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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第5章 塔のあれこれ(その13)

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(2)双子とドラゴン

 無事に双子を出産したコレットは、子供が大きくなるまでは里で過ごすことになった。
 フローリアやシルヴィアの子たちを育てた時にも分かっていたのだが、子供にとっては管理層はあまりいい環境とはいえない。
 コレットを除いた他の女性たちが、子供たちに何かをするというわけではない。
 管理層に常時出入りしているのは、限られた者たちしかいないため、知識的に限られた者に偏ってしまう可能性がある。
 それならば、最初からちゃんとした環境を用意したほうがいいと皆がいったのだ。
 考助としても同じようなことを考えていたため、子育ては管理層では行わないということになった。
 これからコレットは、エルフの里に居を構えて子供たちを育てながら、管理層に通って塔の管理を行うということになる。
 それに、トワたちのときのように、考助が会いに行くことも制限されているわけではない。
 会いに行こうと思えばいつでも行けるのだから、考助としても不満などあるはずもない。
 ちなみに、考助は移らずにコレットだけが里に居を構えることになったのは、他の女性たちへの配慮も勿論あるが、これから生まれてくるピーチの子供のことを考えてのことだ。
 考助が一人の女性の子供に入れ込むのは、子供にとっても良くない。
 トワたちは既に成人したか、もうすぐ成人する年になっているので、今更そんなことで不満を覚えたりはしないが、これから生まれてくる子供にとっては話は別になる。
 子供は特にそうした特別扱いを敏感に察するので、迂闊なことはできないのだ。
 考助はそんな感じで、フローリアとシルヴィアのふたりから懇々とそう説明されたのだった。

 トワたちのときと違って、考助がエルフの里に行く分には何の問題も発生しない。
 エルフとすれ違うたびに「おめでとう」と言われたり、畏敬の念で見られたりはするがそれだけだ。
 正体がばれれば大騒ぎになって収拾が付かなくなる第五層の街とは違うため、考助は何の問題もなくコレットの家に日参している。
 ちなみに、コレットの家は世界樹の巫女という立場の割には、慎ましい作りになっている。
 そもそも子育てにしか使わないのに、そんなに大きな建物は要らないとコレットが主張したためだ。
 勿論、その家にはコレット以外の使用人(エルフ?)が詰めている。
 コレット自身にも巫女としての役目があるので、子育てだけにかかりきになるわけにはいかないのである。
 そして、当然というべきか、いつの間にか子育ての定番となっている狐たちもしっかりと双子にまとわりついている。
 今回の子育て役の狐は立候補者が多かったので、吟味に吟味を重ねて選んだとワンリが胸を張っていた。
 そんな狐たちに守られている子供たちを朝と夕方に見に来るのが、最近の考助の日課になっていた。
 既にこの時点でトワたちとは対応が違っているのだが、それくらいは大丈夫だろうと他の女性陣も苦笑しつつも了承している。
 それに、ピーチに子ができたときも考助が似たようなことをするのは分かりきっているので、今更といえば今更なのだ。
 むしろ、トワたちのときの事情が、特殊過ぎたといえるかもしれない。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 最近の日課になりつつあるエルフの里への訪問を終えた考助は、管理層に戻った時点でルカに捕まった。
「父様。今日もセイヤとシアのところに行ってたんですか?」
 セイヤとシアは、コレットの双子の子供たちのことだ。
 考助が、ルカの言葉に何となく後ろめたい気がしたのは、ルカのときにはほとんど顔を見せられなかった後ろめたさがあるためだろう。
 もっとも、言った当人は不満など全く感じていない。
 そもそもルカも良い年齢になっているので、新しくできた子供に父親が日参したところで、嫉妬するようなことはない。
「あ、うん。そうだけど、ルカは、今日は学園は?」
「父様。今日は学園は休みの日です」
 ルカは、ため息混じりにそういった。
「あ、そうだったっけ?」
「そうだったんです。それよりも、今日は課題を持ってきました」
「ああ、出来たんだ。どれ、それじゃあ、研究室で見せてもらおうか」
「はい」

