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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(11) リラアマミヤ

クラウン名決定!

本日2話投稿の2話目になります。読み飛ばしにご注意ください。
「・・・千人超えた・・・!?」
 第五層の村を訪れていた考助は、ガゼランからの情報にいささか呆然としてしまった。
 その考助に、ガゼランは苦笑を返した。
「登録待ちの奴らを入れると、その倍はいるだろうな」
 何の数かというと、クラウンに登録した冒険者の数である。
 登録待ちがいるのは、クラウンカードの生産数が登録者数に追い付いていないためだ。
 そう言った者達には、暫定のカードを渡して対応している。
 最近考助は、ほとんど第五層へ来ていなかった。
 その間に、冒険者の登録者数が予想をこえた数になっていたのだ。
「シュミット、資金の方は大丈夫?」
 考助が、増えた冒険者の数を聞いて真っ先に心配したのが、資金の問題だ。
 人が増えれば、当然動くお金も桁違いになっていくのだ。
「ええ。幸いにして、カードの発行数の問題がありますからね。一気に数が増えるわけではないので、対応は可能です」
「そうか。よかった」
「ええ。今後も問題ないでしょう。それ以上に、入ってくる資金の方が大きいですね」
 要するに、商売の方がかなり順調に行っているということだった。
 現実に、クラウンが抱える商人の数もトップクラスのものになっている。
「工芸部門の方も順調・・・と言いたいですが、はっきり言えば、人手が足りませんな」
 現在の第五層の村は、活動している人間の数からすれば、既に村という規模を脱して町と言っていいような規模になっている。
 それに対して、建物の数がどうしても追い付いていないのである。
「見習いの数を増やして、何とか対応していますが、需要に追いつくのはもうしばらくかかるでしょうな」
 既存の工芸ギルドからのクラウン加入もあるのだが、それでも建築が追い付いていないのが現状である。
 あぶれている冒険者たちは、テント暮らしになっているのだ。
 ちなみに、街に定住を希望(家を購入)する者達から優先的に、住居を振り分けている。
 住居は、賃貸と売家の両方を用意している。
 売家の方は、家の売却料と土地からの賃料がクラウンの収入となっている。
「そうか・・・それで? 今一番の問題は?」
 考助の質問に、三人が顔を見合わせて、真っ先にこう言った。

 早くクラウン名を付けてくれ(ください)、と。

 流石にここまで規模が大きくなると、名前なしではまずいだろということだ。
 手遅れかもしれないが、クラウンという名前のギルドだと勘違いするものが出てくる始末なのだそうだ。
 三人のほとんど懇願、と言っていい希望に、考助はため息をついた。
 いい名前が思いつかないので、先延ばしにしてきたが、流石にそろそろ決めないと駄目だと思ったのである。

「それじゃあ・・・『リラアマミヤ』はどう?」
「リラアマミヤ、ですか? ・・・どういう意味でしょう?」
 聞いたことがない言葉に、シュミットが首を傾げている。
 他の二人も同じような表情である。
 アマミヤというのは、塔の名前になっているのは知っているが、意味までは知らないのだ。
「うん。まあ、造語なんだけど。リラは安らぐとか寛ぐとか言う意味で、アマミヤは空にある城とかいう意味、かな?」
 要するに、クラウンメンバーにとって安心できる場所というような意味で付けたつもりである。
 その説明を聞いた三人は、しばらくの間口の中でつぶやいたり、考えたりしていた。
「うん。まあ、いいんじゃね?」
「そうですね」
「私も同感ですな」
 というわけで、この場でクラウンの名前は『リラアマミヤ』に決定したのである。

