挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第7章 塔のあれこれ(その14)

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

725/1254

(4)ミク

 考助に結婚の報告をしたトワだったが、すぐに式を挙げられるわけではない。
 何しろ、一国の王の結婚式だ。
 内外から大勢の客が来るため、その準備をしなくてはならないし、何よりも出席の可否の打診をしなくてはならない。
 ある程度の客の数は見積もりが取れるにしても、正確な数をその返事で把握したうえで様々な用意を行うのだ。
 とてもではないが、正式発表をしたからといってひと月やそこらで用意ができるわけはない。
 一般の者たちでも式を挙げる際には、手間暇をかけて準備をすることを考えれば、一国の王の結婚式ともなれば、大勢の人間が動き回ることになる。
 ラゼクアマミヤという国家にとっても一大行事となるのだ。

 そんな感じで、当然のように準備期間が設けられているため、考助にとってはトワの結婚よりも先に重大行事がやってきた。
 ピーチの出産である。
 何度経験しても落ち着かないときを迎えていた考助だったが、今回はさほど待たされずに報告が来た。
「お兄様、無事に生まれました。女の子です」
「そう。女の子か。よかった」
 そう安堵のため息を吐いた考助は、笑顔になって周囲を見回した。
 そこには、当然のように普段管理層にいるメンバーたちが勢ぞろいしている。
 最近はエルフの里で子育てをしているコレットも、ピーチが産気づいたと連絡をもらって管理層へと来ている。
 そのコレットの双子は、それぞれシルヴィアとシュレインに抱かれていた。
 彼女たちも無事出産の報告に、安堵と喜びの表情になっている。
 ここにいる半分以上が、出産経験者である。
 その大変さも喜びも当然のように知っている者たちなのだった。

 喜ぶ考助を見ていたミアが、ふと思い出したように考助を見た。
「そういえば、もう名前は決めてあるのですか?」
「うん。勿論だよ。でも、まずはピーチの前で最初に発表ね」
 当然といえば当然の考助の言葉に、ミアも特に何も言わずに頷いた。
 名前を決めるのが苦手な考助だが、自分の子供たちの名前は事前にしっかり準備したうえでつけている。
 さすがにコレットのときの双子の場合は危なかったが、二人が男の子と女の子の双子だったために焦らずに済んだ。
 どちらの性別が生まれてもいいように、考助は毎回二種類の名前を考えているのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 管理層にはコウヒだけを残して、全員でサキュバスの里を訪ねる。
 第五層の街と違って、管理層メンバーが大挙して訪ねても騒がれにくいからこそできる芸当だ。
 勿論、まったく騒がれないわけではないが、その辺はサキュバスたちもわきまえている。
 さらに付け加えれば、ピーチの妊娠はすでに里中に広まっていて、考助たちが訪ねてきた理由にもすぐに察しがついたようだった。
 遠巻きに考助たちを見守るだけで、何かを言ってくるようなことはしてこなかった。

 ピーチが出産のために滞在している屋敷は、里の長であるジゼルが普段住んでいるところになる。
 さすがに長の屋敷だけあって、大勢で押しかけても全員が入れるだけの部屋はある。
 ただし、さすがに全員で出産を終えたピーチのところに押しかけるわけにも行かないため、最初は考助とミツキだけでその部屋を訪ねた。
「お疲れさま、ピーチ」
 考助がそう呼びかけると、ピーチのそばで話をしていた助産師は、すっと身を引いた。
 そして、呼びかけられた本人であるピーチは、考助がこれまで見たことのないような笑顔を浮かべて笑った。
「ありがとうございます~」
 こんなときでも変わらない態度のピーチに、考助も笑顔になる。
「疲れているみたいだけれど、元気みたいだね」
 矛盾しているような言い方だが、ピーチのその顔にはまぎれもなく充実した何かが浮かんでいる。
 ピーチは、その言葉には特に言葉では返事を返さなかったが、再びニコリと笑顔を浮かべるのであった。

