでは、そもそも建築物に妖精が宿るようになるまでに、かなりの月日がかかるそうなので、簡単に調べるというわけにもいかない。
 とは言え、今回の件でやってみたいことが出来た。
 今回の神社の様に、妖精が宿る物を作るのには、相当な年月がかかるということなのだが、妖精が宿らない物だとどうなるのだろうか、ということである。
 ヴァミリニア宝玉は、それに近い物なのではないかと思ったのだ。
 あの宝玉自体は、特に地脈が関係しているとは聞いていないが、神力を発生しているのは確かである。
 ヴァミリニア宝玉そのものを作ることは到底できないが、地脈の力を使えばそれに近いものが出来ないかと考えたのだ。

 というわけで、何かいい物がないかと思って探していたのだが、すぐにいい物を見つけることができた。
 ナナのいる層に設置している<月の宝石>である。
 <月の宝石>自体はそれだけで、月の力を放出する物であるのだが、それに地脈の力を合わせたらどうなるのかと考えたのだ。
 幸いユリの固定を行った時に、神力を使って地脈の力を引き出す方法は何となくわかっている。
 あの時は、ユリが強引に考助の神力を使って地脈の力を引き出したのだが、それと同じことをすればいい。
 とはいえ、流石に一発で思い通りに出来るとは考助も思ってはいない。
 何度も試すつもりで、とりあえず環境を整えることにした。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 まずはコレット&エセナを連れて行き、第四十七層の地脈の交点を特定した。
 そこから管理層へ戻って<月の宝石>を設置できる施設を建てた。
 今回は、実験の意味を含めて小さな建物にしてある。
 簡単な造りで、ドアが一つに小さな部屋が一つとそれに屋根がついている建物だ。
 部屋の中央には、<月の宝石>を置くための場所を用意してある。
 要は<月の宝石>が、野ざらしにならなければいいのである。
 それだけを用意して、もう一度第四十七層へと戻る。
 今度は、先ほど設置した建物へと<月の宝石>を持って行った。
 <月の宝石>は、考助自身の手の中に持っている。
 神具を作った時やユリの時と同じように、考助自身が触れていた方が作業がやりやすいからである。
 建物の中央に座り込んで、両手で<月の宝石>を抱え込んだ考助は、作業を開始した。
 ユリの時の感覚を思い出すために、目を閉じる。
 あの時は、考助の持っている神力をユリが思いっきり吸い出したという感じだった。
 ただ、よくよく思い出してみれば、ユリ自身は地面(おそらく地脈)からも力を得ていた。
 というよりも、ユリは元々地脈から力を得ていたが、同時にその力を発散していた。
 それを考助の力を使って地脈の力を、自分の身体に留まるように操作していたように感じた。
 その結果、ユリという存在がこの世界へと固定された。
 今回の場合は、既に<月の宝石>という物は、この世に存在している。
 そのため考助が実行しようとしているのは、神力を使って地脈の力をこの<月の宝石>に結び付けるということである。

 自身の体に宿っている神力を使って、地脈の力を探ってみる。
 やり方は、ある意味で[常春の庭]と接続する方法と似ているかもしれない。
 今いる建物は地脈の交点の上にあることは、コレット&エセナに確認してもらっているので大丈夫だろう。
 一度ユリを通して地脈の力に触れたせいか、すぐに地脈の力は見つけることが出来た。
 あとは自分の体を通して、手の平から<月の宝石>へと力を流し込むだけである。
 慎重に神力を使って地脈の力を引っ張り込む。
 とは言え、まずこの段階で上手くいかなかった。
 地脈の力を使うのが、これが初めてなのだから当たり前だろう。
 結局この日は、一緒に付いてきていたコウヒに止められるまで、地脈の力の制御に時間を取られることになった。

 翌日何とか地脈の力の制御が上手くできるようにと思っていたが、何故かあっさりと上手くいってしまった。
 昨日の苦労は何だったんだと落ち込みそうになったが、せっかく上手くいったので、そのまま<月の宝石>へと力を流し込んでみた。
 ところが、これも上手くいかなかった。
 力を流し込んだところで、<月の宝石>へと力が留まることなくすぐに四散してしまう。
 どうすれば上手く力が留まるのか試行錯誤しているうちに、地脈の力の制御に失敗することは無くなった。
 ある意味で、怪我の功名といえるかもしれない。
 とは言え、本命の作業が上手くいかずに行き詰った考助は、建物の中で寝転がっていた。
 すると、ずっと傍で作業を見ていたナナが、近寄ってきて考助の頬をぺろぺろと舐め始めた。
 そんなことをされると張りつめていた気分が、落ち着いて来た。
「こら、ナナ。くすぐったいって」
 ずっと舐められていると流石にくすぐったくなってきて、笑いながら止めるように言った。
 するとナナも大人しく舐めるのを止めた。
 その時には既に、落ち込んできた気分も元に戻っている。
 それを見ていたコウヒが、考助に向かって言った。
「そろそろお昼の時間ですが、このまま作業を続けますか?」
「ああ、もうそんな時間か。いや、一旦やめて食べに行くよ」
 そう返事を返した考助は、そのままお昼を食べに管理層へ向かった。

 結局、とりあえず目的のものが出来たのは、その日の夕方になってからだった。
 その日はもう無理だと考えていたのだから、上々の結果だろう。
 考助の手の中には、地脈の力が通っている<月の宝石>が、おさめられていた。
 色々試したところ、この建物の中ではどこへ移動しても、<月の宝石>を起点にして地脈の力は通っている。
 けれども、外へと持ち出すと、地脈の力が失われてしまう。
 ただ、残念ながら地脈の力が通っていても、精霊たちが集まることは今のところないようだった。
 それに関しては、後日確認することにして、この日の作業は終えることになった。
 管理層へ帰ってから、第四十七層を調べてみると<月の祭壇>という物に変化していた。

 名称:月の祭壇
 設置コスト:なし(普通の建物から変化)
 説明:通常の建物(どれでも可)に、地脈の力を得た<月の宝石>が設置されている。
    <月の宝石>は外へ持ち出し可能。ただし、持ち出した場合は通常の建物に戻る。
2014/5/24 誤字脱字修正
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