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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 サキュバス

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(16)最終段階

 王都とガボント山を落としたピーチたちは、計画通り次の目標の町へと潜入していた。
 ただし、潜入といっても冒険者仲間として町に入っているので、普段は依頼を受けている。
 王都で商隊の護衛を受けて入ったこの町は、相手の闇ギルドが本拠地としているところである。
 一応計画通りに町に入ったのだが、今のところ手を出しあぐねていた。
 というのも、ピーチたちが町に入った時と前後して、闇ギルドの警戒度が大幅に上がっていた。
 王都の時のように、絡め手を使って油断させようとしても中々難しい状態だったのだ。
 流石に町に存在する全ての闇ギルドを相手にしようとは考えていない。
 何しろ末端の構成員まで含めるとかなりの人数になる。
 一度に相手をして潰すことも出来なくはないが、手間がかかりすぎる。
 付け加えると、末端の構成員を相手にしている間に、幹部たちに逃げられてしまっては元も子もないのである。

「さて、どうしましょうか~」
 泊まっている宿の室内で、ピーチが首を傾げながら呟いた。
 同じ部屋には、同じ一族の仲間が四人いる。
 その他にはミツキがいて、ピーチを含めて全員で六人という構成になっている。
 一般的な冒険者のパーティとして当たり前の数にしているのは、当然のように相手に疑われないようにするためである。
 他にも連絡要員として別のメンバーも同じ町に来ているが、別行動をとっていた。
 ちなみに、アイリスも一緒に付いてきているが、同じ組織の仲間と連絡を取るために席をはずしていた。
 この街での実行部隊は、実質この部屋にいる六人なので、計画を立てる段階ではいなくても問題はない。
 付け加えると、普段相手の組織の状態を探っているのは、王家の闇組織のメンバーだったり、仲間の連絡員になる。
 相手に攻撃を加えるまでは、ピーチたちは普通にギルドで依頼を受けて過ごしていた。
 もっとも、町に着いたのは数日前なので、依頼を受けたのは数回程度である。
 一つの依頼が終われば休みを取るのは、冒険者の間でもごく普通に行われていることなので、依頼を受ける回数としては特に問題はない。

 ピーチが仲間のひとりを見て問いかけた。
「向こうはどうなっていますか~?」
 王家の闇組織は別の場所で計画を進めているが、そちらにもピーチたちの一族のサキュバスは同行している。
 その彼らは、考助が開発した通信具も持っているので、ほぼタイムラグなしで連絡が取り合える。
「あちらは問題ないようですね。順調に準備が進んでいるようです」
「そうですか~。となると、やっぱりプランCで進めた方がよさそうですね」
 今回相手の本拠地に乗り込むにあたって、当たり前であるがいくつかのプランを考えてきていた。
 それには相手が警戒度を高めている場合の対応方法もいくつか含まれている。
 その中の今の状況でもっとも適したプランをピーチが選び出した。
 他の者たちもピーチの言葉を聞いて頷いていた。
 ここにいるのは、それぞれが一つの任務でリーダーを務めることができるような実力の持ち主だ。
 そのため一人一人が、状況を判断できる能力を持っている。