 そんな考助とピーチのもとに、助産師が生まれたばかりの赤ん坊を連れてやってきた。
「おー。この子がピーチの子供か」
「あなたの子供でもありますよ~」
「勿論、わかっているよ」
 すでにピーチは対面を果たしているのだろう。
 助産師から子供を渡されたピーチは、すぐに考助へと抱くように言ってきた。

 ピーチから子供を受け取った考助は、慣れた感じで子供を抱いている。
 八人目の子供ともなると、さすがの考助も慣れたものである。
「うーん。全体的にはちゃんとピーチに似ているかな? 将来は美人になりそうだね。僕に似なくて、よかった」
 子供の顔をじっくりとみてそういった考助に、ピーチは苦笑を返す。
「いくらなんでもそれはないですよ~。口元なんかは、コウスケさんにそっくりじゃないですか~?」
「そうかな?」
 できることならピーチに似て美人になってほしいと思って言っていた考助だが、ピーチから言われるとそんな気もしなくもない。
 そんなことを考えている考助は、早くも親バカがさく裂しているようだった。

 考助が子供との対面を果たしたあとは、皆への顔見せになる。
 子供は考助が抱いて、ピーチは念のためミツキに支えられながら他の者たちが待っている部屋へと向かった。
「みんな、お待たせ」
 考助がそう言いながら部屋に入ると、その場にいた全員の注目が集まった。
 当然、その視線の先は考助の抱いている子供にある。
「お~。これは将来が楽しみじゃの」
 そう言ってきたシュレインを筆頭にして、他のメンバーたちも口々にいろいろな感想を言っていく。

 感想が一巡したところで、考助は子供を抱いたままピーチを隣に立たせた。
「それじゃあ、名前を発表します」
 いったん言葉を区切った考助は、今一度全員を見回してからさらに続ける。
「この子の名前は、ミクと名付けます」
 考助がその名前を発表すると、ぱちぱちと拍手が起こり、それぞれが思い思いのやり方でその名前を口にしていた。
 中でも隣に立っていたピーチは、一度その名を口ずさんでから考助の抱いている赤ん坊の頬へと手を差し伸べた。
「ミクちゃん、これからよろしくね~」
 その言葉に反応したのか、それともピーチの手の感触に反応したのか、ミクがダーッと声を発した。

 簡単に挨拶を済ませたあとは、ピーチとミクは大事をとって部屋へと戻って行った。
 残った考助たちは、ジゼルに導かれるままに宴会に参加することになった。
 いつの間に用意したのか、考助たちが宴会場を訪ねるとそこにはサキュバスの主だった者たちが集まっていた。
 考助たちが現れると拍手で迎えられる。
 そして、幸助が生まれた子供の名前を紹介したあとは、完全にただの飲み会に変貌した。
 当然酒の肴になっているは、ピーチだった。

 各所から聞こえてくる「まさか、あの娘が」という声に、考助は首を傾げる。
「そんなに不思議なことなのかな?」
 その考助の声を拾ったジゼルが、苦笑しながらこういった。
「昔のピーチを知る者たちなら、みな同じ感想を持つでしょうな。かくゆう私も同じですから」
「ふーん。まあ、そんなものか」
「ついでに酔った勢いでいわせてもらえれば・・・・・・」
 まったく酔ったようには見えない顔でそう前置きをしたジゼルは、こう続けた。
「コウスケ殿と出会ってすぐに里に戻ってきたピーチを見たときの衝撃は、今でも忘れられませんな」
 しみじみとした表情でそういったジゼルを見た考助は、それ以上は何も言わなかった。
 必要ならばジゼルから語るだろうし、そうでないのなら聞く必要はないと思ったためである。
 そんな考助を見ながらジゼルは、それ以上はなにも言わず、ただジッと考助を見つめてくるのであった。
ピーチの子供が誕生しました。
名前はミクです。
某青い髪の人じゃありませんw
視来ミクちゃんです。
漢字からなんとなく能力がわかりそうな気もしますねw
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