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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 サキュバス

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(15)結果報告

 ナナが扇動者をつけたのは、コウヒの指示だった。
 ハイノとは別の転移門を使ってスミット国へと戻った考助は、何とか扇動者を特定できないかと冒険者たちを確認していた。
 そして、ハイノの働きによって騒ぎが収まるまでに、なんとか扇動者を特定することが出来た。勿論、コウヒが。
 その後は、ナナが扇動者のひとりを付けたというわけである。
 首輪を付けたナナは、ごく普通に飼われている犬と見た目が変わらないので、実は尾行するにはぴったりだったりする。
 付け加えると、飼い主が必ずリードを付けて歩かなければならないと、うるさく言われることもほとんどない。
 街の中では、ナナ以外にも放し飼いにされている犬や猫がそこらを歩き回っていたりするのだ。
 勿論、飼い犬が問題を起こせば、飼い主がとんでもない責任を負わせられることもあるのだが、ナナに限ってはそんな心配もないのだ。
 途中で尾行している相手に疑われても、体の大きさを変えてしまえば誤魔化すことができる。
 結局ナナは、ほとんど相手に疑われることなく拠点を突き止めることが出来たのであった。

 扇動者の拠点を突き止めた考助は、その情報をどこに伝えるかで悩んだ。
 クラウンに伝えるのは当然として、スミット王国側には王家か影に伝えるルートがある。
 この場合、考助から王家に直接伝えれば、下手をすれば現人神からの圧力と捉えられかねない。
 というわけで、考助は影にこのことを伝えることにした。
 あとは、影から王家に伝われば、王国としてどう対処するかは勝手に話し合うだろう。
 その上でラゼクアマミヤに転移門の利用料について話をするとなれば、それはもう国家間の問題である。
 考助が口を挟む問題ではない。
 ついでにいえば、突き止めた拠点が闇ギルドに関係しそうな場所だったことも影に伝えることにした理由の一つだ。
 どう考えても裏通りのその筋の方々が出入りしていそうな界隈だったので、考助にもすぐに分かった。
 場所だけを確認して、変に立ち入らないほうがいいと判断して、すぐに引き返して来たのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 スミット王国の影の長に扇動者の事を伝えた考助は、その足で支部へと向かった。
 建前上は一冒険者として活動している考助が、支部長であるハイノにすぐに会えるかは分からなかったが、ハイノが手配をしていたのか、考助が受付嬢に名前を出すとすぐに奥に通された。
「やあ。良く来てくれました」
 支部長室に入った考助をハイノは両手を広げて歓迎してくれた。
 ハイノは考助のことはいままで知らなかったが、あのガゼランが親しくしているという時点で、普通の冒険者ではないことは分かっている。
 ついでにいえば、ガゼランだけではなく、他の部門長たちも一目置いているようだった。
 他の支部長たちもそのことには気が付いているだろう。
 その程度のことが見抜けなければ、支部長になど抜擢されないのである。

「なにかございましたか?」
 最初から考助が来ることを待っていたかのようなハイノの対応に、考助は首を傾げた。
 扇動者の後を尾行したのは、考助(というかナナ)が独自に行ったことで、ハイノはそのことは知らないはずだ。
「本部で会ったっきりすぐに分かれてしまったので言えなかったのですが、改めてお礼を言いたかったのです」
 そう言って来たハイノに、考助はなるほどと頷いた。
「いえ。偶々支部の傍で活動していましたから。見つけた以上は、報告しないと、と思いまして」
「なるほど。確か、王家からの依頼を受けている最中でしたか」
 王太子から受けている依頼は、支部の窓口を通して納品している以上、きちんとクラウンを経由して依頼を受けていることになる。
 ハイノは、きちんとその依頼を調べた上で、こうして考助と話をしていることになる。
 だからといって何かがあるわけではないが、王家から指名依頼をされるような人物だという事は、それだけで信頼度は大幅に上にくる。

