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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 神具の力

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(1)結果報告

 考助は、三つの神具を手に入れたことをアスラへと報告した。
 報告を行っている場所は、考助が作った神域である。
 普段は世界にどんな影響があるかわからないため、管理層でアスラと話をすることはしていない。
 だからこそ考助は、以前にアスラから直接連絡をもらったときにとても驚いたのだ。
 その点、考助が作った神域は、アースガルドとも切り離されている世界のため、アスラと話をするのにちょうどいいのだ。
『というわけで、きちんと三つ揃ったから』
『あらあら。わざわざ報告ありがとう。間違いはないと思うけれど、一応こっちでも確認してみるわ』
『うん。そうしてくれるとありがたいかな』
 考助のところに、三つの神具が手に入ったはいえ、それがアスラの神域から無くなった物だとは決まったわけではない。
 考助が直接神具に聞けば答えるだろうが、そもそも神具本人(?)が嘘をついていないともいえないのだ。
 そのためアスラがわざわざ確認することを申し出たのである。

 アスラの約束を取り付けた考助は、そのまま次の確認を行った。
『一応、もう一回確認するけれど、本当にこっちで持っていていいんだよね?』
『ええ。無理にこっちに持ってきてもらっても、どうせまた脱走するでしょうしね。それなら落ち着いているところにいてもらったほうがいいわ』
 アスラの監視を逃れてあっさりとアースガルドの世界へと移動した神具たちだ。
 このまま回収した神具を考助がアスラの屋敷に持って帰っても、また抜け出す可能性のほうが高い。
 そうならないように以前よりも厳重に封印しておくということもできなくはないが、それよりは手間を考えても今の状態で様子を見たほうがいい。
 もし考助の目が届かないところに逃げ出すようなことがあれば、今度こそ厳重に封印してしまおうというのが、アスラの考えだった。
『うん。分かったよ』
 考助としても、自分のところで預かっておく分には問題はない。
 これで単に仕舞っておくだけならアスラの屋敷に送ってしまってもいいのだが、それぞれに使う用途も見つかりそうなのでそういったこともなさそうである。

 考助の返事を聞いたアスラが、若干からかうような口調で言ってきた。
『せっかくなんで、考助があれらの神具をどうやって使うのか、見させてもらうわ』
『いや、使うのは僕自身じゃないんだけれど?』
『そうかもしれないけれど、あの神具たちがあなたの影響を受けているのは間違いないことよ。しかも使うのは全員があなたの関係者でしょう?』
 確かにそう言われれば、考助が直接使わないにしろ間接的には関わることになる。
 誰が使うにしろ、何かわからないことがあれば、まず考助に相談に来るはずだ。
 それを考えれば、アスラの言う通り神具が考助の影響を受けるというのは間違いではない。
 いや、そもそも考助の影響をすでに受けているといっても過言ではない。

 言われてみればと思い直した考助は、見えない相手に頷きつつ答えた。
『そういえばそうだね。でも、僕が何かを言うというよりも、むしろ神具たちの言っていることを解説しているだけのような・・・・・・?』
『それは、それこそ卵が先か、鶏が先かの話になるんじゃない? 神具だって考助に合わせて主張しているところもあるでしょうし』
『そんなもんかな?』
『そういうものよ』
 考助にしてみれば、神具が言っていることをそのままシルヴィアたちに伝えているだけのつもりだったのだが、アスラからすれば違った見方もできるようである。
 事実、アースガルドに落ちて(?)きた時点で、それぞれの用途に姿形を変えた神具たちだが、そこから先のどういった使われ方をするのかというのは、考助の考えも混じっている。
 それには、アスラの神域からアースガルドに来た際に、考助の影響力を使ったこととも関係している。
 そう考えれば、神具たちが考助の影響を多大に受けているといえるのだ。

