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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 塔の地脈の力を使ってみよう

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(8) 精霊(2)

精霊さん話続きです。
 コレットとシェリル、それにドリーの三人(?)で精霊を集めるような設置物を探しているのだが、その作業は難航を極めていた。
 ちなみにワンリは、考助の膝の上で「精霊さん~、精霊さん~」と自作の歌を歌っている。
 そもそもコレットやシェリルが知っている精霊を集めるような道具が、塔の管理メニューの設置物として出ていたわけではない。
 最初は、思い当たるような物がないかどうかを探していたのだが、どうにも見当たらなかった。
 だったらいっその事、精霊を喜ぶ自然物(代表例が世界樹)を設置しようとしたのだが、そもそもエルフ二人やドリーが植物系に知識が偏っていた。
 結局のところ、世界樹に勝る物はなく、更に付け加えるならドリーの樹をこえるような物も無かったのである。
 ある意味で、精霊の上位存在である(コレットに聞いた)妖精が宿っている世界樹やドリーの樹をこえる物が無いのは、当然なのである。
 いっその事、自然そのものを精霊の住みやすいところに変えたらどうか、という意見も出たのだが、残念ながらそんな神力は集まっていなかった。
 コレットやシェリルに聞いてもらったが、精霊の望み通りに環境を作り変えたら、消費する神力がとんでもないことになりそうだったのだ。
 部分部分だけ作り変えてもあまり意味がないと言われたので、地形全体を変えることは諦めるしかなかったのだ。
 その後もどうしたらいいのかと、話し合ったのだが、結局良い意見も出ることはなく、今回は解散ということになった。

 その日の夜。
 全員がそろった夕食の席で、意外な所から意見が上がってきた。
「そういう事なら、シルヴィアの意見を聞いてみてはどうかの?」
 そう言ったのは、シュレインだった。
「・・・え!? 私?」
 言われた当人は驚いていたが。
「うむ。そもそもヒューマン共の信仰の元になっているのは、エルフと同じ精霊信仰であろ?」
「そ・・・そうですが、そもそも現在の神殿は完全に、実際に現れたことのある神の教示をもとに発展していますわ。精霊に関しては、エルフに勝るとは思えませんわ?」
「・・・ああいや、そう言ったことではなく、力の質のことだの」
「ああ、なるほど~」
 シュレインの言葉に、ほとんど全員が首を傾げたが、ピーチだけが納得していた。
「ええっと、どういう事?」
 代表してコレットが、二人に聞いた。
「コレットの精霊を使う力とシルヴィアの使う力は、同質の物であろ?」
「確か、神殿の教えの一つに『聖力は精(霊)力に通ず。その逆もまたしかり』とかいう物がありませんでしたか~?」
 シュレインの説明に、ピーチが更に付け加えた。
 言われたシルヴィアが、頷いた。
「・・・確かに、その教えはありますわ。・・・けど、それが今回の話とどうつながるのか、わかりませんわ?」
 そもそもの話は、ワンリのいる階層に、精霊を増やしたいという話である。
「コレット、そもそもの世界樹の役割とは何だったかの?」
「それは勿論、地脈の力を整えて・・・そういう事ね!」
 問われたコレットが、突然納得したように頷いた。
「・・・どういう事ですの?」
 シルヴィアは相変わらず首を傾げている。
 ちなみに、これらのやり取りを聞いている考助は、完全に蚊帳の外になっていた。
 コウヒやミツキは、こういう時は口を挟むことはしない。
「世界樹の傍に精霊たちがたくさん集まっているのは、勿論エセナがいるからっていうのもあるんだけど、それだけじゃないのよ」
 コレットの言い分は、こういう事であった。

 そもそも世界樹の妖精が、気軽に姿を現しているのは稀なことであり、そもそもたとえ世界樹の巫女であっても見ることは無い。
 元世界樹の妖精であるドリーは、以前はシェリルの前に稀に姿を見せていたが、これは特異な例である。
 コレットも全てを知っているわけではないが、この世界において世界樹は何本か存在しているのだが、それでも世界樹の妖精が出てくるという話は、聞いたことが無かった。
 話がそれたが、そもそも世界樹の役割とは、地脈の流れを整えることだ。
 地脈とはすなわち、精(霊)力の流れそのもののことであり、精(霊)力そのものと言ってもいいだろう。
 世界樹はその流れの交点(中心)に存在して、その力を吸い上げることにより、精(霊)力の流れを作っているのである。
 精霊とは、精(霊)力のことである。
 それ故に、世界樹のあるところでは、精霊が集まっている。
 さてそこで問題なのが、地脈の交点に存在しているのが世界樹だけかというと、そういうわけではない。
 それが何かというと、神殿である。
 精霊信仰のあった神殿は、古来より精霊の多く集まる場所に建てる物であった。
 精霊が多く集まるということは、必然的にそこが地脈の交点になっているということになる。
 何故なら地脈の交点が、精(霊)力の集まっている所であり、精霊が発生しやすい場所なのだ。
 とは言え、精霊は発生しただけでは、その場に留まることはほとんどない。
 流れに沿って、世界中に漂っていくだけである。
 それを留める役割をするのが、世界樹でありまた神殿なのだ。
 精霊が発生する場所に『物』が存在していれば、それだけ精霊が留まりやすくなるのだ。
 神殿はただの人工物なので、世界樹のように精(霊)力を吸い上げると言った役割はないが、精霊を留めると言った役割は果たすのだ。
 余談ではあるが、現在の神殿で聖地と呼ばれている場所は、同時に精霊が多くみられる場所でもある。
 その他の昔から存在している神殿も地脈の交点の上に存在しているのだが、その多くは人の多く住む都市となっているので、精霊が姿を現すことはほとんどない。