 ハイノがきちんと自分のことを調べた上で対面していることを理解した考助は、その台詞に頷いてから扇動者についてのことを話した。
 考助の話を聞いて、ハイノは難しい表情になる。
 そもそも扇動者といっても、考助たちが恐らくそうだろうと目星をつけて後を尾行しただけだ。
 既に騒ぎも収まって集団も解散している上に、騎士団のお世話になることもなかった。
 はっきりいえば、クラウンとして対処のしようがないのだ。
 もし考助の言葉で具体的に動いてしまえば、逆にクラウンに付け入る隙になってしまう。
 そんなハイノの考えを見抜いた考助は、なにかを言おうとするハイノを右手で止めた。
「この情報でクラウンが何かをしてほしいというつもりはありません。むしろ何もしないほうが良いと思いますよ。僕はただ単に、そんなことがあったと伝えたかっただけです」
 考助がそう言うと、ハイノも納得したような顔になって頷いた。
 扇動者のことを突き止めていたとしても、明確な証拠があるわけではない。
 たったそれだけの情報を持って、騎士団に申告したとしても動きはしないだろう。
 むしろ、余計なトラブルを招きかねない。
 それならば、明確な証拠をつかむか、クラウンへの攻撃意思が確定するまで放置したほうが良い。

 考助の言葉からそんなことを考えたハイノは、情報を貰えた礼だけを言ってその場は終わった。
 こうして突如起こった騒動は終わることとなり、その後はもう一度同じようなことが起こるわけでもなく平穏な日々を迎えることになった。
 そして、今回の騒動を起こした闇ギルドが何を目的にしていたのかも、結局分からず有耶無耶のうちに終わったのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 部下からの報告を聞いた闇ギルドの頭は、安堵のため息を吐いた。
「そうか。二つとも無事だったか」
「へい。どっちも王都とガボントの状況を聞いて、すぐに対処したようですぜ」
 イチイとニルニの闇ギルドを取りまとめている者たちは、どちらも重要な拠点であることを分かっていて、しっかりと防備を固めていた。
 そのせいかどうかは分からないが、今のところは王国の影たちが何かを仕掛けてくるといったことは無かったようである。
 だが、王都とガボントの拠点を同時に潰した影たちが、このあとに何もしてこないとは考えづらい。
 次の手は何を打ってくるのかと考えた頭は、ギョッとした表情になった。
「お、おい! ここはどうなっている。傘下の闇ギルドにおかしな動きはないだろうな!?」
 イチイとニルニも重要な拠点だが、そもそも本拠地となっているこの場所を潰されしまっては、意味がない。
 王都とガボントを潰されたことによって、他の地域で別組織である闇ギルドを吸収していく勢いも落ちている。
 そんな中で本部が落とされてしまっては、計画に狂いが生じるどころではない。

 頭の慌てた様子を見て、部下の一人は戸惑った表情になった。
「頭、いくらなんでもそれはないでさ。奴らがおかしな真似をすればすぐに分かる」
「そうか、それならいいが・・・・・・」
 他の者たちも頷いているのを見ながら、それでも頭は嫌な予感が膨れ上がっていくのを感じる。
 自分たちが相手にしているのは、長い間、それこそ建国と同じ時から存在して来た組織だ。
 国内にある闇ギルドに対して、一つや二つの「貸し」があってもおかしくはない。
 そこまで考えた頭は、首を左右に振って部下に指示を出した。
「一応配下の組織に探りを入れておけ。こちらの意図を勘づかれるような真似をするなよ?」
「へ、へい!」
 頭の指示を受けた部下たちの一部が慌ただしく動き始める。
 頭は、それを見ながら嫌な予感が大きくなるのを感じるのであった。
結局、扇動した者たちが、どこに属しているかはまでは分かりませんでした。
敢えてそこまで調べなかったともいいますがw
そもそも考助たちは、専門職というわけでもないですしね。
(ピーチたちは今は王都にいません)
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