 ルカが頷くのを見てから研究室へと向かった考助は、そこで数日前に出した課題のチェックを始めた。
 その目は真剣そのもので、普段の女性陣に尻に敷かれている姿とは全く違って見える。
 ドキドキしながら採点結果を待つルカは、気を紛らわすために、最近気になっていたことを聞くことにした。
「父様、最近ハクを見ませんが、どうしたのですか?」
「ん? ハク?」
「はい。ハクです」
 まさか、ハクのことを忘れたのではないかと疑ったルカだったが、考助が不思議そうな顔をしていたのは勿論、そんな理由ではない。
「ハクはいつものように塔にいるけど・・・・・・ああ、そうか」
 自分とルカの認識に違いがあることに気が付いた考助は、さらに付け加えた。
「最近のハクは必要最低限のときしか管理層に来ていないぞ? それこそナナとかワンリみたいに」
「え?」
 意外なことを聞いたといわんばかりのルカの表情に、考助はやっぱりかと頷いた。
 今までは、ルカが管理層に来ること自体が少なかったが、最近は課題を与えているために、こうして回答を見せに来ることが多くなっている。
 そのため、相対的にハクがいないと感じる回数が多くなっていたのだ。
 だが、それはルカの元々の認識が間違っているのだ。
「もともと昔から塔の階層にいることの方が多かったんだけれどね。最近は週に一度管理層に顔を見せに来るくらいじゃないかな?」
「そ、そうなんですか?」
「うん。そうなんです」
 目を丸くしたルカに、考助は真面目な顔でもう一度頷いた。

 ハクが管理している北西の塔は、もともと他の塔に比べてドラゴンを多く召喚していた。
 そして、北西の塔を含めた四属性の塔や聖魔の塔があまり大きな変化を見せなくなったため、ハクは数年前にこれまでと違って大きな方針転換を図ったのだ。
 それが、ドラゴン種以外の召喚を止めて、塔の中に存在する眷属のほとんどをドラゴン種だけにしてしまうというものだった。
 今まで召喚した眷属たちを無理やりに減らしたりはしないが、それ以上の召喚をするのは控えて、階層のほとんどにドラゴンを召喚するようにしたのである。
 結果として今の北西の塔は、眷属の八割以上がドラゴン種になっている。
 そしてハクは、それらドラゴンたちの頂点に立つ存在として各階層を忙しく見回っている。
 ちなみに、ドラゴン種だけに転換を図った結果のためか、北西の塔は全ての階層にドラゴンが存在する塔になっている。
 考助がその話をリクにしたところ、リクは目を剥いて「冒険者を殺しにかかっているな」と言っていた。
 そもそも北西の塔を一般に開放する予定は今のところないので問題はないのだが、もし通常通りに第一層の入口を開けて冒険者が来ると、とんでもない目に合うのは間違いないだろう。
 単純な眷属の戦力だけでいえば、下手をすればアマミヤの塔を超える力を持っているかもしれない。
 勿論、アマミヤの塔は、眷属が住んでいる場所としてみれば、まだまだ空白地帯があるので単純な比較は出来ないのだが。
 とにかく、ハクがいるおかげなのか、なにかそのほかの要因があるのか、北西の塔で召喚された眷属のドラゴンたちは、進化種も含めてかなりの数になっている。
 それでどうして塔のレベルが上がらないのかと、考助とハクは頭を突き合わせて悩んでいるが、今のところは答えは分かっていない。

「・・・・・・と、いうわけで、今のハクは召喚したドラゴンを見回るのに忙しくて、管理層に来る暇がないんだよ」
「そう、なん、ですか」
 その説明に肩を落としたルカに、考助はニンマリと笑った。
「何だったら今から会いに行く?」
「えっ!? い、いや、それは・・・・・・お、お願いします」
 父親である考助の笑顔に何やら裏を感じたルカだったが、その提案には素直に頷いた。
 そうでもしないと、話を聞く限りでは次に会えるのはいつになるのか分からないと思ったのだ。
 息子が頷くのを確認した考助は、それじゃあ早速とばかりに椅子から立ち上がって、転移門のある場所へと向かうのであった。
双子の子供はセイヤ(聖夜)とシア(月愛)と名付けました。
・・・・・・なんだかキラキラネームっぽくなってしまったのは、多分気のせいです。
ちなみに、ちゃんとお名前辞典に載っている名前です。

で、最近空気だったハクの話がようやく書けました。
まだ本人は出てきていませんが><
明日の話ではちゃんとでてきます!(予定)
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