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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第6章 ガゼンランの塔再び

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(5)情報

 ギルド長の部屋を出た考助たちは、そのままシルヴィアたちのところへ向かうのではなく、闘技場へとむかった。
 シュレインがどんな戦いが行われているのか、興味を示したためだ。
 というよりも、シュレインの目的は、もともと闘技場での戦いを見ることだ。
 考助としても特に反対する理由はなく、三人で揃って闘技場へと入ることになったのである。

 セイチュンの闘技場ギルドでは、常に何かしらの戦いが行われている。
 中にはコウヒがこの闘技場で行ったように、ランクを決めるための戦いが行われていることもある。
 三人が闘技場に入って目にした戦いは、丁度そのランキングを決めるための戦いだった。
 しかも、BクラスからAクラスへの昇級を掛けたものだったため、闘技戦に熱心なファンが詰めかけてそこそこ座席も埋まっているほどだった。
「ふむ。これがセイチュンの闘技戦か。確かに観客の熱心さは凄いの」
 昇級をかけた戦いのため、賭け自体は行われていない。
 それにもかかわらず、これだけの人数が入るのは、それだけ闘技戦の人気が高いことを示している。
「そうだね。戦いそのものを見に来ているのか、それとも応援している闘技者を見に来ているのか、人によって違いがありそうだけれど」
「それは、どんなことでもそんなものじゃろ?」
「確かに」
 たとえ目的がどんなことであっても今この場に来ている者たちのほとんどは、本当に闘技戦が好きで来ているというものたちだ。
 勿論、中には次回の賭けの為に闘技者の調子を見に来ている者もいるだろう。
 だが、そう言った者たちも、ただ単にその場で賭けをして見に来る者とは違った闘技のファンといえる。

 考助たちの視線は、今度は戦いを見ていた観客から実際の戦いへと移っていった。
「ふむ。これはAランクの昇級の戦いという話じゃが・・・・・・。冒険者のBランク程度の力はありそうかの?」
 シュレインが基準にしているのは、あくまでもクラウンの冒険者部門でのランクが基準になっている。
 付け加えれば、対モンスターと対人戦では戦い方そのものが全く違っているので、あくまでも参考程度でしかない。
「そうなのかな?」
 対する考助は、首を傾げている。
 これは、そもそも考助自身が昇級試験をまともにせずにどんどんとランクが上がっていったせいもある。
 ガゼランの肝いり(?)でどんどんとランクが上がった考助コウは、他の冒険者がどの程度の強さなのかをまともに見たことが無いのだ。
 勿論、何度か護衛任務で一緒になったり、リクの強さを見て大体は分かっているが、それも偏った情報といえる。
 ちなみに、シュレインが考助よりもまともな情報を持っているのは、サキュバスが外に出てやり取りをすることになった際に、その辺のこともしっかりと把握したためである。
 首を傾げる考助に、じっと戦いを見ていたコウヒが助言をしてきた。
「主様。大雑把にですが、BランクとCランクの境目は、相手が魔法を使うに対処できるかどうかが基準になっています」
「んー・・・・・・ああ、なるほど」
 コウヒに言われて改めて戦いを見直した考助は、確かに挑戦者が相手の魔法を使う前にそれを打ち消そうとしたりしていることに気が付いた。
 勿論、相手が魔法の熟練者になるとそれさえもさせてもらえないのだが、今回はあくまでも昇級戦の為、お互いに打ち消し合っている状況になっている。
 これが、どちらかが魔法専門になると、また違った戦いが見ることができる。