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「そう言えば、建築用の資材は足りてるの?」
 建築ラッシュなのはいいが、資材が足りないのでは、話にならない。
 ちなみに、街で作られてる建物の主要な建材は、木材になっている。
「今のところ、近場に林がありますから、そこからの供給で間に合ってますな」
「今のところ・・・ね」
「はい。今のところ、です。今のペースが続くのであれば、確実にこの層の林はなくなってしまうでしょうな」
「今って、植林とか考えて伐採しているの?」
「当然です。とは言え、樹木というのはどうしても成長に時間がかかりますからね」
 ダレスの言葉に、シュミットが付け加える。
「幸いにして、ナンセンからの木材が安く手に入りますので、今のところは問題ないでしょう」
 ナンセンは鉱山の麓の街なだけあって、木材は豊富に手に入れることが出来る。
 もともとナンセンでは、木材は供給過剰だったのだが、リラアマミヤからの仕入れでだぶついた在庫がはけたと喜んでいるそうである。
 追加の注文も出してあるので、停滞気味だった木材業界はにわかに活気じみているとのことだった。
「いずれは、ナンセンからの入荷が増える予定なので、さすがにこの層の林が無くなることは無いかと思います」
「それ、ナンセンの方は大丈夫なの?」
「あそこは、元々周辺の木が多すぎて、時々山火事が発生するほどなんですよ。だから在庫がだぶつくと分かっていても、伐採はしないといけないくらいだったんです」
「それが、ここからの注文ではけた、と」
「それだけではなく、街周辺の森林も適度に伐採が出来ると喜んでいるでしょうな」
 シュミットの言葉に、ダレスも同意した。
「なるほどね。じゃあ問題ないか」
「あるとすれば、ナンセンの商業ギルドと問題が起こる程度ですが、まあ、大丈夫でしょう」
「え・・・!? 大丈夫なの、それ?」
「どこの世界でも、ぽっと出の新規組織は睨まれるものですよ」
「ああ、そういう事」
 出る杭は打たれるということだろう。
 そもそもどこの誰にも睨まれずに活動するのは無理だと分かっていたので、考助もそれに関しては特に問題視しないことにした。
「まあ、苦々しく思って食い込もうとする輩は、これからいくらでも出てくるでしょうがね」
 シュミットは、苦笑しつつそう答えた。
 どう考えても、セントラル大陸で今一番勢いがある組織は、リラアマミヤである。
 その組織に取り入ったり、あるいは手に入れようとする組織が出て来るのは、当然と言えば当然だった。
「それはそれで問題だと思うけど?」
「こればかりは、どうしようもありませんね。どこからも文句を言われないくらいの組織になるしかありません」
 そもそも商売というのは、独占しない限りは、敵対組織というのは出てきて当たり前の世界なのだ。
「加えてリラアマミヤは、商業部門だけでなく、冒険者部門も抱えていますからね。力で脅してくる愚か者はいないでしょう」
 他の大陸はともかくとして、セントラル大陸では、国家というものが存在していない。
 しいて言えば、都市国家という物になるのだろうが、軍事という点で見れば、せいぜいが貴族が抱えている街の治安を守る部隊くらいだ。
 街の防衛と言えば、魔物たちからの防衛になるので、他の都市を攻め入るなんてことは、最初から考えられていない。
 その魔物たちからの防衛の最前線に立つのは、治安部隊ではなく、冒険者たちになるのだ。
「ここまでの大きさになってしまえば、いざとなったら利用することを考えるやつはいても、脅してくる馬鹿はいないだろうぜ」
 そう言って笑ったのはガゼランである。
 千人という人数の冒険者を抱える組織を無視できるものは、この大陸にはいないだろう。
 ましてや、さらにその人数が増えるのは確実なのだから、ガゼランの言葉も当然と言える。
 冒険者たちにとって、クラウンカードという物がいかに衝撃的な物だったのかがよくわかる結果だ。
 既にこの時点で、リラアマミヤを無視できる組織は、このセントラル大陸では存在しない程の規模になっているのであった。
 ついでに言えば、リラアマミヤというきちんとした名前が決まったことで、その名前は大陸中に広がっていくことになるのであった。
リラは、リラックスから来ています。
アマミヤは、そのまま天宮ですね。天の宮殿・・・。
・・・相変わらず安直な命名ですみません。

2014/5/11 誤字脱字修正
2014/6/14 誤字訂正
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