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 コレットの説明を聞き終わった考助は、納得したように頷いた。
「要するに、地脈の交点になるところに、何かが存在していればいいってことかな?」
「まあ、極論を言えばそうなんだろうけど・・・いえ、精(霊)力と対になっている魔力をため込むようなものは駄目ね」
「なるほど。だから、シルヴィアなのか」
「そういうことだの」
 シュレインやピーチが使っているのは、魔力である。
 当然それに関連した道具や建物も魔力関連の物なので、目的には向かない。
 この場合は、聖力に詳しいシルヴィアが適任になるのだ。
 その肝心のシルヴィアは、今までの話を呆然として聞いていた。
「・・・・・・そんな話、神殿では見たことも聞いたこともありませんでしたわ」
「そうであろうの。そもそも精霊信仰をしていたころの話だからの」
「・・・なぜ、シュレインさんは、この話を知っていたんですの?」
 シュレインは、迷うことなくこの話を口にした。
 最初から知っていたとしか思えないのである。
「吾らの一族と神殿の過去を考えれば、わかるのではないかの?」
 シュレインの寂しそうな口調に、シルヴィアはハッとした表情になった。
 かつて神殿は、吸血一族を魔の者として対峙していた頃がある。
「ごめんなさいですわ」
「気にするな。もうそのことは、過去のことと割り切っているでの」
 そういって笑ったシュレインに、シルヴィアは頭を下げた。

 何となく微妙な空気になったので、それを切り替えるように考助がシルヴィアに向かって言った。
「というわけだから、後で何を建てればいいか教えてね」
「わかりましたわ。と言っても、特に今建てている物から変える必要はないと思いますわ」
「・・・え!? どういう事?」
「どういう事も何も、私達のような者にとっては、神殿も神社も役割としては同じものですわ。ですので、話を聞く限りでは、後は地脈の交点の上に、神殿なり神社を建てればいいだけですわ。あとはきちんと管理さえすれば、いいのですわ」
「・・・地脈って見ること出来るの?」
 自信なさげに、考助が何となく一番詳しそうなコレットを見た。
 見られたコレットは、首を左右に振った。
「流石に私じゃ無理よ。せめてハイエルフくらいじゃないと。でも、わざわざあの人たちを連れてくるまでもないわ」
「なぜ?」
「もっとはっきり見れる人が近くにいるから」
「・・・・・・誰?」
「エセナに決まってるじゃない」
 コレットの一言に、一同納得したように大きく頷いたのである。

 結局、第八層で地脈が交点になっている場所をエセナに探してもらうことは、簡単に終わった。
 何しろ考助がエセナに、一番力が集まってるところがどこか聞くと、一直線にその場所へ向かって行ったのだ。
 問題は、その場所をどうやって管理画面の地図上で見分けるかということだったのだが、交点の四隅にマーカーを置くことによって解決した。
 ある程度の大きさの人工物を置くと、その上には建物を建てることが出来ないので、それを利用した。
 それでも位置を調整したり、大きめの神社を置くことにしたので、マーカーを広げたりと色々作業はあったのだが、それ以外は特に問題もなく神社の設置は終わったのであった。
というわけで、神殿と精霊の関係に関しての話になりました。
聖力=精力(精霊力)ということになります。
聖力と魔力の関係に関しては、また後ほど語ることもあるかも知れません(ないかもしれませんがw)。

ちらりと今回の話で出してますが、神殿側は魔力を使う者と対峙していましたが現在はそんなことはしていません。聖力と魔力は、対であって、決して敵対的な関係ではないということになります。
(ここで語ってどうする、って感じですねw)

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どうもありがとうございます。
少しでも皆様に楽しんで読んでいただければと思います。
これからも作者も楽しんで書いていきたいです。

2014/5/11 神社の設置場所を第八層へ変更
2014/6/14 誤字訂正
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