 取りあえずのプランを決定したあとは解散、となるはずだったが、珍しくそれをミツキが止めた。
「分かっていると思うけれど、ピーチは戦力として考えては駄目よ?」
 今更過ぎるミツキのその忠告に、ピーチがわずかに苦笑をして、他の者たちは大きく頷いた。
 彼らにとっては、今回の仕事が重要であることは間違いないのだが、それ以上にピーチの子供の方が重要なのだ。
 今もそうだが、今後も他の一族のサキュバスが混じることも考えられる。
 そうなると、考助の血を引いた子供がサキュバスたちを纏めていくのがより重要になってくる。
 サキュバスたちもピーチの子供に役目を押し付けるつもりはないが、ある程度期待してしまうのも仕方のないことなのだ。
 そうした考えがわかったからこそ、ピーチも苦笑をしたのである。
「まあ、私もほどほどに頑張ります~」
「そうしたほうがいいわ。私も十分フォローするつもりだけれど、貴方たちも注意してね。どうもピーチは、見てないところで張り切るのが身に付いているようだから」
 そのミツキの言葉に、ピーチを除いた全員が小さく笑った。
 そもそも裏の仕事をする訓練を受けたピーチたちは、他の存在に見つからないように動くように育っている。
 そのため、ミツキの言ったことは、その他の全員が思い当たりがある。
「大丈夫です。隠れて動くのにも大体のパターンは分かりますから」
 仲間の一人が笑いながらそう言うと、ピーチはわずかに顔をしかめた。
「ううっ、ひどいです。楔がされる前みたいに、監視されているみたいです」
「あら。少なくとも私はそのつもりよ?」
 小さく抗議の声を上げたピーチだったが、あっさりと告げられたミツキの言葉に撃沈するしかないのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 仲間からピーチの決定を報告されたそのサキュバスは、同行していた王家の影のリーダーに伝えた。
「そうか、分かった。こちらは計画通りに進めると伝えてくれ」
「はい」
 リーダーの言葉に頷いたその者は、少しはなれた場所で通信具を使い始めた。
 それを見ていた他のメンバーの一人が、若干羨ましそうにその様子を見ていた。
「しかし、便利ですよね。あの通信具は」
 何しろ従来の物と違って、固定した場所に置かずに携帯して使うことが出来る。
 それだけでも便利なのに、使い捨てじゃなく複数回使うことが出来るのだ。
「確かにあれば便利だが、入手は難しいんだろう?」
 考助が開発したその通信具は、重要な任務として今回特別に持たせられているが、一般にはまだまだ普及していない。
 もし一般に売りに出せば、爆発的に売れるのは間違いない商品なのだ。
 それが表に出ていないのには、きちんと理由があるのだろうと、リーダーも話に加わって来た。

 通信具の話で盛り上がっている中、相手との通信を終えたデフレイヤ一族の者が戻って来た。
 何故か一同の視線が集まるのを感じながら内心で首を傾げていたその者は、リーダーに結果を報告した。
「あちらはいつ始めても問題ないそうです。予定通り、開始前には連絡が欲しいと言っていました」
「そうか、分かった」
 その報告に頷いたリーダーだったが、先ほどまでの勢いで、デフレイヤ一族の者に問いかけた。
「ところで、その通信具だが・・・・・・」
 その前置きでデフレイヤ一族の者は、なぜ自分に視線が集まったのかが理解できた。
 それと同時に首を左右に振った。
 さらに言葉を返そうとしたが、その前にリーダーががっかりした顔になる。
「まあ、そうだよな。一族の秘宝となっていてもおかしくはないからな」
「いえ、そういうことを言いたいのではないです」
「ん? どういうことだ?」
「私も聞きかじった話なので、本当かどうかは分からないのですが、いいですか?」
 その前置きに、少しでも通信具に関しての情報を得られるのであればとリーダーが頷く。
「この道具は、ドラゴンの素材を元に作られているそうです」
 その情報に、さすがのリーダーも驚きの表情を隠せなかった。
 それと同時に、材料に関しての情報を隠していない理由を理解した。
 ドラゴンの素材を元に作られた道具など、一般に広まっていないのは当然である。
 その話を聞いたリーダーは、あっさりと目の前の相手が持つ通信具の入手を諦めて、思考を切り替えた。
「なるほどな、よくわかった。それはともかく、こちらの計画を進めるぞ。予定通り決行は三日後とする。それまでに十分体調を整えておくように」
 リーダーがそう言うと、その場に集まった者たちは静かに頷いた。
 雄叫びを上げるような者は、ここにはいない。
 当然ながら自分たちが隠密の行動をしていることは十分に理解している。

 こうしてスミット国内を荒らしていた闇ギルドを潰す計画は、最終段階を迎えるのであった。
最終決着をつけるべく動き出した影たちの様子でした。
なんとか二十話行く前に終われそう・・・・・・だといいなあ。
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