 三人でそんなことを話していると、丁度行われていた戦いが終わった。
「ふむ。派手な戦いではないが、確かに見ごたえはあったかの?」
「そうだね。まあ、これが実際の闘技となったらもっとすごかったけれど」
「そうじゃろうな」
 考助が前にここで見た闘技は、コウヒとハルトヴィンの戦いだった。
 昇級戦と比べるのはそもそも間違っているのだが、残念ながら他の二人もそれには気が付いていない。
 そして、そんな三人の会話に混ざってくる者がいた。
 今考助たちがいるのは、ランカーたちが特別に入れる場所だ。
 そうした場所を設けないと、ランカーたちは観客たちにもみくちゃににされてしまう。
 限られた者しか入れない場所なのだが、当然ながら他のランカーたちは入って来ることができる。
「随分とまああっさりと言ってくれるね。Aランクの昇級ともなれば、見ごたえがあるとそれなりに人気があるんだがね」
 その声に、考助たち三人は驚きもせず、ゆっくりと振り返った。
 考助たちに言葉をかけたのは女性だったが、その他にも二人の闘技者がその場所に立っていた。

 声をかけた女性はカルメンで、後の二人はハルトヴィンとジアーナだった。
 三人とも以前にコウヒが関わりを持った者たちである。
「まあ、普段からコリーの戦いを見ている奴からすれば、確かに今の戦いは物足りないだろうがね」
「比べるものが間違っているな」
 続けられたカルメンの言葉に、ハルトヴィンがきっぱりと断言した。
 確かに普通の感覚で言えば、コウヒの戦いがおかしいのであって今目の前で行われていた戦いで、観客は十分に盛り上がることができる。
 少なくともセイチュンの闘技場では、そちらの方が正しい基準なのだ。
 考助たちにしても、コウヒが突き抜けているのは十分に理解している。
 ついでにいえば、コウヒと同格に戦えるミツキという存在もいたりするのだが、そんなことはわざわざ言ったりしない。

 三人が近づいてきたのを見て、コウヒが一瞬だけシュレインを見たあと、一歩前に出た。
「お久しぶりです。何かございましたか?」
 その相変わらずの態度に、三人は顔を見合わせて苦笑した。
 続けて、代表してハルトヴィンが答えた。
「何。懐かしい顔が久しぶりに来たというから、旧交を深めに来ただけだ」
「ついでにいえば、二位のいけ好かないやつの情報を漏らしに来ました」
 単刀直入なジアーナの言葉に、カルメンとハルトヴィンが揃って苦笑した。
 闘技者同士の交流は珍しいことではないが、こうまではっきりと情報を漏らすと宣言をするのは珍しい。
 ましてや、ジアーナはもともとそんなことをするような人間ではない。
 それだけジアーナは、ランク二位のイーザクに含むところがあるのだ。
 もっとも、ハルトヴィンやカルメンも大なり小なりイーザクに対して思うところはある。
 だからこそ、コウヒが闘技場に姿を見せたという話を聞いて、こうして話をしに来たのだ。

「イーザクの情報ですか。何かあるのですか?」
 コウヒの言葉に顔を見合わせた三人だったが、代表してハルトヴィンが話し出した。
「あれは、間違いなく魔道具使いだな。今のところ証拠らしきものはつかめていないが」
「下手をすれば、複数使っているだろうね」
 ハルトヴィンとカルメンの言葉に、コウヒが興味を示したような視線になった。
「まあ、以前の俺と同じようなもんだと思えばいい」
 そんなことをいったハルトヴィンに、カルメンとジアーナが顔をしかめながら反発した。
「冗談じゃない!」
「あんなのと一緒にしないほうがいいわ!」
 揃って声を荒げた二人に、ハルトヴィンは苦笑しながら首を振った。
「そう言ってくれるのは嬉しいが、見る側からすれば同じようなものだろう。何しろやっていることが派手だからな」
 魔道具を使っていると、普段の戦闘とは違ってあり得ないタイミングで魔法が出てきたりするので、見る方からすれば確かに派手さはある。
 ハルトヴィンの全ての攻撃を体で防ぐというのも、そういう意味では同じような派手さがあった。
 戦う者にとっては大きな違いでも、見るものにとってはそうした点が重要になることもある。
 付け加えると、イーザクの戦いをカルメンとジアーナが揃って嫌悪するには別の理由もあるのだが、コウヒがそれを知るのはもう少し後のことになる。
あ、あれ?
闘技場話は短く終わらせるつもりが><
ま、まあいいでしょう。
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