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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(10) エセナの成長

本日2話投稿の1話目です。
 予定通り第七十三層に<階層合成>を行うために、しばらくの間は余計な神力は使わずに過ごした。
 そのおかげで半月も経たずに神力が貯まったため、早速<階層合成>を行うことにした。
 初めて行うことなので、念のためエルフの皆様方には階層の中央にいてもらうことにしてもらう。
 結合を行う層は、既に第十一層に決めていた。
 理由は単純で、エルフ達が管理しやすい森林がある層だからである。
 あとは、第七十三層が中級層なので、下級層を隣につけた場合、モンスターの移動がどうなるかの確認も含めている。
 <階層合成>の実行自体はすぐに終わった。
 まあ操作自体は、対象の階層を選んで四辺のどこに付けるか選ぶだけなので、大した手間ではなかった。
 問題は、実際の合成が行われた階層がどうなっているのかが問題なので、操作が終わってすぐにコウヒを伴って第七十三層に向かった。
 結論から言えば、地震などが起きるなどの大きな変化は、全くなかったとのことだった。
 コレットが第七十三層側に待機していたのだが、考助達が来るまで全く普段通りだったということだ。
 普段通りすぎて、考助達が来るまで<階層合成>したとは、全く気付かなかったとのことだった。
 実際に広くなっているかどうかは、これから確認しなくてはならないことなので、それはエルフの方々に任せて、考助達は管理層へと戻った。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 世界樹に<階層合成>の影響がどう出るかは不明だったので、数日間は通常営業に戻っていた。
 といっても、取り立てて建物を建てたり、設置物を設置したりするようなこともなかったのだが。
 考助自身は、神具の開発をしたりして、それなりに忙しい時間を過ごしていたのだが、変化は向こうからやってきた。
 管理層のソファーでうたた寝をしていた考助を、ゆさゆさと揺らす者がいたのである。
「・・・兄様。・・・コウスケお兄様。起きてください・・・」
「・・・・・・・・・ンー・・・?」
 自分の名前を呼ぶ声と揺れで目が覚めたのだが、自分を揺らして起こした者が誰か分からなかった。
 いや、顔だけを見れば、それが誰かはすぐに分かったのだが、まだ半分寝ぼけていたのと以前の面影を残した顔以外の大きな変化に、気付けなかったのである。
「ん・・・? ・・・え? あ、あれ・・・!? も・・・もしかして、エセナ!?」
「はい。正解です」
 目の前の少女はそう言って、ニッコリと嬉しそうに笑った。
 考助は、思わずまじまじとエセナを見つめた。
 前に見た時は、せいぜい五歳くらいだったのが、ぐっと成長して十二、三歳くらいまでなっている。
 以前の面影はあるのだが、断然大人びている。
 ようやく脳の処理が追いついてきた考助は、思わずソファーから立ち上がり、以前していた様にエセナの頭を撫でた。
 当然ながら背丈も伸びているが、流石に考助をこえるほどではなかった。
「うわー。すごいな。ここまで変化したのか・・・!」
 頭を撫でられているエセナは、気恥ずかしそうに頬を赤く染めて考助を見上げたが、特に止めるでもなく撫でられるままにされていた。
「はい。流石に倍というほどではありませんが、地脈が増えたおかげで、聖力もかなりの量が増えました。おかげで世界樹もかなりの成長が出来ました」
 以前は明らかに幼子といった口調だったが、今は完全に大人びたものになっている。
 なにより、こちらに伝えてくる内容が、分かり易いものになっていた。
「へー。そうなんだ。・・・っと、ごめんね。ちょっと気易かったかな?」
 そんなエセナの変化を見ながら、以前のような子供ではないことに気付いて、頭を撫でるのをやめた。
 エセナは、その手を名残惜しそうに見ながら続けた。
「あっ・・・。い、いえ。大丈夫です。・・・もしよろしければ、もっとでも・・・」
 最後の方は呟きになってしまって、考助の耳には届かなかった。
「・・・ん?」
「い、いえ・・・何でもありません」
「そう?」
 首を傾げた考助に、エセナがコクリと頷いた。
 どことなく残念そうな表情を浮かべていたのだが、考助はそれには気づけなかった。

