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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2章 勾玉

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(18)神具の使い方

 考助がワンリと一緒にコレットのところに行くと、ちょうどピーチがきていた。
 ほぼ同時期に子供ができたということで、子育てに関する話をしに来ていたのである。
 ピーチが来ていることを知った考助は、ちょうどいいとばかりに、コレットとピーチにワンリが神具を手に入れた経緯を話した。
「・・・・・・なるほどねえ。それが今回の神具ってわけね」
「こうやってみると、ごく普通の勾玉にしか見えませんね~」
「まあ、最初のときに森を焼いたのは、神域から抜けてきたときの影響とセウリの森の結界が合わさって起きた結果だからね」
 もしこれが、単に空から落ちただけだったら、あそこまでのことは起きていなかったよ、と続けた考助に、ふたりは納得した表情になる。
「なるほどね。水鏡のときとは様子が違っていたけれど、そういうことだったのね」
「そういうこと」
「でもやっぱり森を一瞬で回復するのは、凄い能力ですよね~」
「ああ、あれはね。神域にあったときからずっと力を蓄えてきて、そのほとんどを使ったみたいだからね」
 やはりというべきか、考助の予想通り今の勾玉にはそれだけのことをする力は残っていなかった。
 もし、考助の作った仕掛けとワンリのことがなければ、神具は森の中で力を蓄えつつ抜け出る算段をしていたのだ。

 考助の話を聞きながらまじまじと神具を見ていたコレットが、ふと何かに気付いたような表情になった。
「あら? ・・・・・・もしかして?」
 コレットは、そうつぶやいてからいきなりワンリの首から下がっている勾玉に手を伸ばした。
「お、お姉様! 危な・・・・・・!? あれ?」
 ワンリ以外の者が不用意に触れようとすると、考助のときのように勾玉が反発すると思い、ワンリは慌てて注意しようとしたが、コレットが触れても勾玉は何の反応を示さなった。
 不思議な顔になったワンリが考助を見たが、その考助はどこか納得した顔をしている。
「あー、やっぱりこうなったか」
「・・・・・・どういうこと?」
 考助とワンリの反応に、勾玉を触ったままコレットが首を傾げた。

 そのコレットを一度見た考助は、少しだけ考えるように上を見た。
「うん。まあ、見てもらってからのほうが早いかな?」
 そう言った考助は、コレットと同じように勾玉に向かって手を伸ばした。
 すると今度は、前のときと同じように勾玉が反応して、考助の手が触れる直前にバチッと音をたてた。
「・・・・・・とまあ、こんな感じで気に入った存在以外には触らせないみたいなんだよね、この神具」
 そんなことを言いながら、考助は手をプラプラとさせた。
 大したダメージではないが、静電気が発生したときのように少しだけ痺れている。
 その考助の様子を見て、ワンリが考助の手を取ってさすり始めたのを見て、ピーチがニマニマと笑った。

 コレットはワンリを一瞬だけ羨ましそうな表情で見て、次に考助を見た。
「なるほどね。それで? 私が何もないのはどういうこと? やっぱりって言っていたわよね?」
「どうもこの神具、精霊関係に強いみたいなんだよね。だからこそ加護持ちのワンリに素直に従ったみたい。だったらコレットも大丈夫じゃないかな~、と思ってね」
「そういうことか、納得」
 そう言って頷きかけたコレットだったが、ふと何かに気付いたように考助を見た。
「・・・・・・ちょっと待ちなさい。大丈夫じゃないかな~って、大丈夫じゃなかった可能性もあるってことね?」
「そんなことはないよ? 僕はちゃんとコレットを信じていたから」
「うっ。こ、この場合、私がどうこうは関係ないような・・・・・・もう、いいわ」
 考助にまっすぐに見つめられて、コレットは思わず視線を逸らした。
 考助はときどきこうして天然を発揮するので油断できない、とその表情が語っていたが、残念ながら当の考助は気付かず、横で話を聞いていたピーチがにやついた。