『まあ、いいや。とにかく、今回回収した神具は、しばらくはそっちに返さないということでいいね?』
『勿論』
『あ、ただ、変に騒がしいようだったら、そっちに持っていくから』
 今はおとなしい(?)神具たちだが、余計な騒ぎを起こすような物を後生大事に持っているつもりは、考助にはない。
 考助は、扱いづらい道具はあってもいいと思っているが、持ち主の言う通りにならない道具は道具とは言えないと考えている。
 神具たちが調子に乗って勝手に動き出せば、封印されるのは当然だろう。
『ええ、そうね。そのときは遠慮なく持ってきて頂戴』
 アスラとしても無理に考助に持っていてほしいとは考えていない。
 そもそも自分の神域で確保していた物なのだから、最後には自分のところに戻ってくるのには何の異論もない。
 もっとも、今のアスラは、三つの神具が自分のところに帰ってくることはないと予想している。
 ただし、その予想が当たるかどうかは、当の神具たちにも分かっていないのであった。

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 アスラとの会話を終えた考助は、そのまま勾玉に貯めてある神力を神具の勾玉に移し替えるためワンリのところに向かった。
 最近のワンリは、狐のお宿のこともあって、頻繁にあちこちを移動している。
 そのため中々捕まらないときもあるのだが、今回はすぐに第八層の百合之神社で会うことができた。
「お兄様、どうかしましたか?」
 ユリに呼ばれて考助のいる部屋にやってきたワンリは、笑顔を見せながら近寄ってきた。
「ちょっと勾玉の神具を貸してほしくてね」
「神具をですか? それは構いませんが・・・・・・」
 何に使うのだろうと疑問に思ったワンリが、小首を傾げながら首に下がっていた神具を考助へと差し出した。
 ワンリから神具を受け取った考助は、次にユリに問いかける。
「ユリ、爆発とかが起こっても大丈夫そうな場所はない?」
「それでしたら、こちらへどうぞ」
 考助の質問に答えるために、その場にスッと姿を現したユリは、手を差し出しながら案内を始めた。

 ユリが案内した場所は、他の部屋と変わらない大きさのひとつの部屋だった。
「ここでいいの?」
「はい。ここでしたら大規模な爆発が起こっても他に影響がありませんから」
 ユリがこの部屋を用意したのは、セシルとアリサが精霊術の訓練を始めたところだ。
 モンスターが襲ってくる場所では訓練自体がままならない。
 ふたりから相談を受けたユリが、それならと用意したのがこの部屋だった。
 セシルとアリサは、今でもこの部屋を訓練用に使っている。

 一応壁とかに影響が出ないように部屋の中央に立った考助は、ふたつの勾玉を両手に持ってピタリと合わせた。
 すると、考助の作った勾玉が一瞬だけ光り、ついで神具の勾玉が光を発した。
 どちらの光も一瞬で消え去ったため、もし目を離していればそれには気付かなかっただろう。
「うん。何事もなくてよかった」
「お兄様、今のは?」
 考助のやることに注目していたワンリが目を離すはずもなく、今の現象について聞いていた。
「ああ、こっちの勾玉にね、蓄えてあった力を移し替えたんだ」
 考助は、こっちと自分が作った勾玉をワンリに持ち上げて見せた。
「今のままだと壊れてしまう可能性もあったからね。これでもう大丈夫」
「そうでしたか」
 考助の言葉を聞いたユリが、納得のいったように頷いている。
 彼女には光が何であるかもわかっていたので、考助が何のために行ったのかを理解したのである。

 神具の勾玉への力の移譲も無事に終わり、これで考助にとっても一安心といったところだ。
 このあとに三つの神具をどう使うかは、アスラにも言った通り女性陣が試行錯誤していくことになる。
 手に入った神具がどういった変化をもたらすのか、それはまだ誰にもわからないのであった。
アスラへの結果報告でした。
あとは、勾玉の蓄えた力の移譲です。

この章では手に入れた神具をどうやって使っていくのかを少しだけ触れようと思います。
そのため数話で終わると思います。


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