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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6部 第1章 水鏡

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(16)動き出した女性たち

 シュレインたちが話し合った結果決まった考助を動かすための大義名分というのは、「私たちがやりたいことをやる」というものだった。
 一見すれば、単なるわがままのようにも思えるが、勿論実際はそうではない。
 女性陣が、考助のために何かをすると主張しても、考助は間違いなく断ってくる。
 それは、遠慮もあるだろうし、何より「神として動けない」という条件に抵触してしまう。
 それならば、自分たちが自分たちのしたいことをする、と言ったほうが結局考助のためになる。
 あくまでも主軸は考助ではなく女性陣である、ということを強調すれば、神が云々という話もわきにそれてしまうのである。

 女性たちから話を聞いた考助は、大きくため息を吐いた。
「何というか・・・・・・いろいろと考えていた自分が馬鹿みたいだな」
「そんなことはありません。コウスケさんがいろいろとしていたからこそ、私たちが動くことになったのですわ」
「そうじゃの」
 シルヴィアの言葉に、シュレインも頷いて同意した。
「吾が思うに、コウスケは人に物を頼むのが下手すぎる。何も言わずに動いてもらおうなど、虫が良すぎると思うぞ?」
「うぐっ」
 考助としてはそんな態度をとっていたつもりは全くなかった。
 だが、長い間一緒に生活してきたシュレインがそう言うのだ。
 おそらくそんな態度を出していたのだろうと、考助は言葉を詰まらせる。

 そんな考助を見て、シルヴィアが笑顔を見せた。
「あら、それもまたコウスケさんのいいところだと思いますわよ」
「・・・・・・ふむ。それは吾も同意するが」
 もしこの場に他の者がいれば、まさしく痘痕あばたえくぼといった感じの会話に、考助は赤面することしかできないのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 昼間にも関わらず、そこには薄暗くほとんど光がとおっていなかった。
「おっと、危ない危ない」
「ばかやろう! 気をつけろ! そいつは、おまえよりも高く売れるんだからな!?」
「兄貴、そいつはひどいぜ」
「知るかよ! 事実だ!」
 そんな僅かにしか光が届いていない場所で、男がふたりごそごそと作業をしている。
 もっとも、作業といってもそんな大したことではない。
 ひとりが持っている物を保管していたこの場所から移して、彼らの上役のところへ持っていこうとしているのである。
 やること自体は簡単な作業だが、何せ周囲は暗闇に包まれているため作業がしづらいのだ。

 そんな状況で何とかその暗い場所から脱出することが出来た。
「ふー。やっと明るい場所に出れたぜ」
「兄貴ぃ。なんだってこの部屋は、あんな面倒なつくりになっているんだ?」
「馬鹿野郎。わかりやすい場所に置いておけないからに決まっているじゃないか!」
「あっ、そうか!」
「お前は、本当に馬鹿だなあ」
「ひでえ。そんなに馬鹿馬鹿言わんでくださいよ」
「しるか、馬鹿。そんなことよりも、さっさと行くぞ!」
「あっ、兄貴! 待ってくださいよ!」
 はたから見れば下手な漫才としか見えないやり取りをしながら、男ふたりはその場所から去って行った。
 ひとりの男の手には、かなり大きめの皿のような物が抱えられていた。
 そして、それを確認する者はその場には誰もいない・・・・・・はずであった。
 少なくとも男ふたりはそう認識していた。

 
「・・・・・・ふむ」
 建物の影に潜んでいたその者は、ふたりの男を視線で追いながらそう呟いた。
 デフレイヤ一族の一員である彼は、今男たちが持ち出した品物を見張る役目を追っていた。
 ふたりの男たちを付かず離れず位置でついていきながら、とある建物に入っていくのを確認した。
 そして、そこで何気ないふりをしてその建物を離れていく。
 途中で別の役目を持っている者に視線を投げかけるのを忘れない。
 これで、道具の見張りに関しては大丈夫だ。
 あとは、報告をするために、自分たちが拠点にしている建物へと向かった。

