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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(17) お土産

 セシルとアリサに挨拶を済ませて、目的の物を探し始めた考助であったが、残念ながら見つけることが出来ないでいた。
 一応、神社の周囲とすべての部屋を確認してみたのだが、それらしいものは見当たらなかった。
「うーん・・・。やっぱりそうそう都合よくはいかないか・・・」
 物に意思が宿るというのは、長年存在している物に宿るのが多いと考えている考助である。
 とすれば、建てたばかりのこの神社では、まだ意思が宿ってなくても不思議ではない。
 もっともこの世界でもその法則が通じるのかどうかは、よくわからないのだ。
 そこまで考えた考助は、ふと考えを改めることにした。
 精霊を探すことで神社に宿る者がいないかを探していたのだが、そもそも精霊たちがまだ集まっていないのであれば、その方法は使えない。
 だったら別のアプローチで、神力を使って何かを探れないかと思ったのである。
 早速神力の流れを感じ取ってみる。
 ついでに、左目の力もフルに使ってみた。
 あまり左目の力を使うと、入ってくる情報が多すぎて、主に脳が疲れてしまうのだが、この際それは無視することにする。
 というわけで、神力を使ってもう一度神社内を見回っていると、とある部屋でふと覚えのある感覚を感じた。
 その感覚のある場所へ向かう。
 その場所は神社で一番広い部屋であった。
 神殿で言えば、一般の者達が祈りを捧げるような広間に当たるような所である。
 そこまで来た考助は、以前ミクセンの神殿を訪れた時のことを思い出した。
 今受けている感覚は、あの時と同じ物である。
 あの時と同じように部屋の中央で床に座り込み(神社は土足厳禁だ)、気配を辿っていく。
 間違いなく[常春の庭]の気配であることを確信した考助は、以前と同じように接点を見つけて自身の神力で[常春の庭]との接続を行った。

『・・・アスラ、繋がってる?』
『ええ。繋がってるわよ』
『これってどういう事なんだ?』
『え? 何が?』
『地脈の交点だからアスラに繋げることが出来たのか、それとも単に僕の力が足りないのか』
 考助は、ミクセンの時以来、アスラに接続を試みていたのだが、すべて上手くいっていなかった。
 エリスとは、神具を使ってシルヴィアが頻繁に接続していたので、不思議だったのだ。
『両方当たってるとも言えるし、そうでもないとも言えるわね』
『? どういう事?』
『そもそも私と直接繋がるって、相当な条件をクリアしないといけないからね。考助だから色々な条件を飛ばすことはできるけど、それでもいくつかの条件は必要なのよ』
『なるほどね。・・・ところで、僕だからって?』
『んー・・・。それはまだ秘密で』
『・・・まだ?』
『うん。まだ』
『そっか。・・・まあ、それはいいや。それで? ここに来れば、いつでも繋ぐことが出来るの?』
『流石に、いつでもは無理じゃないかな? 知ってると思うけど、私も万能じゃないから手が空いてないと出れないし』
『ああ、それもそうか』
『まあそれはともかく、私としては、確実に繋げる場所が出来たというのは嬉しいわね』
『・・・ん? そうなの?』
『そうよ。流石にシルヴィアの持ってる神具の様にはいかないけれどね』
『そうなのか。それはよかった。・・・楽しみができたよ』
『私もよ』
 お互いに顔は見えていないが、嬉しそうに笑っている雰囲気は伝わってくる。
『そうそう。折角だからお土産置いて行くわね』
『お土産?』
『そう、お土産。でも、ごめんなさいね。それについて、説明している時間まではないわ』
『そうか。それは残念』
『ほんとはもっと話したいんだけど、しょうがないわよね。それじゃあ、またね』
『うん。また今度』
 考助がそう答えた瞬間、接続が切れたのがわかった。
 突然話を区切られたが、どうしてもこんな感じになってしまうのだろう。
 エリスと神具で繋がることのできるシルヴィアもこんな感じと言っていたので、向こうの事情があるのだと思うことにしたのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 思いがけずアスラと会話が出来た考助だったが、[常春の庭]との接続が終わってみると、考助の目の前には巫女服を着た一人の女性がいた。
 正座をしたうえで、頭を下げているので、見ようによっては土下座なのだが、どちらかと言うと、三つ指ついて挨拶をしようとしている感じである。
「・・・・・・ミツキ?」
「私じゃないわよ。コウスケが何かを始めたら、いきなり目の前に出て来たわ」
 ミツキが何かをしたのかと確認をしたのだが、違ったらしい。
 となると思い当たるのは一つしかない。
「あ~、えっと。・・・もしかしなくても、君がお土産?」
「はい。そうです」
 念の為問いかけると、あっさりと目の前の女性から答えが返ってきた。
「コウヒとかミツキみたいなもの?」
「いいえ、それは違います。私は元々自我もなくここに漂うだけの存在でした。それがあのお方のおかげで、自我を持てるようになりました」
「へー」
「ただ、今のままだと長く持ちませんが・・・」
「え? どういう事?」
「今はあの方の力が満たされていますが、いずれはその力が無くなってしまいます」
「そうなると、存在が保てなくなるとか?」
「はい。そうです」
 自身の存在が無くなるという事なのに、女性は淡々と語っている。
 とはいえ、考助もそこまで焦ってはいない。アスラがこんな半端な状態で残すからには、何か意味があると思っているからである。
「君が居続けるようになるには、どうすればいいの?」
「貴方様の力をお借りしたいです。あとは、御手を拝借してもよろしいでしょうか?」
 そう言われた考助は、すぐに両手を差し出した。
 最初右手だけを出していたのだが、両方出すように促されたのである。
 女性は正座をしたままなので、考助もしゃがんでいる。
 それを見たミツキは、思わず止めようとするが、踏みとどまった。
 アスラとの会話が聞こえていたわけではないミツキにしてみれば、突然現れた女性である。
 当然ながら現れた時から警戒しているが、考助との会話で危険はないと判断したのだ。

 そんなことを考えていると、突然考助と女性の間で力の奔流が生まれた。
 正確には、考助から女性へと力が流れたのである。
 思わずミツキは、女性を切り捨てようとした。
 あまりに大きな力で、その力に考助が耐えられないと思ったのである。
 現に、考助は立ち眩みを起こしたかの様に、一瞬ふらついた。
「お待ちください。大丈夫ですから」
 女性が、ミツキに向かってそう言った。
「ああ、心配かけてごめん。・・・・・・ちょっと、突然でびっくりしただけだから」
 考助は、そう言って一度大きくため息を吐いた。
 目の前の女性と手を繋いだ瞬間に、考助の中を大きな力が通って行ったので、その後の脱力感がすごかったのである。
「これで、大丈夫?」
「はい。ありがとうございます。おかげさまで安定できました」
 そう言った女性は、ニコリとほほ笑んで、また頭を下げた。
「そうか。良かった。それで、色々聞きたいんだけど・・・まずは名前から聞いてもいい?」
「名前は、まだありませんので、付けていただけないでしょうか?」
 そもそも以前はこの周囲を漂っていた存在で、アスラに身体を与えられただけなので、名前などは存在していないということだった。
 というわけで、名前を付けることになったので、しばらくの間考え込む考助なのであった。
女性の名前は次回発表です。
次で神社周りの話は終わり・・・かな?

2014/6/14 誤字修正
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