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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2章 勾玉

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(2)塔の事情

 テーブルの上に突っ伏すことになったダナをある程度回復するまでなだめたシルヴィアとピーチは、転移門のある建物にむかって歩いていた。
「それにしても、ずいぶんあっさりと占いの結果が出ましたね?」
 水鏡のときは、おばばが何とか占いの結果を出したという流れだったが、今回はダナがすぐに結果を出していた。
 さほど腕がいいというわけでもないダナが、ああもあっさりと結果を出したことに、シルヴィアは驚いていた。
 そんなシルヴィアに対して、ピーチがいつもの調子で返事を返す。
「え~と。確かにあっさりしているように見えますが、結局のところ、占いはタイミングが重要なんですよ~」
 占いできちんとした結果を出すには、遅すぎても早すぎても駄目なのだ。
 逆にいえば、タイミングさえ合えば、きっちりとした結果を出すことができる。
「それに、今回はダナの使っている道具のこともありますからね~」
「道具というと、コウスケさんが作った水鏡ですか?」
「そうですよ~。占いの対象が、製作者に深くかかわることになる物ですからね。かなり影響があったはずです。むしろ、だからこそダナのところで占いをしてもらったのです」
「ああ、そうなのですね。あなたがダナのところで占いをしてもらうと言い出したときには、理由がわかりませんでしたが、そんな理由があったのですね」
 子育てをしているピーチが、管理層にやってきて占いをしてもらいましょう、と言い出したときには、全員が首を傾げていた。
 結局説明もされずに、珍しくピーチの勢いに押されてシルヴィアがついてくることになったのだが、理由を聞いてみれば、納得できた。
 むしろ、最初にその説明をしておけばよかったのでは、とシルヴィアは考えたが、そもそもピーチはそういうちょっと抜けたところがある。
 これまでの付き合いでそれがわかっているので、あえてそこを突っ込むことはしなかった。
 他の者たちへの説明は、自分がすればいいとシルヴィアは考えていた。

 ミクセンからアマミヤの塔の管理層へと戻ったふたりは、さっそく占いの結果をメンバーに話した。
「ほう? 最初にあったときは、そこまで腕が良い占い師とは思わなかったのだがな?」
 感心した表情でそう言ったフローリアに、シルヴィアが先ほどピーチから聞いた話をした。
 それを聞いたシュレインが、納得したように頷く。
「なるほどのう。使っている道具が、コウスケと結びつきが強いからこそ出た結果というわけか」
「そうですね~」
 ピーチはそう同意しつつも、さらに付け加えてきた。
「ただ、あくまでもあの道具を使ったうえでの結果ですから、あとはダナがこの先腕を上げていくかどうかは、本人次第です」
「それはそうだろうな」
 当たり前といえば当たり前のピーチの言葉に、フローリアが頷いた。

 シルヴィアたちにとっては、ダナの話題はあくまでも脇道でしかない。
 ダナに関しては、少しだけ話題に出ただけで、すぐにフローリアが本来の話に戻した。
「それで? 占いの結果は、話のできる木、ということだったか?」
「そうですわね」
 シルヴィアがフローリアの確認に頷くと、一同は何とも言えない視線を考助へと向けた。
 この場にいる誰もが、話のできる木というのが何のことなのか、心当たりがあるという顔になっている。

 そして、視線を向けられた考助は、首を傾げつつ頷いた。
「聞いてみるけれど、何か知っているとは思えないんだよなあ。・・・・・・まあ、いいか。エセナ、今いい?」
「はい、どうしました?」
 考助が呼びかけると、すぐにエセナが姿を現した。
 こうして考助が呼びかけないと絶対出てこないエセナだが、どういった力なのかは考助にも不明だ。
 たとえエセナの話題を出していても、呼ばない限りは出てこないので、考助にとっても本当に不思議である。
 エセナに言わせると、考助が名前を呼ぶと聞こえるから出てくるだけ、ということになるのだが。

 エセナが出て来たのを確認した考助は、早速神具について確認した。
「・・・・・・ということなんだけれど、エセナは何か心当たりある?」
「ええっと・・・・・・特には」
「まあ、そうだよねえ」
 塔の中にまで神具が来ることができるとなると、どうやって入り込んだのかというのが問題になる。
 ついでにいえば、神具ほどの物になると、塔の中に存在した時点で新規アイテムとして登録されてもおかしくはない。
 そういった兆候が無い以上、考助の頭には最初から失われた神具が塔の中にあるという選択肢は外れていた。
 エセナの本体である世界樹があるのは南の塔とはいえ、どちらの塔であっても同じ事なのだ。
 それでもわざわざエセナに来てもらったのは、それこそ呼びかけのときのように、考助がわからないことが起こっている可能性もあるためだ。
 もっとも、そうした可能性は、今エセナに完全に否定されてしまったわけなのだが。

 エセナの答えを聞いた他のメンバーも、どちらかといえばそれはそうよね、という顔をしている。
 そもそもエセナがそんなことに気付いていれば、真っ先に考助のところに報告しに来ることはすぐにわかる。
「となると、世界樹エセナだと考えたのは間違えだったか」
 そう言ったフローリアに、考助が首を左右に振った。
「いや、そう考えるのは早いと思うよ」
「というと?」
「だって、この世界に存在している世界樹は、エセナだけではないよね?」
 確かにエセナは考助にとって一番身近な「話のできる木」だが、別に考助が知っている世界樹はエセナだけではない。
「なるほど。そういうことか」
 納得したように頷いたシュレインがそう言ったが、さらに付け加えてきた。
「それで? 今回はどうするのじゃ? 水鏡のときと同じように様子見をするのか?」
「とりあえず、本当に手掛かりがあるかどうかだけは確認したほうがいいと思うんだよね。もし次の神具が見つかったとして、自分が動くかどうかはそのときの気分次第、かな?」
「なるほど、の」
 なんとも考助らしい返答に、シュレインは苦笑を返した。

 おとなしく考助の手に収まった水鏡のことを考えれば、考助自身が動いても特に逃げ出したりはしなそうだが、次の神具もそうだとは限らない。
 結局のところ出たところ勝負になるのは、水鏡のときと変わらない。
 どうにも行き当たりばったりになってしまうが、そもそも神具の情報を少しも持っていないので、仕方ない。
「まあ、コウスケが動けない場合は私たちが動くからいいとして、セウリの森にはいつ行くのだ?」
 あっさりと自分たちが動く宣言をしたフローリアに、考助は頷き返した。
「占いはタイミングが大事なんだよね」
「そうです~」
「だったら、早い方がいいと思うよ?」
 変にタイミングをずらしてしまうと、せっかくの占いの意味がなくなってしまう可能性がある。
「ふむ。ということは、今日明日中にはいくんだな?」
「まあ、そうなるね。・・・・・・それにしても、ずいぶんと焦っているような気もするけど、何かあった?」
 首を傾げる考助に、フローリアは他の女性陣を視線を交わしながら苦笑を返した。

 フローリアの感覚では、世界に大きな影響を及ぼしかねない神具は、さっさと回収してしまいたい。
 だが、今の考助は、さほど焦っていない。
 そういう意味では、神らしくなってきたともいえるのだが、それがいいことなのか悪いことなのか、誰にも分らないのであった。
アスラの神域から転移をした神具たちですが、塔の階層には入ってこれません。
それは、塔自体がアスラの神域とはまた別のことわりでできているためです。
考助はそのことになんとなくですが、気が付いています。
エセナを呼んだのはみんなを納得させるためと、一応の確認のためです。
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