 そんなわけで、成長したエセナと対面した考助であるが、二人に気付いたコレットが歩み寄ってきた。
「コレット・・・気づいていてたら教えてくれてもいいのに・・・」
 思わず恨み節を言った考助だったが、これにはコレットも反論した。
「無茶言わないでよ。私もエセナが成長したのに気づいたのは、今よ?」
「え? そうなの?」
 思わず考助は、エセナの方を見た。
「あ・・・は、はい。今までは、流れ込んできた力を制御するのに忙しかったですから。何とか安定してきたので、すぐにこちらに来ました」
「そうなんだ」
「・・・なんか、納得いかないわね。まあ、いいけど」
 エセナの言葉には素直に頷く考助に、コレットは何となく不満顔を見せた。
「それはともかく、調子はどう?」
「はい。先ほども言いましたが、今は安定しています。広くなった所が森林だったのも幸いしています。流れがきちんと整うのもそうは時間がかからないかと思います」
「なるほどね。後は、土地の調整ね」
「はい。そうなります」
 二人の会話の内容は、考助には何となくしか分からないが、とりあえず順調だということはわかった。
「世界樹・・・エセナの方は、今のところ問題ないのは分かったけど、エルフ達の方はどうなの?」
「一応、追加になった場所の調査はしているみたいだけど、まだ結合してから数日だし調査は終わってないとおもうわよ?」
「まあ、それはそうか」
 例えモンスター同士の流動が起こってたとしても、結果がわかるまでもうしばらくかかるということだった。
 それに関しては、影響が出てくるのは、結構な時間がかかると思った方がいいだろう。
 あるいは、何も変わらないということもあり得るのだ。

「ところで、さっき森林だったのが良かったって言ってたけど、これからも追加するのは、森林地帯のほうがいいの?」
 考助の疑問に、コレットはエセナの方を見る。
 見られたエセナは、しばらくの間考え込んでいた。
「・・・微妙な所です。単純に私の力をあげるだけなら森林地帯だけでもいいでしょうが、多様性を考えると他の環境も入れてもいいかと思います」
 エセナの返答に、彼女の成長を嬉しく感じつつ、考助は疑問をエセナにぶつけた。
「いきなり他の環境の階層をつけるとまずいの?」
「いえ。いきなり私が枯れるといったことは無いですが、その環境の地脈の力に慣れるまで時間がかかってしまいます。そうなると当分は、今のように動けないです」
「なるほどね」
「出来れば、森林の階層を増やして力を付けてから、他の環境を増やしてもらえると適応しやすいと思います」
 エセナの明快な解答に、考助とコレットは感心したように頷いている。
「・・・てか、コレットまで頷くんだ」
「それはそうよ。そもそもこんな急激に環境が変わるなんてこと、自然では起こらないのよ?」
 言われてみれば、その通りである。
 閉じた世界(階層)だった場所が、いきなり倍の広さになったのだから、どんな変化が起こるかわからない。
 ただ、世界樹という存在がある以上は、ある程度安定しているとも考えていいだろう。
 間違いなく階層の中心(物理的な意味でない)には世界樹が存在しているのだから。
「どっちみち<階層合成>は、神力が貯まるまではできないから、しばらくは今のままで様子を見ようか」
「そうね」
「わかりました」
 考助の結論に、コレットとエセナが頷いた。

「・・・それにしても・・・」
「なんでしょうか?」
 不思議そうな顔をしてエセナを見た考助に、エセナが首を傾げた。
「いや、ずいぶんと大人びて美人になったなぁ、と思ってね」
「そ・・・そうですか? ありがとうございます」
 突然の考助の言葉に、エセナは頬を染めて俯いた。
 考助はそれを見て、ちょっときざったらしい台詞だったかな、などと考えていただけだったが、傍でそれを見ていたコレットは、隠れてため息を吐いていた。
 ヒューマンの感覚で言えば、以前の自分はかなりの鈍感だったと、今でこそ自分でも理解できているが、考助も大概だと思ったのであった。
2話目は20時投稿になります。

2014/5/11 階層結合→階層合成
2014/6/14 誤字訂正
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