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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 劔

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(14)追及

 神剣を持ってアマミヤの塔の管理層へと戻ったフローリアとシルヴィアは、盛大な歓迎に出迎えられた。
「「「お帰りなさい!」」」
「な、何の騒ぎだ、これは!?」
 自分の子供たちが先頭になって迎えられたフローリアは、思いっきり戸惑った表情になる。
「それは勿論、母上の素晴らしい舞を見たので、そのねぎらいです」
 子供たちを代表してトワが答えた。
「な、なに!?」
 フローリアは驚いた表情を浮かべて、すぐに考助たちの顔を見た。
 実は、フローリアには、考助たちが舞を見に来ることは知っていたが、子供たちが見に来ていたことまでは知らされていなかったのだ。

 考助を始めとしてシルヴィアたちがニヤニヤとした顔をしているのを見て、フローリアはようやく事情を察した。
「そ、そういうことか・・・・・・」
 自分の舞を子供たちに見られたことに、どう反応していいのかわからず、フローリアは複雑な表情を浮かべる。
 そんなフローリアに対して、ミアが怒ったような顔になった。
「母上! あんな素晴らしい舞が踊れるのに、どうして黙っていたんですか!?」
「み、ミア?」
 ミアの剣幕に、戸惑った表情を浮かべてフローリアが少しだけ後ずさる。
「いや、しかし私の舞は、あくまでも個人のレベルで・・・・・・」
 大したものではないと続けようとしたフローリアを見て、子供たち三人が盛大なため息をついた。

 三者三様に呆れたような表情を浮かべたあと、トワが代表してアレクを見る。
「・・・・・・お爺様。これが、お爺様の教育の結果ですか?」
「うっ!?」
 矛先が自分に向けられたアレクは、一瞬言葉を詰まらせたあとに、慌てて言い訳を開始した。
「いや、マテ! 確かにそうだが、あのときは事情が事情だけに表に出すわけには・・・・・・!」
「そうかもしれませんが、少なくとも母上本人にはきちんと知らせるべきだったのでは?」
「ぐぐっ!」
 ミアの追撃に、アレクが完全に撃沈した。
 そのアレクを見て、ソニアが苦笑しながらフォローした。
「トワもミアもそんなにお爺様を責めないで上げて。幼かったフローリアが下手なことを言い出さないように、わざとそうしたのよ」
「それはまあ、分かりますが、そのまま放置したのはどう考えても失敗だったと思われます」
 ソニアの言う通り、小さいころであれば、どこでどんなことを口走るかわからない。
 そのために、本人に舞の実力を隠しておくことには意味がある。
 だが、成長してからのそのままの状態というのは、今のフローリアのようにおかしな状態になってしまうのだ。

 現に、子供たちと両親の様子を見ていたフローリアは、未だに戸惑ったままの顔になっていた。
 フローリアも今の話の流れで、彼らが何を言いたいのかは察している。
 ただ、先ほどの舞は、あくまでも神具の力によるものが大きいと考えているのだ。
「先ほどの舞はよかったのかもしれないが、あくまでも神具の力によるものだろう?」
 これだけの人間が集まってフローリアの舞についての話をしているのに、相変わらずの認識のままのフローリアに呆れたような視線が集まった。
 それだけの視線に晒されることになったフローリアは、再び後ずさりをした。
 それをみた子供たち三人は、確かにフローリアの認識を変えるのは不可能に近いと思い直したようだ。
 今度は呆れではなく、もったいないという思いでトワがため息をつく。
「・・・・・・いつまでもここで立ち話を続けるのもなんですね」
「そうだね。せっかく皆が集まっているんだから、場所を変えて話でもしようか」
 トワの言葉に、考助がちょうどいいとばかりに提案をして、全員がそれに賛同するのであった。