 男が拠点に戻ると、そこにピーチがいて、若干驚きの表情になった。
「なんだ? 子育てをしているのではなかったか?」
 そこには他にもピーチ以外に考助の隣にいるべき女性たちが、二人ほど立っていた。
「ちょっと事情が変わってね~」
「そうなのか。まあ、いい。対象は移動をしたぞ。いよいよ売りに出されるのかもしれん」
 その言葉に、ピーチたちに緊張が走った。

 考助が監視をするように指示していた水鏡は、あの夜に盗み出されたあと、とある組織の倉庫に保管されていた。
 あくまでも指示は水鏡がある場所を常に把握しておくこと、というものだったので、盗み出そうと思えばできなくはないが、放置をしていたのである。
 それが、ピーチたちの様子を見て、何か状況が変わったのだろうかと首を傾げた。
「なんだ? 何か指示が変わったのか?」
「いいえ~。監視を続けるのは変わっていませんよ~」
 そのピーチの答えに安堵しながら、男はさらに問いかけた。
「だったら一体どうしたんだ?」
 先ほどのピーチたちの態度は、何かがあると喧伝しているようなものだ。
 ピーチにもそれがわかっているので、隠そうとはせずに頷いてから言った。
「そちらの内容は変わっていないのですが、こちらの計画は変更する必要があるかもしれませんから~」
 曖昧なピーチの回答だったが、男はそれ以上は聞かずに頷くだけにとどめた。
 任務をするうえで、余計な情報は聞かなくてもいいということはよくわかっている。
「なるほど。とにかく、俺たちは監視を続ける」
「はい~。お願いしますね」
 ピーチが頷くのを見てから、男は休息をとるために奥の部屋へと入って行った。

 それを確認したピーチが、フローリアへと視線を向けた。
「それで、どうしますか~?」
「どうもこうもないな。私たちは話し合った通りに進めればいい。神具がどこまで考助の気配を察することが出来るかわからないからな」
 今回の件で厄介なのは、考助の神気を神具がどこまで嗅ぎ取れる(?)かわからない点だ。
 もし考助に近しい者たちの気配まで神具がわかるのであれば、フローリアたちが近づいても過剰反応する可能性がある。
 考えすぎかもしれないが、対象が神具である以上、いくら警戒しすぎてもしすぎということはない。
「それじゃあ、行きましょうか」
 フローリアとピーチの会話を聞いていたコレットが、椅子から立ち上がってそう言った。
 三人がこの拠点に来ていたのは、神具の状況を確認するためと休みをとるためだ。
 コレットの腕には、ピーチの子であるミクが抱かれていた。
 ちなみに、コレットの子供たちは、家で乳母が面倒を見ている。

 拠点の家を出た三人は、渦中の占い師のもとへと向かった。
 すでに営業は再開しているようで、店は開いていた。
 お客が並んでいるということはなく、すぐに占いをしてもらえるということで、三人はすぐにダナがいる部屋に入ることが出来た。
「いらっしゃいませ。今日はどのような占いを・・・・・・あら。そちらのお客さまは二度目になりますね」
 ミクを抱いたピーチを見て、ダナは笑いながらそう言った。
「覚えていましたか~」
「私のお客様で、子連れの方は少ないですから」
 ダナが言ったことは嘘ではない。
 水鏡の占いに来ていたのは珍しさを求めるお客であって、子供の将来のような安定した占いを求めるようなお客ではなかった。
 これもまた、水鏡を失ってからダナが気付いたことの一つである。
「それでは、今日の占いは何にいたしましょうか?」
 そう問いかけてきたダナに、フローリアが占いの話ではなく、とあるものを差し出す。
 そして、それを見たダナの目が大きく見開かれるのであった。
ついにダナと女性陣が接触しました。
この後はどういう展開になるのか。
・・・・・・え? 神具? 勿論忘れていませんよ。
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