 そんな三人の様子を交互に見ていたワンリが、小さく首を傾げた。
「コレットお姉様に反応しなかったということは、この勾玉はお姉様に渡した方がいいのでしょうか?」
「なんでそうなるの!? 私は別にワンリから取り上げる気なんてないわよ!」
 ワンリの言葉に、コレットが慌ててそう言った。
 コレットとしては単に勾玉がどんな材質でできているのか、触って確認してみたかっただけで、ワンリから取り上げようなんて気は全くなかった。
 なぜワンリがそんなことを言い出したのか、まったくもって不明だった。

 これまでの神具の起こしてきた騒動から、ワンリが誤解をしていると察した考助が、ワンリに向かって優しく微笑んだ。
「いや、そんなことはないからね。単に勾玉の中で自分に触れて良い人とそうじゃない人を区別しているだけで、所有者はもうワンリと決めているみたいだから」
「・・・・・・そうなの?」
「そうなんだよ。だから、安心して持っていなさい」
「はい!」
「あ、でも、ときどきでいいから、コレットに貸してあげてほしいかな?」
 唐突な考助の言葉に、コレットが疑問の表情になった。
「どういうこと?」
「いや、その神具を使ってどんなことができるのか、いろいろと試してほしいんだよね。ピーチとシルヴィアが水鏡を使っていろいろやっているみたいに」
 水鏡の神具は、シルヴィアとピーチが空いているときにいろいろと触っている。
 ただ、当然ながらふたりの水鏡の利用の仕方は、まったく違っているのだ。
 考助としては、できることならコレットとワンリに、違った方法で勾玉を使ってみてほしいと考えていた。

 考助の思惑は理解したうえで、今度はコレットが首を傾げた。
「言いたいことはわかったけれど、勾玉の神具なんてどうやって使ったらいいのか、さっぱりわからないわよ?」
「それはそれでいいんじゃないかな? 精霊を通して神具と会話はできそうだし」
「え? そうなの?」
「そうなんだよ。色々と試してみたら?」
 考助にもコレットやワンリがどういった使い方をすればいいのかはわからない。
 既にワンリは便利な使い方をしているが、あれはワンリが見つけたやり方というよりも、どちらかといえば、勾玉が気を利かせている感じだ。
 水鏡と同じように、コレットもワンリもこれからどうやって使っていくかを探していけばいいと考助は考えている。

 コレットもワンリも、神具をどう使えばいいのかわからないという表情をしていた。
 そんなふたりに、ピーチが話す。
「神具がどうではなく、自分だったらどう使うかを考えればいいと思いますよ~。・・・・・・ただ、勾玉をどう使えばいいのかは、私にもよくわかりませんが」
 精霊を使った道具として使えばいいと分かっていても、具体的にどう使えばいいのかは、この場にいる誰にも分らないのだ。
 それは、下手をすれば勾玉自身にもわかっていない可能性がある。
 結局、神具をどうやって使っていくのかは、その使い手自身による。
「あんまり難しく考えないで、やりたいようにやってみるといいよ。絶対に使わないといけないというわけじゃないし」
 考助としては、今のままワンリの変化のときの服装用として使うだけでも何の問題もないのである。

 こうして勾玉の神具は、コレットとワンリに委ねられることになった。
 ただしコレットの場合、下手に周囲に置きっぱなしにしておくと子供たちがいたずらしてしまう可能性もあるので、手元に置いておくことはしない。
 コレットは、使いたいときにワンリのところに行って借りて、管理層で使うということになった。
 これで勾玉の所有者も無事に(?)決まり、二つ目の神具についても収まるところに収まった。
 あとは、残る三つめの神具だけになったのである。
これで勾玉の神具に関しての話は終わりです。
何とか二十話いかずに終えられました。
最後の神具は果たして何でしょうか?
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