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 場所を移動した一同は、せっかくなのでということで、軽食も用意して会議室で話をすることにした。
 コレットもピーチも子供たちを連れてきているので、ここまで家族が管理層に勢ぞろいすることは初めてのことだ。
 それぞれが思い思いの席について、いろんなことを話している。
 ミアとココロは、コレットとピーチのところに突撃をして、それぞれの子供たちと触れ合っている。
 トワはアレクと、リクはシュレインと話し込んでおり、ルカはコウヒから魔法についての話を聞いているようだった。
 そんな中、考助はシルヴィア、フローリアと一緒に話をしていた。
「それで、踊っているとき、神具の反応はどうだった?」
「どうもこうもないな。私はいつもどおりに思ったまま剣を振っていただけだ。あんなことが起こるなんて、少しも考えてなかったよ」
「なるほどね。シルヴィアは? 途中から気が付いてみたいだけれど」
 考助の問いかけに、シルヴィアはコクリと頷いた。
「はい。神剣を中心に何かが起こっているのはわかりました。ただ、それ以上は何が起こるかわからなかったのですが、コウスケさんを見たら慌ただしく動いていたので、そのまま続けることにしました」
「そうなのか?」
 踊りに集中していてまったく気づいていなかったフローリアが目を丸くして、シルヴィアがそれに頷いた。
「流石に音を止めれば、フローリアも気付くと思ったのですけれど、止めなくてよかったですよね?」
「うん。そうだね。中途半端で止めたら、それこそ神剣が貯めた力がどうなるか分からなかったかもね」
 それならそれで対処のしようもあったと思うけれどと、考助は続けた。

 舞の最中にそんな危ない(?)ことになっているとは全く想像していなかったフローリアが、こめかみに手を当てた。
「そんなことになっていたとはな。・・・・・・集中しすぎるのも問題か?」
 フローリアが神具の様子に気付いていなかったのは、舞に集中していたためである。
 それなら舞の最中に多少は他に意識を向けるべきかと考えたのだが、それには考助が首を左右に振った。
「いや、それは違うよ。フローリアが集中して舞ってくれたおかげで、ちゃんと魔法陣が発動したんだし」
 フローリアが、神剣が満足のいく舞を最後まできっちりと舞ったからこそ、あの魔法陣は正常に発動したのだ。
 正常に作動しなかったときにどうなったかは考助にもわからないが、ろくなことにならなかっただろうとは考えている。
 フローリアの舞を見ていた考助は、失敗をするとは全く考えていなかった。
 だからこそ、あの場でシルヴィアに続けるように頷いたのである。

 考助の言葉に納得したように頷いたフローリアを確認したシルヴィアは、次に考助を見て問いかけた。
「ところで、あのときの勾玉はどうされたんですか?」
 勾玉の神具はワンリが持っていたはずだ。
 今回はワンリを会場に連れて行っていなかったのに、なぜ勾玉があったのか不思議だったのである。
「ああ、あの勾玉はついでに僕が作っておいたやつだよ。まさか神具のため込んだ力を蓄えることになるとは思ってなかったから強度は万全ではないけれどね」
 勾玉の神具も作ってみようと考助が試しに作っていたのが、さっそく役に立ったというわけだ。
 ただし、強度に不足があるので、これからワンリのところに行って力の移譲を行わなくてはならない。
 といっても、数日でどうこうなるわけではないので、今はのんびりとした時間を過ごしているというわけだ。

 手に入った劔の神具は、すでにフローリアのものとなっている。
 水鏡や勾玉の神具のように、他のメンバーで使うことができるかどうかは試してみないとわからないが、別にフローリア専用になってもかまわないと考助は考えている。
 あわよくば、せっかく神具が手に入ったからと、フローリアが舞ってくれる回数が増えれば、考助にとっては非常に嬉しいことになる。
 結局、考助にとっては思わぬ副産物までついてくることになった劔の神具の騒動であった。
フローリアが子供たちに突っ込まれましたw
これで少しはフローリアに認識も変わって・・・・・・くれればいいですね。
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